水やりの基礎は分かった。植物も育っている。でも最近なんだか元気がない。こんな場合、肥料切れが原因かもしれません。鉢という限られた環境で育てているのですから、水だけではおのずと限界があります。肥料切れによって表れる現象は植物によって異なるため一概にはいえませんが、「葉色が悪くなる・葉の先端が枯れる・下葉が落ちる・花つきが悪くなる・・・」このようなことが起こり、植物を買ってきてから2ヶ月くらい経っていたのならば、肥料切れを疑ってよさそうです。
肥料をやるにあたってまず知っておいてほしいのが有機肥料と化成肥料の違いです。おおざっぱに説明すると次のようになります。
有機肥料のほうが肥料のやりすぎによる弊害が少ない、など初心者向けの点もあるのですが、植え替え時に施すのが一般的であり、またどうしても多少の臭いがあります。この解説は鉢物を対象にしているので、必要なときに施せ、無臭でもある化成肥料について説明します。
肥料の袋を見ると必ずといっていいほど、N:P:K=という表示を見かけます。これはその肥料に窒素:N、リン酸:P、カリ:Kがどれだけ含まれているかを示したものです。N:P:K=5:10:5ならば窒素とカリが5%、リン酸が10%含まれていることになります。一般的にその効用は次のとおりです。 窒素は植物の葉を茂らせ、リン酸は花つき実つきを良くし、カリは根の成長を促す。
花物に窒素分の多い肥料をやり続けると花が咲きにくくなりますし、観葉植物のように葉がメインの植物にリン酸分の多い肥料を与えてもあまり意味がありません。このように自分が育てている植物の時期や用途に応じて肥料を選ぶわけですが、分からなければ先ほど挙げたN:P:K=5:10:5くらいの比率のものでいいと思います。ほとんどの植物はこれで育てられます。一度ある程度の規模の園芸店やホームセンターに行って見てください。「洋蘭の肥料」や「ハーブの肥料」というように沢山の種類別の肥料があります。これらを利用するのも一つの手です。
さて化成肥料には固形肥料と液体肥料があると述べましたが、この違いはどこにあるのでしょうか。一般家庭用に販売されている固形肥料はほとんどが緩効性です。緩効性とはゆっくりと効き目が長続きするという意味です。固形肥料は全てが肥料分から成っているのではなく、肥料分が樹脂などに覆われています。水やりのたびに樹脂の間からじわじわと肥料分が染み出すようなイメージを描いてください。固形肥料は植え替え時に土の中に混ぜたり、必要なときに鉢の上に置いて施し、大体1〜2ヶ月くらい効果が続きます。粒状になっているのが一般的で鉢の大きさによって与える数を決めます。
対する液体肥料は速効性で与えてからすぐに効果が現れます。一方で効き目は長くは続かずに大体1週間程度です。肥料切れを起こしてしまったときの急場しのぎや、開花中など特に肥料を必要としている時期に便利な肥料といえます。やり方は、濃縮液を規定の濃度に薄めて、水やりを兼ねて与えます。つまり、水やりを必要としているときでないと、与えられないわけです。
最初のうちは手間がかからないので固形肥料がおすすめです。慣れてきたら普段は固形肥料をやり、花が咲くころや成長が盛んなときだけ液体肥料をやるのもいいでしょう。
肥料をやる上で大切なのが時期と量(濃度)です。水やりにタイミングがあるのと同じように、肥料にも与える時期とそうでない時期があります。必要でないときに肥料をやると、効果がないどころか逆に植物を痛めてしまいます。植物が生長していない時期、多くの場合は冬になりますが、この季節には肥料は必要ありません。また、植え替え後1週間程度やその植物が弱っているときも肥料を与えてはいけません。
というのも肥料を吸収するにはエネルギーが必要なのです。弱っているときにはエネルギーを蓄える必要があるのに、肥料があると余計にエネルギーを消耗してしまうわけです。このことは肥料の濃度にも関係してきます。肥料は水に溶けた状態で植物に吸収されます。その濃度が高ければ高いほど吸収するには多くのエネルギーが必要となります。あまりに濃すぎると植物は吸収することができなくなってしまいます。肥料は水に溶けていますので、吸収できないということは水を吸えないということになるのです。 そこまでいかなくとも、高濃度の肥料にさらされると植物は根を痛め「肥料焼け」を起こしてしまいます。
ですから肥料をやるときは書かれているラベルをよく読み、固形肥料の場合は量を、液体肥料の場合は濃度を必ず守ってください。さらに固形肥料は与えるときに肥料が植物の根に直接触れないようにします。肥料の周囲は濃度が極めて高くなり、与える量を守っても肥料焼けを起こしてしまうことがあります。
また、肥料は足りないと生育が悪くなりますが、かといって過剰に与えても弊害があります。特に窒素は与えすぎると株が軟弱になり、病害虫への抵抗力がおちます。
最近、植物の活力剤やアンプルといったものを見かけます。10p程度のスポイトのような容器に詰まったものです。あれは肥料とは違いますので注意してください。人間に例えるならばあれは栄養ドリンクといったものです。栄養ドリンクさえあれば食事はいらないというわけにはいかないように、活力剤だけで育てるわけにはいきません。ちょっと元気がないときや、日当たりが悪いところで育てているときに試してみるとよさそうです。
以上で肥料の説明は終わります。水やりと肥料ができるようになれば、かなりのあいだ植物を楽しむことができるはずです。次はいよいよ植え替えです。これさえできるようになれば園芸の幅はさらに広がります。
基礎園芸講座