四国遍路旅

伊予の国「菩提の道場」(愛媛県)

9月30日 第四十一番龍光寺〜第四十三番明石寺
 宇和島駅はJR予土線とJR予讃線のターミナル駅である。朝7時過ぎ。予土線で務田へ。ここから第
四十一番札所龍光寺までは約2km。田園風景を眺めながら歩く。登校途中の中学生が、挨拶をして
いく。よく躾けられているのか、お遍路に対する礼儀なのか。どちらにしても気持ちが良い。
 龍光寺から墓地のある小高い丘を越えて杉林を下ると大きな通りに出る。そこから約2kmほどで第
四十二番仏木寺である。
 
                      仏木寺到着。荘厳な山門。

 ここから山越えで10kmほど歩くと次の明石寺へたどり着くが、無理せずに一旦宇和島まで戻り、そ
こからバスで卯之町へ。これも昨日の宿で教えられたルートである。宇和島バス卯之町駅は、ターミ
ナルとなっているようで、きちんとした待合室もある。ここから歩いて明石寺へ。ところが、バスを降り
てこの方向と見当をつけて歩いたのが全くの反対方向であった。歩きながら地図との違いをいぶかり
ながら、ふと気づくと白バイが走っている。思わず呼び止めて確かめると、方向が逆であることが判
明。地図との違いは当然であった。かなりのロスをした。明石寺までは蛇でも出てきそうな道を歩いて
行った。

                      明石寺到着。途中、道を間違えてしまった。

 第四十三番札所明石寺を参拝し、再び宇和島バス卯之町駅へ。ここからは特急バスに乗車し松山
へ。バスは途中、高速道路も使用するため、これまで乗ったバスとは違いかなり豪華なバスであっ
た。松山まではおそらく50km以上はあったろう。バスの中でついウトウトしてしまった。
 松山到着。???松山市駅?実は松山は松山市駅と松山駅とがある。松山市駅は伊予鉄道の駅。
松山駅はJRの駅で、1kmほど離れているのである。どうも松山市駅が市の中心駅らしく、周りもかなり
賑わっている。我々の本日の宿はJR松山駅の近く。仕方なく歩くことにした。松山周辺は1日で廻りき
れないと考え、今日の宿には連泊することにしていた。
 毎日同じであるが、宿に着いてまず最初にすることは洗濯である。宿によっては、洗濯をしてくれる
ところもある。あるいは宿の中にコインランドリーを備えているところも多い。洗濯の設備のない宿は
遍路宿ではないということを話してくれた方もいた。それでも中には洗濯の設備がないところもあり、
その時には外部の一般のコインランドリーを利用しなければならない。また、短時間で乾かすために
乾燥機も利用する。
 松山駅周辺には、食べ物屋もたくさんある。洗濯終了後、宿に戻り明日参拝する予定の岩屋寺への
ルートを相談する。しかし、あまりはっきりした回答が得られなかった。それでも時刻表をいろいろ調べ
てくれた。バスを利用して時間的になんとか大寶寺、岩屋寺から次の浄瑠璃寺、八坂寺まで参拝でき
そうである。
             


10月1日 第四十四番大寶寺〜第四十七番八坂寺
 朝食を済ませ、出発の段階で雨が降り出した。天気予報でも午前中の雨は避けられないようであ
る。2人とも雨に備えてポンチョは持っているが、息子はホテルで傘を借りた。私は遍路用のビニルの
カバーがついた菅笠をかぶっているが、息子は普通のベースボールキャップ。ポンチョは頭からすっ
ぽりかぶれるが、これがあまり好きではないようである。駅のコンビニで昼食のおにぎりを購入しバス
乗車。松山駅前発8:15のバスは、雨の中を昨日の松山まで来た道を戻る形で進む。途中から山間部
へ入り、急な登り坂をガンガン飛ばす。大寶寺のある久万高原は山の中にある。風雨はいっそう強く
なってくる。途中風雨にもまれながら降りてくるお遍路さんが見えた。こんな中でも歩くなんて、すご
い!
 久万中前到着9:27。ここから岩屋寺方面へはバスが極端に少ない。11:00発のバスを逃すと次は
13:45発。1日この2本しか無いのである。その前に、まずは大寶寺参拝。久万中前から大寶寺までは
1kmあまり。往復しても1時間半は余裕であるが、雨が強い。ポンチョをしっかりと着て、息子はさらに
傘をかぶって出発。風もあるので、菅笠はザックにくくりつけ、ポンチョの帽子だけで凌ぐ。
 一度道を間違えたが、第四十四番大寶寺に無事参拝。大寶寺には道路をまたぐほどの立派な山門
があった。久万中前はJR四国バスの停留所であるが、伊予鉄南予バスのターミナルにもなっている。
ここから11:00発のバスで岩屋寺へ。16分で岩屋寺前に到着である。急な坂を上り、長い山道を登り
詰めたところが、第四十五番岩屋寺である。

                      岩屋寺山門。結構登りがきつかった。

雨はまだ降っているので、ポンチョを着たまま失礼であったが参拝。バス停まで降りてきて昼食のお
にぎりを食べた。肌寒く、味気ない昼食であった。それでも食べることで、エネルギー補給になる。雨
はだいぶ小ぶりになったが、まだ止まない。岩屋寺から久万までは13:05分発の1日1本だけである。
これを逃したら、・・・歩くしかない。我々は時間的には余裕で岩屋寺を参拝できた。岩屋寺はお寺の
裏の岩山全体がご本尊なのだそうで、ほとんど岩山の中にあるような状況であった。特に大師堂は国
の特別記念物に指定されているとのことで、実に荘厳なたたずまいで素晴らしかった。

               
                 岩屋寺バス停横の案内板。四国の道案内図。       バス時刻表。上り下り併せて1日三便のみ。

 バスに乗る頃には雨もぽつぽつというほどで、ほとんど上がってきた。ところが、時刻表にある13:05
になってもバスが来ない。実はこのバスが久万に着く予定が、13:25。久万中前発13:32のバスに乗
り継がなければならない。7分の余裕しかないのである。13:10過ぎにバスが来た。バスに乗って、乗
り継ぎの話をしたら、大丈夫とのこと。バス会社が違っても、乗り継ぎ客のために、多少の時間調整は
しているようである。実際に、JR四国バスも少し遅れて久万中前へ到着した。無事に乗り継ぎ、バス
で下っている途中で、車窓に浄瑠璃寺方面の看板を見つける。地図で見ると、三坂峠から7kmほどで
浄瑠璃寺であった。遍路道はこちらが正当である。しかし我々はバス移動する予定。次の浄瑠璃寺
へ行くためにはさらに乗り換えなければならない。森松本町で降りて、伊予鉄バス森松営業所から浄
瑠璃寺前へ。これは、昨日のうちに宿で調べていただいたルートである。天気はすっかり回復してき
た。第四十六番浄瑠璃寺はバス停のすぐ近くであった。

                     八坂寺到着。雨もすっかり上がりました。

 浄瑠璃寺から第四十七番八坂寺まではほぼ1km遍路道を下る。八坂寺の参拝が終わったのは午
後4時過ぎ。次の西林寺までは4.5kmほどであるが、歩いて行けば午後5時を過ぎるのは確実。納経
所は午後5時締め切りなので、西林寺参拝は明日にする。八坂寺前バス停には空海の石像があっ
た。軽く手を合わせる。バスを乗り継ぎ、松山市駅に戻ったのが午後5時23分。松山には市電(路面電
車)が走っているので、松山市駅から松山駅までこれで移動することにする。
                                                             
                                                             

10月2日 第四十八番西林寺〜第五十三番円明寺
 土地勘が無いというのは誠に不便である。松山市内地図を見ていて昨日のバス移動もけっこう遠
回りしていたことに気づく。伊予鉄道を使う方法もあった。そこで今日は,伊予鉄も利用して移動する
ことにした。JR松山駅に近い大手町から久米まで伊予鉄道を利用して移動,そこから西林寺方面へ
のコミュニティバスが出ている。コミュニティバスは区間関係なく1人110円の均一料金であることを,
地元の支援学校に通う子どもに教えられた。第四十八番西林寺参拝。
 ここからは歩いて移動する。浄土寺まではたんぼ道,市街地を通って約3.2kmである。途中,足を引
きずるようにして歩くお遍路さんを追い抜く。歩いて通しているのだろう。痛々しい程であった。浄土寺
が見えてきたところで,理髪店の中から声をかけられる。袋に入れた飴をお接待していただく。第四十
九番浄土寺参拝。
 ここから繁多寺まで1.7km住宅地を縫うようにして遍路道が続く。途中では遠く松山城祉のある城山
を臨むことができた。第五十番繁多寺参拝。繁多寺から下って通りに出ると,これまでの遍路道とは
違って観光地らしい華やかさを感じた。道後温泉が近い。

                            石手寺は香煙に包まれていた。

 第五十一番石手寺は,人が多かった。地元の中学生が写生会をしているようで,あちらこちらでス
ケッチブックを開いている。三重の塔が立派で,絵になる佇まいであった。石手寺からはバスで松山
市駅までバス移動を考えたが,ちょうど良いバスが無い。道後温泉まで1kmほどと地図を読み,歩くこ
とにした。途中,外人の観光客が,私の遍路姿を見て写真を請われた。快く応じる。道後温泉から市
電でJR松山駅へ。松山から三津浜までJRで移動。三津浜駅からは太山寺までコミュニティバスを利
用した。第五十二番太山寺は山門からも立派な参道が続き,両側の大きな木の陰が涼しさを感じさせ
る。太山寺参拝後,次の円明寺まで2.3kmを歩く。途中の道路はかなり狭いところもあり,片側交互通
行になっているところも。円明寺までの中間点近くで,地元の自治会の人がお接待所を開いていた。
甘酒とお守りを接待していただいた。第五十三番円明寺参拝。持っていった灯明用のろうそくが無くな
ったので,境内脇の売店でろうそくを購入。

                          円明寺到着。

 円明寺からJR伊予和気駅まで歩き,そこから本日宿泊予定の大西へ。膝の痛みはだいぶ良くなっ
ている。適度な疲れがあり心地良い遍路であった。
                                               


10月3日 第五十四番延命寺〜第六十番横峰寺
 天気は上々。宿から延命寺までは3,5km程であるが、本日の行程の時間的な計算から最初はバス
移動を行った。延喜のバス停を降りると、道路沿いに延命寺の標識を発見。第五十四番延命寺参
拝。朝一の参拝は清々しい。
 延命寺からは墓地を縫うように遍路道が延びている。今治市の大谷霊園はかなりの数の墓石が集
まっており、壮観である。ふと気づいたのは墓石が皆同じように白い材質の石であること。この辺に産
地でもあるのだろうか?広い墓地を抜け、市街地に入ると間もなく南光坊である。
 第五十五番札所南光坊は敷地がとても広く、本殿、五重の塔、大師堂ともとても立派な寺院であっ
た。納経所に伺うと、納経帳に記名のないことを指摘される。大事な納経帳を無くした場合のことを考
え、住所と記名は必要との指摘であった。陸奥国門間進、一期一會と記載、同行二人の朱印を押印
した名札をいただいた。多くの方が記名なしであるとのこと。南光坊なりのお接待なのかもしれない。
納経帳には宿に着いてから住所と氏名を記載した。

                     南光坊納経所。記念に1枚撮ってもらった。

 南光坊からはほぼまっすぐに道を南下。住宅地の道を歩く。途中本日の昼食をコンビニで買い求
め、約3kmで第五十六番泰山寺へ。参拝後たんぼ道を東へ進み、川の土手へ上がる。昔は川を渡っ
たようであるが、今は土手沿いが遍路道として表示してある。橋を渡って対岸へ。また土手沿いに遍
路道。ところが、この遍路道が途中から生い茂った草の中になってしまった。人が踏んだ跡も無いよう
な土手である。こんなところが遍路道かなと疑問に思うが、表識は確かに遍路道。泰山寺から3.1km
で第五十七番栄福寺へ。
 栄福寺から第五十八番仙遊寺、第五十九番国分寺までの移動にはタクシーを利用した。国分寺を
参拝後山道脇の出店で呼び止められ、アイスクリームのお接待を受ける。話をしていて、次の横峰寺
まで行くのにどうしたものかと話したら、氷見まで行けばバスが出ているとのこと。まずは氷見まで行
ってみることにする。国分寺から伊予桜井まで歩き、JRにて氷見へ。氷見でバス時刻を確認するが、
だいぶ時間がある。そこで近くのタクシーに横峰寺までいくらかかるか尋ねると、瀬戸内バスに乗り換
えた方が良いとのこと。その上は有料道路になるので料金がかさむとのことであった。
 瀬戸内バスは乗換所から横峰寺の駐車場までの専用路線で、団体などで混む時には乗車を断ら
れる場合もあるという。お世話になったタクシーの運転手が頼んでやるよとのことであった。乗換所に
着き、バスの待合所で、二人乗せてやってと話をつけてくれた。満杯のバスが発着していた。我々を
乗せたバスはマイクロバスではあったが、乗客がなんと我々二人だけ。細い曲がりくねった山道をバ
スは登っていく。すれ違いもままならない道幅で、コーナーには番号がつけられており、途中の料金
所と、乗換所、バスの間で無線でやりとりしながら、適当なところで待ち合わせしてすれ違う状況であ
った。バスの運転手はだいぶ年をとっているようであったが、慣れたハンドルさばき。なんと般若心経
の解説をしながら運転してくれた。横峰寺まではあまりにも険しいので、これまでも遭難した人がいる
とか。標高790mの駐車場に到着。このバスは参拝者が参拝し終えるのを待っていてくれて、下山でも
また乗換所まで乗せてくれる。駐車場から横峰寺までは少しの距離だが歩くことになる。山道を下り
気味に行くと第六十番横峰寺である。よくもまあこんなところにお寺を開いたなと思う程山奥にあっ
た。
 参拝を終えて駐車場に戻ると、先ほどのバスの運転手が、鳥は大丈夫かと聞いてきた。大丈夫と答
えると、手のひらに一握りのひまわりの種をのせてくれた。ヒワか何かの野鳥が、飛んできて手のひら
の上でその種をついばむ。実にかわいらしい。また、駐車場からは明るい瀬戸内海が一望できた。絶
景であった。

           
             駐車場から横峰寺まで緩やかに下る。                駐車場から瀬戸内海を一望。

                           
                              手に載せたひまわりの種を野鳥がついばむ。

 下山は同じバスで乗客二人。乗換所から伊予小松の宿までタクシーを利用するといったら、無線で
途中から連絡してくれた。宿から横峰寺まで約10kmを歩く人が多いそうだ。歩けば1日がかりである。
              


10月4日 第六十一番香園寺〜第六十五番三角寺(第六十八番神恵院、第六十九番観音寺)
 天気も良く、清々しい朝の空気の中を香園寺へ向かう。お世話になった宿から香園寺までは1.5km
ほど。我々が宿を出る時間には、他のお遍路さんは皆出かけた後であった。第六十一番香園寺は荘
厳な建物であった。お寺というよりも、何か新興宗教団体の建物といった感がある。本殿のある2階へ
上がり、靴を脱いでご本尊と隣の大師像にお参りをした。

                         香園寺本堂はこの建物の中です。

 香園寺から宝寿寺までは1.3km。実は宝寿寺は伊予小松駅のすぐ隣で、宿からも100mほどしか離
れていない。しかし、できるだけ順番通り回ろうと思っていたので、往復する形になるが効率が悪い回
り方でもない。第六十二番宝寿寺参拝。JR予讃線と並行して遍路道は続く。1.4kmほどの伊予氷見駅
に隣接する第六十三番吉祥寺参拝。昨日はここの駐車場から横峰寺までタクシーを利用した。吉祥
寺から次の前神寺までは3.2km。旧道沿いの町並みの中を歩く。あちこちで住民の方たちが清掃作業
をしている。今日は日曜日。一斉作業日にでもなっているのだろう。第六十四番前神寺参拝。途中の
石鎚神社は例大祭の準備で賑わっていた。そういえばここから石鎚山はすぐ目も前である。昨日参
拝した横峰寺への道も途中までは石鎚山への登山道と重複している。
 最寄りの石鎚山駅から伊予三島駅までJR線を利用。伊予三島駅から三角寺までタクシーを利用し
た。JR線やタクシーを利用すると、45kmほどの道のりも2時間弱で移動できた。伊予三島駅からのタ
クシー運転手に、帰りはバスを利用すると話したところ、バス停を案内してくれた。三角寺までの道幅
はとても狭く、曲がりくねった急な上り坂であった。第六十五番三角寺参拝。これで、愛媛県の参拝が
終了。
 昼を過ぎていたが、昼食を調達しないで来てしまっている。何か腹の足しになるものはないかと思っ
ていたら、三角寺の山門前で、おじいさんがふかし芋を売っていた。2本買って、息子と1本ずつ食べ
る。のどに支えるが、おいしかった。昼食はこれで十分。急な下り坂を三角寺口バス停までおりた。次
のバス時刻は来る時にタクシーの運転手さんが案内してくれたのでその時に調べてあった。あと40
分ほど。バス停前の店でアイスを買い、椅子で休ませてもらう。伊予三島までバスで戻ったが、バス
の運転手が、正規の伊予三島駅までだと時間がかかるのでと、バス停のない駅の裏側で停めてくれ
た。遍路に対しては誰もが優しく気配りしてくれる。伊予三島からJRで観音寺へ。いよいよ最後の県、
香川県である。本日宿泊の宿にチェックイン。
 時間がまだあるので、順番は狂うが、神恵院、観音寺へ参拝することにする。宿から道を尋ねなが
ら歩いて20分ほど。第六十八番神恵院、第六十九番観音寺は隣り合わせになった札所である。

                          神恵院参拝。ここはもう香川県です。

 参拝後、今晩の夕食を買うため近くのスーパーへ。ところが弁当や総菜は何もない。そのまま宿に
戻りながら、結局観音寺駅前のミニストップにて調達。コンビニのコンビニたるゆえんを感じた。



旅日記

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