四国遍路旅

旅日記(高知〜結願)
四国遍路2巡目(23番薬王寺〜88番大窪寺)
5月19日(土)
 自宅を早朝6時15分に出発し,最寄り駅から仙台空港へ。仙台空港で搭乗手続きを済ませて手荷
物検査を受けたらライターが引っかかった。1個までOKと思っていたらチャッカマンはだめだそう。せ
っかく昨日購入したばかりなのに未使用で没収。仙台空港から神戸までのフライトは少し揺れたもの
のあっという間であった。高速バスで徳島入りし,徳島からは阿波室戸シーサイドラインで日和佐へ。
16時20分到着。まずは薬王寺へ明日からの再開を報告し,結願祈願のお参りをする。その後,駅前
のホテルケアンズへ。ケアンズは外装工事中とのことで,割引料金であった。
 

5月20日(日)
 天気は上々。長丁場の出発である。急がずマイペースで歩き始める。歩道を歩いて行くが,意外に
段差が多い。しばらく内陸部を歩いて行くが,牟岐からは海岸沿いの道となる。
20km程歩いたところで道路沿いの喫茶店の方から休んでいくようにと声をかけられる。冷たい水とド
ーナッツをお接待いただいた。本日の行程の中間を少し過ぎたところ。初日とあって少し疲れが出て
いたところでのお接待が心にしみる。元気回復し,再出発。水床トンネルを出ると高知県の表示。東
洋町に入る。

3時30分過ぎに目的地の民宿いくみに到着。まずは着替えて洗濯。さらに明日の宿泊先の確保であ
る。ところが当初予定していたまぜの宿に電話すると「お客様の都合で〜」。前途多難の予感。近くの
「うまめの木」が宿泊可能ということでお願いする。本日の宿泊は1名のみ。

5月21日(月)
 朝7時出発。東洋町野根を過ぎると海岸沿いの単調な道。ここから佐喜浜までの15km程は自販機
が1台も無く飲み物が入手できない。バックパックに入れた水とペットボトル1本の飲み物で大丈夫だ
ろう。佐喜浜を過ぎるとポツリポツリと人家も見える。はるか遠くに見えるのが室戸岬か?そういえば
前回来た時には大雨の中をバスで通過した所。見通し距離でも遠い。前回お世話になったロッジ室
戸岬を過ぎ,青年大師像で手を合わせ最御崎寺への登山道に入る。最御崎寺には高野山の壇上伽
藍のミニチュア版があるのに気づく。納経後,車道を下山し「うまめの木」へ。綺麗なペンションだっ
た。ハーレーで旅行中のライダーと同宿となる。部屋から見た夕日が綺麗であった。


5月22日(火)
 朝7時出発。ここから先は前回も歩いた所。前回は利用できる自販機が少ない印象であったが,今
回は結構あちらこちらにあり安心である。津照寺で納経し金剛頂寺へ。金剛頂寺への登りも楽勝。納
経後,山道を下り道の駅キラメッセ室戸へ。前回はここから奈半利までバス移動であったが,今回は
歩きます。歩き始めて間もなく近くの作業小屋から声をかけられる。びわを作っておられる方からビニ
ル袋にびわのお接待をいただく。かなりの量だ。2個程食べて残りはバックパックに入れて歩き出す。
羽根から峠越え。峠の上から見た加領の風景が綺麗であった。順調に歩を進め,奈半利を過ぎる。
本日宿泊予定の浜吉屋が近づいてきた。まだ2時50分。神峯寺まで行ってこられると判断し,長い登
りにかかる。途中の山道で外人さん2名とすれ違う。笑顔で黙礼。神峯寺到着間近の登りがきつい。
無事納経を済ませ,浜吉屋へ。神峯寺へ行く途中ですれ違った外人さんと同宿であった。外人さんは
素泊まりらしく,夕食は1人であった。本日神峯寺まで往復し,歩行距離が43.1kmになったと宿の主人
に話すと,「歩き過ぎだ」と諫められる。外人さんは風呂もシャワーのみのようで,ゆったりと1人で入
浴。本日途中で接待いただいたびわが沢山あったので,外人さんにお裾分けと思い部屋を尋ねると,
外人さんも同じものをお接待いただいたようで,二人でそのびわを夕食にしていた。これで足りるのか
と思いつつも自分のびわは部屋に持ち帰り夕食後のデザートとしてたらふく食べた。

5月23日(水)
 朝食を1人で食べているうちに,外人さんは出発したようである。本日は朝から小雨模様。出発して
間もなく,同宿だった外人さんを追い越す。雨が本格的になってきたため,道の駅大山でコーヒーブレ
イク。先ほど追い越した外人さんに追い越される。雨具を整え,出発。防波堤歩道への入り口を見逃
してしまった。外人さんが防波堤方向に遠く見える。すぐに引き返し,入り口発見。しばらく歩いて追い
つく。つたない英語で「どこから来たのか?」と訪ねると「フランスから」とのこと。「どこまで行くのか?」
「今日は夜須までで,明日,高知まで行ってその後本国へ戻り,来年また高知から歩く。」とのこと。短
いやりとりをした後一人で先を急ぐ。防波堤歩道の終点は道案内も無くわかりづらかった。土佐くろし
お鉄道沿いに自転車道路が延々と続き,そこが遍路道となっている。自動車の心配が無いので,安
心して歩くことが出来る。
 本日宿泊予定の丸米旅館は午後4時から開けるとのこと。まだ2時過ぎなので,大日寺を参拝す
る。柑橘類を食べたいと思っていたら,途中の無人販売所にミカンがおいてあった。帰りに購入するこ
とにする。大日寺で納経を済ませ,先ほどの無人販売所でミカンを購入。途中のコンビニで本日の夕
食を調達し,丸米旅館へ。まだ3時過ぎであった。本日はずっと雨であったので雨具の中も汗で蒸れ
ている。雨具を取ると濡れた服に涼しさを感じる。本日予定していた神峰寺への参拝を昨日済ませて
いたので,本日の歩行距離は予定より少し短い37km程であった。旅館の玄関口で雨宿りしながら開く
のを待つ。4時少し前に旅館に入り,まずは洗濯と靴の手入れをする。靴は新聞紙を詰め3度程詰め
替えればほぼ乾く。新聞紙の吸水力はすごい!

5月24日(木)
 丸米旅館で朝食を摂り,午前7時出発。大日寺までは昨日通った道。大日寺からは前回歩いた道で
ある。戸板島橋を渡り田畑の中の道を進み松本大師堂で小休止,前回はここまで来るとかなり疲れ
が出ていたが,今回は疲労感も少ない。

JR土佐線を渡り国分寺へ。国分寺からは水田のあぜ道を歩き,前回地元に方にお世話になった地
点を通過し蒲原の遍路休憩所。昼食を摂る。大きな道路に出て少し行くと逢坂峠。少し下った所から
遍路道は左に下り,住宅地へ。間もなく30番善楽寺である。納経を済ませてまだ午後1時過ぎ。本日
の宿泊場所サンピアセリーズはここから約3km。まあ2時を過ぎれば入れてもらえるかなと思いなが
ら,ゆっくりと歩を進める。途中で夕食と明日の朝食を購入し,サンピアセリーズへ。少し早かったが,
問題なく部屋へ案内された。今日の行程は1日の移動距離が今回の遍路旅の中で最も短い20km弱
であった。身体休めにちょうど良い距離である。部屋もツインの部屋をシングルユースで素泊まり
5200円。遍路料金なのか設備の割には格安である。ゆっくりと入浴,洗濯ができた。

5月25日(金)
 朝7時出発。天気は薄曇り。高須のあたりでお遍路さんを追い抜く。前回歩いた道なので,道に迷う
ことは無い。牧野富太郎記念館への登り坂を順調に登る。前回はここでも足を痛めた。慎重に登り,
今回は大丈夫のようだ。やはり事前のトレーニングは大切であることを実感する。竹林寺で納経を終
え,石段を下る途中,先ほど追い越したお遍路さんとすれ違う。道がよくわからなかったとのこと。確
かに初めてなら竹林寺に続く道なのか迷うかもしれない。下田川を遡り遍路道を禅師峰寺方面へ。石
土トンネルを抜けて道しるべに従い進む。禅師峰寺は海岸沿いの小高い丘の上である。納経を済ま
せ,いざ雪蹊寺へ。ところがこの辺から道しるべが極端に少なくなり,この道で良いのかどうか不安に
なる。それでも何とか県営フェリー種崎渡船場に到着。11時10発のフェリーまでしばしの休憩。早めの
昼食と水分補給する。フェリーは無料である。

長浜渡船場から雪蹊寺まではすぐである。雪蹊寺にて納経後,種間寺に向かう。たんぼ道を歩いて
いたら若いお兄さんにペットボトルのお茶を接待いただく。気温も上がり,歩いていてのどが渇いてき
た所だったのでとてもありがたかった。種間寺で納経を済ませ本日最後の札所清瀧寺へ向かう。途
中,仁淀川にかかる大きな橋を渡り,川の堤防沿いにしばらく進む。高知自動車道をくぐり,清瀧寺へ
の登りである。自動車で登る道路はかなり狭く,すれ違うのもままならない所であるが,遍路道は途
中から道路を外れ急な登りとなる。長距離移動した後なので結構きつい。前回はここで納経後にお姿
をいただくのを忘れてしまったので,今回はしっかりといただく。下山し本日の宿泊場所である土佐市
内に向かう。土佐市内は何本か道路が平行に走っていてちょっと迷う。地元の方に道を尋ねながら宿
泊場所に到着した。本日の歩行距離39.2km。

5月26日(土)
 朝7時出発。曇りであるが雨は降っていない。遍路地図を見ると至る所に峠越えがある。朝一で峠
越えし宇佐へ。コンビニで昼食を調達後宇佐大橋を渡り青龍寺へ向かう。途中,打戻のお遍路さんと
すれ違う。自分は打戻でなくそのまま横浪スカイラインを歩くつもりであったが,打戻の方が良いのか
と心配になる。青龍寺で納経後やはりスカイラインを歩くことに決めそちらに向かう。ところが何か地
図の表記と道路の様子が違う。戻って納経所で道を尋ねたら,やはり違っていた。青龍寺の裏,奥の
院方面へ向かう山道を進む。スカイラインに出る手前で雨が降り出す。雨具を取り出して着用。スカイ
ラインは曲がりくねったアップダウンが続く道路である。しばらく歩くと野球の練習をしているようなか
け声が聞こえる。地図を見ると高校野球で有名な明徳義塾高校があった。納得である。武市半平太
像のあるパーキングで昼食にする。須崎のビジネスホテルに到着。ふと靴の底を確認すると思いの
外減っている。これは全行程はとてももたない。どこか靴屋があったら新しい靴を仕入れる必要があ
るかもしれないと考える。長距離歩行で新品の靴を履くのは冒険のような気もするが,仕方ないだろ
う。持参している予備がどこまでもつか差し当たっては様子を見ることにする。本日36.6km。

5月27日(日)
 朝7時出発。前日最初に電話したビジネスホテルの前を通過。前日,電話に出てもらえなかったので
休業中かと思ったが,通常営業している様子。遍路旅は宿泊所を確保するのも大きな課題である。須
崎の町を過ぎるとJR土讃線沿いをしばらく歩き,やがて焼坂峠へ。土佐久礼からはそえみみず遍路
道へ。高知自動車道のかなり高度のある陸橋の下をくぐり標高400mほどの峠を越え,四万十町へ。
影野からは再びJR線に沿って国道56号を進む。窪川で国道から岩本寺へ向かう道に入るが,入り口
がわかりづらかった。それでも何とか岩本寺到着。

納経後,宿坊へ。宿坊は食事が出ないので,少し離れたスーパーへ。一旦宿に入ってからの外出は
足に疲労感を感じる。自分の他に男性のお遍路さん1名と女性2人組のお遍路さん1組と同宿となっ
た。本日33.6km。

5月28日(月)
 朝のお勤めの後,7時過ぎに岩本寺を出発。同宿の方々は直前に出発したようである。女性2人組
は,朝食を食べるということで,駅方面に向かった。男性のお遍路さんも出発してすぐ追い越し,国道
56号を進む。しばらく登っていくと遍路道に入る目印となる四国電力の資材置き場を見つける。遍路
道を進み市ノ瀬へ。市ノ瀬からは再び国道56号を歩く。荷稲からはくろしお鉄道の線路を縫うように遍
路道が続く。国道56号であったり,遍路道であったりと道しるべに沿って進み,道の駅ビオスおおがた
を過ぎ,入り野松原沿いの遍路道を進む。途中,反対側から遍路支度をした団体とすれ違う。どうや
ら,バスで札所を回っている人が遍路道を少し歩く体験をするということらしい。そういえば先ほど立
派なホテルの前を歩いてきた。それはそれでも良いのだろう。
 できれば明日下田の渡しをお願いしたいと考え,蛎瀬橋を渡り海岸方向へ向かう。間もなく休憩所
があり,若いお兄さんが休んでいた。今日は四万十大橋を渡り,その先まで行くとのこと。ここまでど
れだけ歩いてきたのかわからないが,時間的に大変だろうなと感じた。自分も他人事ではない,雨は
降ってきているし早く宿に着こうと先を急ぐ。ペンション平野に着いたのは4時を過ぎていた。宿泊者
は自分1人。ペンションはレストランの付属のようであった。天気が悪いと下田の渡しは通れないそう
である。電話で確認するとやはり波が高く明日は無理とのこと。夕食時のそのことを話すと,ここから
四万十大橋まではそれほど遠くないとのこと。道の地図をもらう。明日の宿泊地は足摺岬である。民
宿に電話で確認すると大丈夫とのことで一安心。ところが,しばらくするとその民宿から電話がかかっ
てきて宿泊しないと思っていた人が宿泊することになり,泊まれないとのこと。その代わり同額で泊ま
れるホテルを手配していただいた。今日の歩行距離46.5km。

5月29日(火)
 6時半出発。ペンションのマスターが見送ってくれた。今日は新伊豆田トンネルという長いトンネルを
通るが排気ガスが大変らしい。マスクと飴を接待していただく。思いやりのあるお接待であった。30分
程で四万十大橋の袂へ。コンビニで朝食を摂り,昼食も購入して出発。今日は朝から雨模様である。
そういえば四国地方は梅雨に入ったそうだ。
                                      
  どんよりとした四万十川を渡り,国道321号を進む。新伊豆田トンネルはまだ交通量もそれほど多く
なく排気ガスも気にならなかった。マスクは使わずに済んだ。真念庵への分岐を過ぎ,遍路道は国道
を外れて五味橋方面へ。途中,女性のお遍路さんとすれ違う。真念庵へ向かうのであろう。この道は
金剛福寺からの打戻道である。遍路道は下ノ加江で再び国道に合流する。合流地点に遍路休憩所と
書かれた長いすを発見。ちょっと休憩していると,長いすを設置していると思われる家のご主人が,甘
いコーヒーをごちそうしてくれた。疲れ気味だったので,何よりのごちそうである。それでもここから金
剛福寺まではまだ20km以上もある。先を急ぐ。大岐海岸沿いの遍路道は道らしい道はない。砂浜の
上を海岸に沿って歩くものであった。以布利,窪津を過ぎると遍路道はほぼ県道を歩く形になる。雨
の降る県道の路肩をどこまでもどこまでもアリの行列が連なっていた。遍路中は不殺生。踏まないよ
うに単調な道を進む。足摺岬が近づき道幅の狭いうっそうとした林の間を県道ははしるが,途中から
遍路道は金剛福寺への近道に入る。金剛福寺到着。午後2時過ぎであった。納経を済ませ,手配して
いただいたホテル椿荘へ。なかなか大きな6階建てのホテルであった。しかし,宿泊客は多分私1人だ
ったように思う。オフシーズンなのか?ご老人2人で管理しているようで,食事は外注のようであった。
本日の歩行距離40.8km。

5月30日(水)
 さて,本来ならば昨日の道を打戻しなのだが,20数km重複するのも時間的にもったいない。そこで,
途中までバスを利用することにした。ホテルの前を7時過ぎに出るバスがある。これに乗って,昨日通
過した下ノ加江まで移動。バスは土佐清水を経由するため,下ノ加江まで1時間半近くかかった。歩け
ば4時間以上を費やすので,大幅な時間短縮である。八坂橋通で下車し,昨日コーヒーをいただいた
所から五味橋まで2km程昨日歩いた道を戻る。ここから川沿いに三原をめざす。道は舗装してある
が,自動車はほとんど通らない。五味橋からの18km程を歩く間,2台程の自動車が追い越していった
だけであった。昼食時であるが,コンビニは全くない。三原村物産館でやっと手づくりらしいおにぎりを
購入して食べた。ここから平田までは県道21号をひたすら下る。四国の国道や県道は登りも下りも,と
にかく距離が長い。平田で,国道56号に出る手前で昨日足摺岬へ向かう途中ですれ違った外人さん
を追い越す。延光寺に納経。今日の宿はすぐそばの民宿嶋屋である。明日の宿泊地がなかなか見つ
からない。食事の時に嶋屋のご主人に話すと,ここからなら柏坂あたりまでいけるかもとの話し。電話
をすると大丈夫ということであった。
 バスで22km程ショートカットしたので,本当なら50km以上歩く所であった。民宿嶋屋では韓国人らし
い尼さん2名と同宿であった。本日の歩行距離31.2km。

5月31日(木)
  延光寺脇の山道を越え,国道56号へ。宿毛大橋を渡った所に遍路休憩所があり,お遍路さんが休
んでいた。あるいはここに昨晩宿泊したのか。黙礼で通過する。道しるべが少なく,町中の道がわか
らない。近くの方に道を尋ね進む。町中を過ぎると山道にさしかかる。コンクリートで舗装された道路
ではあるが,結構きつい登りになる。折しも天気は下り坂。雨模様になってくる。途中で雨具を身に付
け松尾峠を越える。一本松を過ぎ,僧都川へ。河畔をひたすら歩く。川を渡り観自在寺へ。

納経後は国道56号を歩く。菊川を過ぎると道は海岸沿いとなる。しばらく歩くと宿から指定された柏郵
便局に到着。近くのバス停で待っていると,車が到着。地図では柏坂はここから少し先になっている
が,実はこのバス停近く。以前はスナックを経営していたそうだ。夕食後,明日の朝食のおにぎりを受
け取り部屋へ。スナックと部屋は続きになっている。部屋はこぎれいであったが,アリがどこからか入
ってきている。遍路中は不殺生であるが,どうも気になる。何匹か退治する。
本日の歩行距離38.7km。

6月1日(金)
 朝食は,昨日夜にいただいたおにぎりを食べ7時出発。柏郵便局から川沿いの道を進む。次第に登
りの傾斜がきつくなってくる。地図を見ると470mほどの高度の峠を越える。3km程の距離でこの高さを
登るのであるから傾斜がきついのも納得。津嶋から国道56号を進む。松尾トンネル手前からは遍路
道になっている。遍路道に入って間もなくの休憩所の所に立看板。「この先崖崩れで通行止め。お遍
路さんは松尾トンネルを通って下さい。」とのこと。それなら,遍路道入り口に看板が欲しかった。仕方
なく戻って松尾トンネルを抜ける。トンネルは自動車が来ると軽自動車でもかなり大きな音が響く。自
動車がいない時は静かで,金剛杖と鈴の音が鳴り響いて気持ちよい。しばらく国道を歩くと宇和島警
察署。ここを過ぎて間もなく宇和島市内方面へ向かう。遍路道の案内に従っていくと宇和島城の小高
い丘にぶつかる。遍路道からは少し外れるが,遠くに靴専門店の看板が見える。時間的には余裕が
あるので,立ち寄って靴を見てみる。何とか履けそうな靴を購入し,底の減った靴はここで処分。その
後,本日の宿泊場所ビジネスホテル鶴島到着。鶴島は素泊まりなので,夕食と明日の朝食を購入の
ためコンビニを探す。なかなか見つからなかったが,フト見るとお弁当屋さんがあった。食事確保。本
日の歩行距離31.2km。

6月2日(土)
 朝7時出発。今日は歩行距離もそんなに長くないので,幾分気持ちが楽である。ホテルを出て間もな
く遍路道に合流。町中を進む。JR予讃線の踏切を3度ほど渡り,線路に沿って歩く。前回はJRで移動
したので気づかなかったが,道路は緩やかな登りとなる。務田手前で左折し,龍光寺へのたんぼ道を
行く。前回はここで元気な中学生に会ったことを思い出す。龍光寺納経後,墓地から山を越えてバス
道路に出る。前回も歩いた所だが,だいぶ遠い感じがした所も今回は難なく仏木寺到着。仏木寺はや
はり山門が立派である。納経後明石寺へ向かう。歯長峠までは200mほどの高低差を登る。西予宇和
ICまで県道を歩き,そこから遍路道に入る。やがて遍路道は宇和球場へ出る。ところがここから遍路
道しるべが見当たらない。前回宇和高校脇を通ったことを思い出し,宇和高校方面に向かう。ここから
明石寺までは道しるべもあり,すぐである。納経後,山道の遍路道を上り下りし,国道56号方面に向
かう。遍路道を歩いていたつもりが,いつの間にか外れて,宇和小学校脇に出てしまった。まあそれ
でもまだ昼過ぎ,今日の宿まではあまり遠くない所まで来た。ここ卯之町は前回方角を大きく勘違いし
た所である。今回は大丈夫。今日宿泊予定の宇和パークホテルのすぐ近くまで来たが,昼食をまだ摂
っていない。近くのコンビニでおにぎりを買い,駐車場で休憩しながらゆっくりと食べる。ここから歩い
て10分程でホテルに到着である。2時を過ぎたので,ホテルに向かう。チェックイン可能であった。ただ
し,大きな風呂は4時からとのこと。その間に洗濯を済ませる。同じように遍路をしている方と風呂で会
う。明日の予定を話し合っていると,明日宿泊予定の民宿はどうも休業中らしい。このあたりに絶対泊
まらない方が良いという噂の宿泊施設があるから注意するようにという情報を得た。しかし,どこか近
くに宿を確保したい。どうせ1泊だけだから何とでもなるだろうと思いながら,近くの旅館に電話し予約
完了。仮にも旅館であるから,その噂の宿泊施設ではないと確信する。今日のホテルは快適である。
本日の歩行距離30.6km。

6月3日(日)
 ホテルを7時に出発。しばらくは国道56号沿いに平坦な道を歩く。やがて国道を外れ鳥坂峠へ。

山道を進むと急に車の音が聞こえ,松山自動車道に出る。遍路道は伊予大洲の手前で再び国道56
号に合流。しばらく国道を進む。暑さも手伝ってかなり体力を消耗している感あり。なかなか進まない
ような気がする。まだ20km程しか歩いていない。単調な道を歩くのはなかなかつらいものがある。や
がて内子に通じる山道へ。内子の運動公園脇を通過して内子駅を越え,町中を進む。内子もなかな
か風情のある町並みが続く。町中を抜けると道の駅である。休むか休まないか迷うが,結局迷ってい
るうちに通り過ぎてしまう。ここからまた10km以上歩く必要がある。仙人宿大師堂を過ぎ,本当は予約
しようと思っていた民宿来楽苦を過ぎる。さらに進んで本日の宿泊場所さかえ屋旅館へ。外観はどう
も旅館の体をなしていない。入るとさらにその感を強くする。不悪口ではあるが,汚れた納屋という感
じである。猫が沢山いた。そういえば,先の情報の泊まっては行けない宿には猫が沢山いるとのこ
と。ここだったのか!部屋は2階であったが,その匂いがものすごい。猫の糞尿なのか,トイレなの
か。部屋の床も平らでなく,歩くと沈む。トイレは昔ながらのくみ取り式で極端に狭い。においも充満し
ている。これでも昔は良かったのかとある意味感心しながら1泊お世話になる。洗濯はお金を払って
やってもらったが,乾燥機はなく,外干しである。明日まで乾くか不安である。いたたまれない部屋の
匂いを我慢しながら眠りにつく。 本日の歩行距離46.9km

6月4日(月)
 朝になり,洗濯物を確認するとやはり生乾きであった。仕方なく,そのまましまい込む。朝に支払い
を済ませるが,遍路宿としてはやや高めであると感じたのは,設備,環境のせいか?こんな感情が私
に天罰を下す。出発しようと旅支度をして2階から階段から降りる際に,つい滑ってしまい,そのまま
階段落ち。左の肘をかなり大きく擦り剥いてしまった。痛みは大したことがなかったので,手当もせず
に出発。早くここを出たかったのもある。鴇田峠に向い国道379号を登る。国道で舗装もされた道路で
あるが,川沿いに続く登り坂である。やがて落合トンネルを抜けるとすぐに国道を右に外れる。自動
車が通る道路ではあるが,道幅はかなり狭く登りもきつい。畑峠との分岐点三島神社を過ぎ,下坂場
峠を越える。ここからは久万高原町である。遍路道は一旦下るがまたも登り。鴇田峠は標高790mと結
構な高度の峠である。20km弱の登り下りを歩き久万町が見えてくる。昼も近いので,スーパーで昼食
を買い,休憩スペースで昼食にする。その後,久万町の町並みを通り,大寶寺山門を抜ける。前回も
感じたが,この山門は大きさといい,佇まいといい立派である。坂を登って行くと大寶寺である。

納経後,大寶寺裏の山道を通り,峠御堂トンネルの出口に出る。ここからしばらくは岩屋寺に向かう
県道12号を歩く。今日は登り下りが多かったので,ちょっと疲れ気味。この旅で初めて1人のお遍路さ
んに抜かれた。こちらはバックパックを背負っており,むこうは身軽に身ひとつというハンディはあって
も,非常に足の速いお遍路さんであった。きっと歩き慣れた方なのだろう。そのまま県道を岩屋寺まで
歩こうと思ったが,途中で休憩した所から遍路道は八丁坂を越えて岩屋寺に通じる。こちらを行くこと
にする。八丁坂は,昔,修行僧達がここを越えるのにつらくて思わず大師宝号を唱えた所らしい。確
かに足下も悪く,それこそ胸突き八丁の連続である。どこまで行っても登りが続くのではないかと思え
るような急登であった。実は八丁坂を越えてもさらに遍路道は高度を上げる。最高地点の760mをやっ
との思いで越え,いよいよ岩屋寺が近づくと,至る所に石仏が祀られている。このあたりには道しるべ
もなく,はっきりと遍路道と確認できる様な道もない。なんとなくここを下りるのかなの感で,急な下りを
進む。途中で,先ほど越されたお遍路さんに出会う。もう納経を済ませての帰り道である。「速いです
ね」と声をかけると,「今夜泊まる宿に荷物を置いてきたのでね」との応え。それにしても健脚である。
またあの八丁坂を越えていくとなると大変だろうと想像する。岩屋寺は岩山に半分本堂を埋め込んだ
ような寺である。ここもまた厳かな雰囲気が強い。納経を済ませ,私は八丁坂でなく県道方面へ降り
る。途中で県道から上がってこられた参拝者やご老人達何人かとすれ違う。岩屋寺は県道からもかな
り急な勾配を登らなければならない寺である。皆,息を切らせての参拝である。今日の宿はここから
県道を少し下った国民宿舎である。古岩屋荘は立派な温泉宿であった。本日の歩行距離36.9km。

6月5日(火)
 朝7時出発。古岩屋荘からは八丁坂までの途中に出る山道もあるが,ここは県道12号を歩くことに
する。昨日歩いた道を戻り,峠御堂トンネルを抜けると遍路道は県道を外れて斜面をほぼ直線的に
下る。再び県道に出て久万町である。右に折れて国道33号線を進む。国道はここからまた長い長い
登りである。汗が噴き出す。自動車専用道の三坂道路の分岐点を過ぎて間もなく休憩所で小休止。
道はなおも登り,標高710mの三坂峠手前から右に遍路道は誘導される。ここからは山道をひたすら
下る。どこまで行っても下りである。途中の休憩所にテントが一張り。ここで野宿したのか!熊は兎も
角としてイノシシは大丈夫なのだろうか?さらに下る。途中に有名な遍路休憩所の坂本屋がある。今
は休業中のようである。さらに下り,やっと人里に出る。しばらく行くと浄瑠璃寺である。納経後八坂寺
に向かう。浄瑠璃寺と八坂寺は1km程しか離れていない。八坂寺で納経をしている間に雨模様とな
る。雨具を身に付け西林寺に向かう。途中でお遍路さんの団体を乗せた観光バスに何台か出会う。
合羽を着て菅笠に金剛杖。バスからはどのように見えているのだろうといらぬ想像をする。

西林寺納経後浄土寺へ。浄土寺納経後,持参したテーピングがなくなってきたので,ドラッグストアに
立ち寄りテーピングを購入。長距離歩行にテーピングは不可欠である。夕食を確保して本日の宿,た
かのこのホテルにチェックイン。たかのこのホテルは隣接するたかのこ温泉という温泉に入浴できる。
ゆっくりと温泉に浸る。雨はまだ降っている。本日の歩行距離33.9km。

6月6日(水)
 朝7時出発。昨日納経を住ませた浄土寺前では地元の小学生が先生の指導誘導で元気に登校中
であった。元気に挨拶し,浄土寺から繁多寺に向かう。最初の予定で宿泊予定のそらともりの下を通
り,住宅地の中の遍路道を進む。繁多寺で納経後石手寺へ向かう。朝がまだ早いので,道路は地元
の通勤の車で結構混んでいる。石手寺で納経を済ませると,中国人らしい団体が入ってきた。こんな
朝から外人さんも観光に出ていることに驚く。石手寺から道後温泉へ。スマホで道後温泉本館を自撮
りしていると,研修中の中学生5〜6人のグループに写真を撮って欲しいと頼まれカメラマンに。本館
正面から続くアーケード街が遍路道になっている。松山大学前を通って国道196号線へ。塩見小学校
前を左折して大きなため池のそばを進む。ため池には大きな魚が沢山見える。ブラックバス?しばらく
行くと太山寺山門に到着。山門から本堂までは急な登りとなる。納経を済ませ納経所へ。太山寺の納
経所は本堂とは離れていて山門近くの駐車場の所にある。
            
太山寺から約2kmで円明寺である。円明寺からは海沿いの道がしばらく続く。左手は瀬戸内海。穏や
かで水も綺麗であった。県道347号から県道179号へ。伊予北条が今日の宿泊地。本日の歩行距離
33.1km。

6月7日(木)
 朝7時出発。天気は曇り。JR予讃線を越え,遍路道を進む。鎌大師を越え,山道を進むとやがて海
沿いの国道196号に合流。海沿いの単調な国道をしばらく進むとやがて遍路道は国道から離れたり
合流したりを繰り返しながら並行して続く。遠くに太陽石油菊間製油所が見えてくる。製油所は近くで
見るとかなりの迫力がある。単調な遍路道を歩いている疲労感がじわじわと感じるようになる。大西
を過ぎると道は海沿いを離れる。大西は前回宿泊した所だ。地理勘が戻ってくる。国道196号から県
道38号へ。前回バス移動した道路だけに,延命寺までこんなに遠かったかなと思いながらまっすぐな
道を歩く。やっと延命寺の案内板を見つけほっとする。延命寺納経後墓地,住宅地,大谷霊園の所に
ある公園で昼食と大休止。大谷霊園を抜け今治の市街地へ。間もなく南光坊到着。南光坊は敷地面
積も広く立派なお寺である。納経後,山門を出て南光坊の脇をUターンの形で泰山寺へ。南光坊から
泰山寺まではほぼ一直線である。泰山寺で納経後,たんぼ道を蒼社川に向かって歩く。蒼社川の土
手に出て少し行くと川を越える橋を渡る。土手沿いに遍路道表示はあるが,誰も歩いた形跡もなく,
草刈りもしていない。自動車が通る道沿いに進む。間もなく小川沿いの遍路道に入る。栄福寺に到着
し納経。栄福寺からは仙遊寺まできつい登りの山道である。特に,仙遊寺直下の参道は急な階段登
りとなる。仙遊寺で納経後,本日はここの宿坊泊まりである。セルフのコーヒーサービスがあった。宿
坊からは今治市が一望でき,遠くしまなみ海道も見ることができる。

夜景が素晴らしいとのことであった。仙遊寺宿坊は温泉である。疲れも吹き飛んだ。食事は精進料理
であった。本日の歩行距離38.8km。

6月8日(金)
 朝のお勤めに参加。般若心経は豪快な太鼓のリズムで唱える。お勤めの後の住職さんのお話もユ
ニークで面白かった。朝食後7時30分出発。参道は避け自動車をすすみ,途中から遍路道を下る。伊
予富田で県道156号に出て国分寺へ向かう。順番からすれば次は第60番札所の横峰寺である。とこ
ろが当初予定していた宿泊所が今は休業中とのことで丁度良い所がない。そこでルート変更し,61
番62番のある伊予小松へ向かうことにする。ここは前回宿泊した宿を取ることができたからである。
伊予桜井を過ぎ,国道196号に出て間もなく本来歩くはずであった遍路道の分岐点を過ぎる。今回は
このまま国道を歩く。河原津を歩いている時に金剛杖に付けた鈴が1つ無くなっているのに気づく。も
う一つも落ちそうになっていた。鈴を結び直し出発。ここは遍路道ではないので,道しるべは全くな
い。途中のコンビニでコーヒーを飲み気分転換。単調な道である。中山川大橋を渡り,予讃線,国道1
1号を過ぎると間もなく第61番札所香園寺である。納経を済ませ,さて次の62番宝寿寺はちょっと訳
ありである。四国88箇所霊場からの脱退騒ぎがあり,納経は香園寺の駐車場脇のプレハブで行う。
ご本尊も置いてあるが,本物では無いかもしれない。それでも納経帳には御朱印を押していただい
た。本日の宿泊を予約したビジネス旅館小松は以前の場所とは別の場所に移ったそうである。以前
の場所に地図を貼ってあるのでそれを見て欲しいとのこと。以前の場所を見つけるのに少し戸惑っ
た。新しい場所はすぐ近くであった。まだ少し早いので,少し先だが,第63番吉祥寺をお参りすること
にする。納経後,道を戻り宿へ。本日の歩行距離31.7km。

6月9日(土)
 朝7時出発。ビジネス旅館小松から横峰寺までは香園寺から登る遍路道よりも近道があるというの
で,その地図を頼りに登る。石鎚山ハイウェイオアシス入り口を過ぎると採石場の脇に手書きの遍路
道の表示が。

山道をひたすら登る。途中工事車両のために泥状になった道を通り,いよいよ自動車は入れない山
道である。なかなかの勾配をただただ登る。やっとの思いで香園寺からの遍路道に合流。少し行くと
道が二叉になっている。さてどちらに行くのかわからない。大きめの道を進むとどんどん下っていく。こ
れは間違ったと思い,先ほどの二叉まで戻る。少しだけもう一方の道を登るが,どうも雰囲気が違う。
再び二叉まで戻り,下りの道を行ってみることにする。しばらく行くとやっと遍路道の札を発見。かなり
の時間ロスをした。横峰寺は標高745mある。できれば下りたくないのだが仕方ない。遍路道はやがて
自動車道路に出てまたすぐに歩行者用道路になる。自動車道路を自転車で下ってくるお遍路さんに
会う。道路が濡れているのでタイヤが滑り怖いとのことであった。歩行者用道路は通行止め標識があ
り,ここを登って良いのか訝りながら登ると駐車場からの歩道に出る。横峰寺はとても険しい山奥にあ
るお寺であるが,立派な佇まいである。納経を済ませ,小休止してから下山。今,登ってきた道をその
まま下ることになる。遍路道に入り間もなく先ほどの自転車のお遍路さんに追いつく。遍路道はただ
降りるだけでも大変なのに自転車を担いで降りている。それでも危険を回避したいがための選択なの
だろう。無謀に近いなと思いつつ追い抜く。ビジネス旅館小松近くまで戻り,前神寺へ。途中の吉祥寺
は昨日納経を済ませているので通過。前神寺には女性の一人旅の外人さんが休憩中。黙礼し,納経
を済ませ,遍路道を行こうとして道を誤る。先ほどの外人さんが,前神寺から出てきたのと出会う。ど
こまで行くのか聞くと伊予西条までとのこと。同方向ではあるが自分は遍路道を歩きたいので,そのま
ま分かれて歩く。湯之谷温泉旅館がいっぱいということで断られたので,ホテルイレブンを予約。4時
からとのことであったが3時には到着。しばし腰をかけて玄関前で待つ。その間に目の前のコンビニで
夕食を購入し,ホテルが開くのを待つ。今日の歩行距離27.8km。

6月10日(日)
 午前7時出発。コンビニで朝食を摂り,昼食のおにぎりを購入し,国道11号をしばらく歩く。飯岡で遍
路道に合流。遍路道には道しるべがあるので安心して歩くことができる。新居浜市に入ると国道11号
に並行して遍路道が続く。昔はここがメイン道路だったのだろうと想像できる。3時間程歩き疲れが出
てきた所でコンビニに立ち寄り休憩。コーヒーは気分転換とモチベーション回復に最適である。本日
の行程は単調な道路が延々続く。伊予三島が近くなり雨模様になる。雨具を身に付けて時間を確認
するとまだ3時前,三角寺までお参りすることにする。松山自動車道を抜け銅山川発電所のあたりか
ら登りになる。自動車道に出てもさらに登りが続く。三角寺で納経を済ませると雨脚がかなり強い。タ
クシーを呼んで今日の宿泊場所まで戻ることにする。雨具を付けていても長時間の登りで中は汗で
すっかり濡れている。タクシーに乗るのも気が引ける。ザックから乾いたタオルを出し,シートに敷いて
座る。大成荘に付いたのは午後5時であった。同宿者は自分以外に3名で,そのうち外人が2名であ
った。その中に昨日前神寺ですれ違った女性がいた。同宿の3人は皆昨日も同宿だったそうです。さ
て,明日は三角寺から金生川沿いに雲辺寺まで登る予定でいたが,宿泊を予定していた青空屋が満
杯で泊まれないとのこと。同宿の3人は青空屋がとれたそうである。仕方なくもう少し先まで歩くとなる
と時間的に厳しくなる。そこで予定を変更して伊予三島からJRで観音寺まで移動し市民バス,ロープ
ーウェイを利用して雲辺寺まで登り,そこから観音寺まで歩くことにする。本日の歩行距離43.5km。

6月11日(月)
 昨日の同宿者3人は三角寺に向かうということで朝6時30分に出発した。自分は昨日三角寺は納経
しているので,列車の時間までゆっくりと過ごす。伊予三島駅8:03発の列車に乗る。観音寺からの市
民バスは観音寺発8:52で谷上着9:38である。運賃は一律100円。谷上から雲辺寺ロープ−ウェイの山
麓駅までは約3km程の登りである。あっという間に楽して雲辺寺到着。

納経を済ませる。雲辺寺は標高910mと四国88箇所霊場中最も高い場所にある。ここからは歩いて下
山する。足下はあまり良くない所もあり,傾斜のきつい所もある。ザックに付けた熊よけの鈴がうるさ
いくらいになる。途中で若いお遍路さんを追い抜く。宿泊予定であった青空屋直前でやっと自動車が
通行可能な舗装道路に出る。しばらく歩くとため池のそばに休憩所があり,ここで小休止。ついでに昼
食のおにぎりを摂る。雨模様になってきたので雨具を身に付け大興寺へ。大興寺の山門近くには大
きなかやの木がある。納経を済ませ,観音寺駅へ向かう。一旦やんだ雨がまた降り出した。高松自動
車道を越え雨の中をひたすら歩く。予讃線を越えて左折。駅前のサニーインにチェックイン。本日の
歩行距離はかなり楽して19km。

6月12日(火)
 サニーインを午前7時出発。街中を通って神恵院と観音寺を参拝。この2箇所の札所は隣り合わせ
で同じ敷地内にある。納経後,財田川を渡り土手に沿って歩き,本山寺へ。本山寺納経後,国道11号
を進む。豊中から遍路道は国道11号をそれ,これまた旧道らしき道を歩く。高瀬を過ぎた所で,自転
車のおじさんに声をかけられる。地元の方だとは思うが,自分も遍路をして歩いたことがあるとのこと
で,気をつけていくようにとのねぎらいであった。しばらく行くとはるか前方を歩くお遍路さん。徐々に
距離が縮まり弥谷寺入り口で追いつき追い越す。ここからは登り坂である。弥谷寺は階段が続くお寺
である。最後の本堂には108段の紅い階段が待っている。この寺は幼少の頃の空海が修行した寺と
いうことで,本堂には靴を脱いで納経し,本堂奥の空海の修行した場所の空海像までお参りできる。
納経所はご本尊の脇にあり,自分の読経は全て聞かれる。ちょっとした緊張感をもちつつ納経終了。
寺を後にして階段を降りる途中で,先ほど追い越したお遍路さんとすれ違う。この71番札所弥谷寺か
ら77番札所道隆寺までの参拝を特に7箇所参りといって,四国88カ所をお参りしたのと同じ御利益が
あるとか。確かに,この中には空海が生まれた善通寺と修行した弥谷寺が含まれている。また,1日で
十分廻れる距離であることもこうしたいわれにつながっているのかもしれない。弥谷寺からは山道の
遍路道を通り,曼荼羅寺へ。納経後,距離で600mほど登った所の出釈迦寺へ。出釈迦寺から善通寺
方面の眺めはなかなか良い。
          
出釈迦寺から曼荼羅寺まで下り,甲山寺へ。甲山寺から善通寺までは街の中を歩く。途中に大きな
善通寺病院がある。善通寺は本堂と御影堂が道路をはさんで反対にあり,広大な敷地を誇る。境内
の五重の塔が存在感を示し,実に見応えがある。今日はこの善通寺駅前で宿泊する。大体の行程に
目処が付いてきたので,善通寺駅で帰りの切符の手配をする。希望通りの指定で完了。本日の歩行
距離32.8km。

6月13日(水)
 朝7時出発。善通寺近くの遍路道を通り,高松自動車道を越えると間もなく金倉寺である。納経後,
道隆寺へ。前回この道隆寺前で小さなお地蔵さんの焼き物をお接待いただいた。あのときは道隆寺
にもそのお地蔵さんが沢山祀られていたが,今回それは見られなかった。道隆寺から郷照寺までは7.
2km。納経所で2時間くらいかかるから気をつけてと言われたが,2時間はかからないだろう。途中丸
亀で土器川を渡る時に丸亀城が見えた。写真を一枚。宇多津に入り郷照寺へ向かう。途中の入り口
を間違い,行きすぎてしまった。道を聞きながら到着して納経。境内から遠く瀬戸大橋が見えた。

郷照寺を出てすぐに,「お遍路さん休んで行きなさい」と声をかけられる。ありがたく休憩を取ることに
する。時期的に遍路が少なくなる時期であるとのこと。今日はあなたが最初のお遍路さんだよ。暖か
みのあるお接待に感謝である。後で見たら,「うたんぐら」。以前お世話になった徳島のすだち館でぜ
ひ泊まった方が良い宿泊所と勧められた所であった。遍路に対する接待という風習がまだ根付いて
いることを実感する。坂出は遍路道が地元の商店街を通る。八十場の水を通り過ぎて高照院へ。納
経後,昼食を取る場所を探した,高照院には休憩所がなかった。そういえば先ほど通過した八十場に
「名物ところてん」とあった。のども渇いたので,ところてんでも食べようと少し戻る。とてもすっきりとし
た味のところてんであった。再び高照院を抜け,国分寺へ。国分寺には88カ所参りを一カ所で完了で
きる88カ所の石碑があった。納経後,民宿あずさに向かう。ところが,民宿あずさがなかなか見つから
ない。近くの人に聞いてもわからない。国道沿いであったが,なかなかわかりづらい所であった。今日
の歩行距離32.3km。

6月14日(木)
 朝7時出発。山際まで住宅地が広がり,丁度出勤時間と重なっているため結構自動車が降りてくる。
いよいよ山道へ結構な登り坂である。途中で山菜採りでもしているのか老夫婦を追い越す。白峰時
へ続く自走車道に出てすぐまた遍路道がある。ところが少し遠回りになるようなので,自分は自動車
道をそのまま歩く。途中から遍路道があるのでそこを進む。遠くで銃声が聞こえる。狩猟でも行ってい
るのだろうか?ところが,道しるべを見落としたのかどうも変な感じ。ゲートがある。なんと自衛隊の演
習場だった。ここから先には進めないといわれ,地図を見直すが,遍路道を見失う。仕方ないので自
動車道に出てそのまま自動車道から白峰寺をめざす。白峰寺で納経を済ませ,山道の遍路道を歩
く。十九丁の手前でお遍路さんに出会う。十九丁を通ってきたとのこと。白峰寺からここまでの悪路の
状況を話し,分かれる。十九丁を通過し,自動車道路へ。やがて自動車道路はT字路になる。この突
き当たりから遍路道が続く。少し下っていくと根香寺である。納経後,根香寺からは草丈の高い藪の
中の遍路道となる。下りが続く。自動車道に出て初めてまむしを見た。これまでシマヘビは何度か見
ている。遍路道をまた見失い自動車道をそのまま進む。高松西高の脇を通りやっと遍路道に合流。
JR予讃線を越え遍路道しるべに従って進む。そろそろ昼時なのでどこかで昼食を摂りたいが,遍路道
沿いには見当たらない。少し外れてコンビニに立ち寄る。イートインスペースで昼食。さらに遍路道の
道しるべを頼りに歩くが,国道32号線を越える所で,道しるべが見つからない。大体の感で進むと,地
元の方にそこの狭い川の土手が遍路道だよと教えられる。曲がりくねりながら道しるべに導かれるま
ま一宮寺に到着。今日は高松の瓦町近くの旅館が宿泊地である。この辺からはもう遍路道しるべが
全く見つからない。大体の地理勘を地図と照らし合わせて適当に進む。町並みに入り地元の人に確
認。遍路地図はわかりにくいと,別の近郊地図をいただく。やっとの思いでビジネス旅館三鈴に到着し
た。三鈴は夕食は出ないが,朝食はおにぎりを接待するとのこと。ありがたい。大通りから少し入った
目立たない旅館であるが,最もリーズナブルな旅館でこの遍路旅中最も良い宿泊所だったように思
う。本日の歩行距離34.5km。

6月15日(金)
 朝7時,旅館の女将さんに見送られて出発。大通りまで見送りに来てくれた。出発して間もなく国道
11号線に出る。大きな道路だけに自動車の量も多い。歩道も十分広いので不安はない。橋を4つ越
え,琴電志度線潟元方面へ。潟元駅は通勤客でいっぱいである。遍路の格好をして働きに行く人の
そばを通るのは少し気が引ける。ここから山道へ。山道と行っても舗装された立派な参道である。登り
はきつい。地元の方だろうか,ストックを付きながら登る人もちらほら。自分ももちろんストックを付いて
登る。屋島寺で納経。納経所で,ここから先は急斜面の下りなので十分に気をつけるようにと注意を
受ける。下りにかかる直前の見晴台から,壇ノ浦をはさんでこれから向かう八栗寺方面を遠く望め
る。

いよいよ下り。結構滑り危険である。納経所での注意に納得する。住宅地まで降りてもまだ急な下り
である。自動車も難儀するだろうと推測する。高橋を渡り,コンビニで一休み。コーヒーを飲んでから
八栗寺へ。八栗ケーブル登山口駅をめざすが,遍路道しるべを見逃した。遠回りして到着。登山口駅
からはケーブルカーの軌道に隣接した遍路道を登る。グループで登る一団を追い越す。八栗寺到
着。納経後自動車道を下る。二ツ池親水公園でトイレを拝借。小休止する。八栗新道から国道11号
を歩き志度寺へ。志度寺も五重塔が立派なお寺である。工事中であった。納経後,県道3号を長尾寺
へ。広瀬橋から県道をそれ,川の土手沿いに進む。橋を渡る手前に休憩所がある。明日登る大窪寺
までの遍路道がコース別に解説してあった。幾つかコースがあるようだが,ここに来て無理をする必
要は無いので,明日まで検討しようと思う。長尾寺に納経後,本日の宿泊場所ながお路へ。先着のお
遍路さんがいた。旅館の方はおらず,玄関に表示してある部屋割りに従って入室。本日の歩行距離
29.4km。

6月16日(土)
 ながお路を7時30分出発。本日88番に納経すれば結願。歩く距離もこれまでの半分程度。ゆっくりと
出発である。昨日先着だったお遍路さんはもう出発したようだ。もう一人同宿のお遍路さんがいたが,
長尾寺に参拝してから大窪寺に向かうということで分かれる。今日の行程は色々検討した結果,無理
せず山登りを避けた迂回路にする。遍路道を歩き,一心寺を過ぎたあたりから前方にお遍路さんが
見える。徐々に近づき追い越そうとすると昨日のお遍路さんであった。しばらく同行し,前山おへんろ
交流サロンをめざす。ここは遍路に関する展示と大窪寺までのルート案内も行っている。また,結願
する人に「四国八十八カ所遍路大使任命書」を発行している。各札所の案内DVDも配布していた。同
宿だったお遍路さんはここから女体山遍路道保全橋経由で大窪寺に向かうとのこと。私は前山峠を
越え多和から自動車道沿いに大窪寺をめざすため,ここで分かれる。女体山経由は約7km。多和経
由は約10km。前山峠を越え,多和を過ぎて大窪寺に到着したのは午前10時30分過ぎであった。大窪
寺無事納経。結願であった。歩行距離17.5km。

 大窪寺からはバスで下山する。長尾まで戻り,長尾から琴電で瓦町に移動し,琴平まで行き金比羅
山をお参りする。

6月17日(日)
 琴平駅から土讃線,瀬戸大橋線を通り,岡山駅から山陽新幹線,東海道新幹線,東北新幹線経由
で帰宅した。今回の歩行総距離966.8km。徳島県を含めた総歩行距離は1136.7kmであった。


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