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昔々あるところに、堪忍袋をいつも膨らませていたおじいさんと、堪忍袋を全く持たないおばあさん が平和に、住んでおりました。
ある時、おばあさんは、おじいさんの大きな堪忍袋を指して、「私も、堪忍袋がほしい」と、おじいさ
んに言いました。それから、何日も何日も、堪忍袋がほしい、堪忍袋がほしいと、言っていました。
おじいさんは、大層困って、ついに、神様に、お願いしました。
ある晩、いつものように、おばあさんが、おじいさんに「堪忍袋がほしい!」と、言っていたところ、
神様が現れて、おばあさんに、「どうしても、堪忍袋がほしいか?」と、尋ねました。
おばあさんは、「ぜひとも!」、「ぜひとも!」と、応えました。
それを聞いて、神様は、遠い村に住んでいた、堪忍袋を持たないおじいさんと、堪忍袋をいつも膨ら ませているおばあさんとの1組から、おばあさん同士を、入れ替えました。
しばらくすると、堪忍袋を持たないおじいさんと一緒になった、おばあさんの堪忍袋が、徐々に大き くなってきました。また、しばらくすると、今まで持っていなかった、おじいさんの堪忍袋も大きく なってきました。
また、しばらくすると、ふたりの堪忍袋は、もっともっと大きくなり、やがて、同時に、大きな音を 出して破裂し、ふたりとも死んでしまいました。
一方、堪忍袋を持ったおばあさんと暮らし始めた、おじいさんの堪忍袋は、だんだんと小さくなり、
また、代わって来たおばあさんの堪忍袋も、同じようにだんだんと小さくなり、やがて本当に小さく
なり、ふたりはずっと、ずっと長く、幸せに過ごしました。と、さ。
おしまい。