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定刻より早く朝7時45分、学生17名と、事務局5名を乗せたバスは、快調に目的地に向かった。
参加者数は、事務局の想定した定員35名には及ばなかったようだが、参加出来た我々には、なぜ、
参加者が、少ないのか・・・、もったいない話だと、残念には思っていた。
2年前に笠間への研修旅行があったので、同じ内容と思って、自粛した学生もいるとは聞いたが、
2年前は絵付けの実習であったらしい。『ロクロ実習』と聞いて、不参加を残念がっていた数人
を知っている。
ともかく、往路の高速道路も空いていて、順調な運行であった。
今回の『ロクロ実習』を企画された、同行したS先生の、企画動機の話は、興味深かった。
先生のお話しの中から、自分で勝手に、参加の意味を作り上げた。(先生のお話しを正確にはメモ
していなかったので、ごめんなさい。)
物つくりは頭で計算するものの、本当に大切なのは、実際に完成したイメージに、
物を作り上げていくことである。
ロクロ工程で作ったものは、最終完成のイメージとは違う。なぜなら、ロクロで作ってから、
乾燥させ、さらに焼く行程があって後に、本完成するが、この工程間で、ロクロの現品は、
相当に縮むのである。
すなわち、ロクロでは、その縮具合を想定して、大き目の、厚目の現物を作るのである。
今作っている、ロクロの現物を、焼き上がった後の縮んだ完成品としてのイメージで、作るのである。
完成品のイメージ通りに、ロクロ現品を作るという、難しいことを体験するのが、今回の実習の
1つの意味ととらえた。つまり、工程間のイメージの差異衝撃を体験することである。
ロクロ作業にも当然熟練が必要である。マニュアルに添って、スタッフが、手を取って教えてくれる。
また、ひずんだり、肉厚の調整をも、助けてくれる。そうして1個目は、無難な作品が出来上がる。
2個目は、マニュアル手順を忘れ、勝手に指を動かし、スタッフへのヘルプも告げず、結果、もはや修正の
効かない、薄目の肉厚に仕上がりアウト。(▲写真は、ロクロ作業開始前、スタッフの説明を聞いているところ)
6個ぐらいは、この粘土量で出来るとの、スタッフの声は聴いていたが、4個で終了してしまった。
粘土は、残っていたが、イメージが、枯渇した。4個とも、どれも捨てがたい作品であったが、1個を
選出した。
これが、やがて、乾燥、素焼きの工程を経て、1ヶ月後に、手元に届くとのことである。
完成品とのイメージがいかに違っているかを、知らされるだろう。
初体験で、4個ぐらい作っただけで、ロクロの面白さは、実感した。が、完成品のイメージと言う
物作りへのギャップ体験は、まだまだ何回か繰り返しての体験が必要だろう。
次回、笠間ロクロ体験研修が企画されたならば、また、参加する必要があろう。
ロクロ体験のあとで、茨城県陶芸美術館に入館した。入館後すぐに、雷と大雨で、集合時間まで、
美術館から出られなかった。これが幸いしてか、館内を1時間30分も、じっくりと観覧できた。
「人間国宝松井康成の全貌ーものいわぬかたちのひかりー」が茨城県陶芸美術館開館5周年記念で開催
されていた。
松井康成の『練上(ねりあげ)』(色の異なる土を重ねたり練り合わせるなどして、文様のある生地
土を作り成形する技法)(茨城県陶芸美術館パンフレットより)による作品などを、賞賛を持って
鑑賞させてもらうことが出来た。
不確定・不明確な加熱の工程をへて、完成品をイメージすることの”妙”に、陶芸の至難な価値を
垣間見ることが出来たと、今回の研修旅行を評価している。
もちろん、学生相互、教職員との交流が図れただろうことは、想像できる。