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昔の知人との遭遇、その反応(好きか嫌いか)(自然周吾)

先日、平日の昼時間、学校の視聴覚室で、テニス開始までの時間ビデオテープを視聴していた。
いつも回りの人には気をつけていないが、窓際の女性が立ち上がった際に、ちらと顔が目に入った。
なんとなく知った顔である気がした。が、声をかけなかった。
しばらくして、前の職場の同僚である記憶が戻った。

もう5年ほど前に辞めた同僚だ。いい思い出が無かったのだろうか、身体は、マイナス方向に動いていた。
こちらはテニスの格好をしていたし、帽子をかぶってヘッドフォーンを付けていたし、鬚を生やし、 テニス焼けで顔も黒ずんでいただろう。当時とは違っている私の風貌には、気づかないかも知れない。

私は、そのまま、ビデオを視聴し続けた。40分の間、2−3回相手は、席を立って受付を往復した。 分からなければそのままにしておこうと、私は、じっとしていた。
そして、彼女の現状を想像した。
5年前に辞めた時、30歳を超えていたから今は、35歳くらいだろうか。大卒であったから、いまは、 大学院にでも入学したのだろうか。結婚して、勉強しに来たのだろうか。確か実家は、近所ではあるが・・・。
今まで、会うことも無く、気がつかなかったのだから、最近入学したのだと思う。

いつかまた、あらためて学内で遭遇するだろうが、今日でなくてもよいと、思った。 別段隠れるような状況ではないのだが、積極的に声をかけたいと思わなかったのも事実である。
一見だが、同僚であったという記憶に間違いはないだろう。

そう、あのしぐさが、間違いないと思った。夏でもショールを巻いていた。ピンクの色調だ。
当時より、顔はふっくらとした印象であった。
視聴しながら、記憶から推測していた。そして、彼女が視聴している間に、そっと席を立ち、コートに向かったのである。

(05/10/12)