クリックすると寸法図が出てきます。

21M DP  24M DP  28M DP

スタブ型ローディング

21/24/28MHz帯

シングルバンドダイポール

                         

1. はじめに

 『本格的なアンテナを製作してみたい。』・『だけど難しそうだし・・・』、
『工具とか測定器とか無いし・・・』・『作る時間がとれないよ・・・』、
『買った方が安いし、安心だよ。』・『市販品の方が見た目が良い。』・・・

 上記した様な21M帯でのローカルQSOでのやりとりと、前回のANT製作時の
改善点から、今回のANTが出来上がりました。

 前回のANTは、50M帯用DPの先端に短縮コイルと追加エレメントを取り付けて
2バンド化したもので、HF帯での短縮率も高くなってしまった為に、バンド幅が
あまりとれないし、短縮コイル部分の製作・調整に手間が掛かりすぎる等々、
とても初心者向けとは言い難いシロモノでした。

 問題になった『短縮コイル』の製作と防水加工をなくし、組立や調整の
簡略化・簡素化を図ったANTが今回出来上がった、この
『スタブ型ローディング シングルバンドダイポール』です。

 その外形は、フルサイズDPのエレメントの一部分をU字型に折り返し、
全長を短くしただけの単純な構造で、このU字型スタブ部分でエレメントの
全長を変化させ、この部分の加減だけで、調整が取れる様に工夫したところが
このANTの『ミソ』です。
(このU字型部分の折り返しの為か、偶然のイタズラか、
 給電部のインピーダンスは、都合良い事に50Ω付近になります。)

 また、『細いパイプに貫通ビス穴を真っ直ぐにあけるのは、大変難しい!』
と言う意見が多いので、今回のANTは貫通ビスを使わずに全てセルフタップビス
にして、穴あけ加工と組立が簡単に出来るようにしてあります。

 目指すところは、『フルサイズより短いのに、フルサイズ並の性能』そして
『安価に出来て、組立・調整が簡単』、ナニより『見た目が悪くない事』と、
『充分な実用性』です。

2. 材料について

 材料は、大きめのDIY店で容易に入手できるモノで構成してありますが、
クロスマウントだけはハムショップに行かないと入手出来ない様です。

 外径16ミリのアルミパイプ2m×2本と1m×2本か1本、内径16ミリの
水道用塩ビパイプ(VP-16)が30cm3本、4×15ミリのセルフタップビス12個と
クロスマウント1個、そしてスズメッキ線またはIV線が1mと圧着端子6個です。
(21M帯用にする場合がアルミパイプ1m×2本、24M帯用がアルミパイプ
 1m×1本、28M帯用がアルミパイプ1mは無しです。)
(材料費は、パイプ材・ネジ・端子類で約2000円〜3000円、クロスマウントが
 新品で約2000円です。)

 今回、クロスマウントにはクリエートデザイン社のMC-70(新品)を使用
 しました。
(下記のハムショップにて常時在庫しているとの事で、通販もOKだそうです。
 (有)トムボーイ    TEL 045-651-0847  担当 みうら さん)
 
 *** なお、給電には市販のHF帯用 1:1 バランの使用を推奨します。 ***
   ( 『FCZ 048 アンテナバラン』キットが廉価でFBです。)
 
重要:
・このアンテナで一番力の掛かる給電部分では、アルミパイプと塩ビパイプを
Uボルトで共締めする事で強度を出しています。
 この為に、クロスマウントには、必ずUボルト2本でエレメントを止めるタイプ
の物を使用して下さい。

・ここで使用するクロスマウントには、小さい方のUボルトが70ミリ〜170ミリ
 位の間隔で、太さ20ミリのパイプがしっかりと取り付けられる事と、
 大きい方のUボルトが、このANTを取り付けるマストパイプの太さに合致
 している事が必要です。

3. 製作

・準備

 このANTの加工に必要な工具は、30cmのモノサシ、マーキング用の油性
ペン、アルミパイプ切断用の金鋸かパイプカッター、2.5ミリのドリル、
プラスドライバー、ビニールテープとタコ糸2.1mだけです。
(21M・28M帯用の製作では、パイプの切断加工は必要ありません。
 穴あけと組立のみです。)

 加工と言っても、21M・28M帯用では、モノサシを当てて印を付け、
2.5ミリの下穴を12個あけて、セルフタップビスで止めるだけです。
 24M帯用では、これに1mのアルミパイプを半分にカットする手間が増える
だけなので、ANT製作が初めての人でも、朝から夕方迄の1日作業で調整迄の
全てを完了出来ます。

・勘どころ
  パイプを使ったANT製作の勘どころは、
  『パイプ上にタコ糸を張ってパイプの全長に渡って基準線を作り、
   全ての穴位置は、この基準線上にマーキングしていく。』
   ということです。

   これが出来れば、ANT全体で取り付けネジが一直線上に並び、
   見た目も市販品並みとなります。
   また、今回のANTでは、エレメント上のスタブ部分が左右で
   別方向・別角度に向いている等々の不具合が無くなります。

21/24/28のバンド毎に別々に図示してあります。
作るバンドの図を参照しながら読み進んで下さい。
21M帯用は図1、24M帯用は図2、28M帯用は図3、です。

・製作手順

 a) メインエレメントに基準線を引き、この線上のパイプ両端から130ミリ
   のところに基準線に直交する様にマーキングします。
   まだ穴あけはしません。 同じモノを2本つくります。 (図-(B)参照)
   (基準線は、両端から各140ミリ迄書き込めばOKです。)

 a') 24M帯用だけは、先端エレメント用に1mのアルミパイプをセンターで
   カットし、500ミリのパイプを2本用意します。

 b) 先端エレメントの片端に端から140ミリ迄の基準線を引き、この線上の
   端から130ミリのところに基準線に直交する様にマーキングします。
   まだ穴あけはしません。
   同じモノを2本つくります。 (図-(C)参照)

 b') 28M帯用では、(b)の工程をトバして下さい。

 c) 絶縁部のVP-16 300ミリに全長に渡り基準線を書き、この線上に端から
   60ミリ間隔で4個の穴をあけます。
   同じモノを3本つくります。 (図-(D)参照)

 d) 2本あるメインエレメントの内、1本の両端に穴あけの終わった絶縁部を
   エレメント上のマーキング部分まで差し込み、エレメントと絶縁部の
   基準線を合わせてビニールテープ等で動かない様に仮止めします。
   もう一本のメインエレメントも先端に絶縁部を差し込み仮止めした後、
   先のメインエレメント端の絶縁部分に仮止めします。

 e) 2本ある先端エレメントをメインエレメント両端に取り付けた絶縁部に
   マーキング部分まで差し込み、エレメントと絶縁部の基準線を合わせて
   仮止めします。
   これでエレメント全体の仮組が出来上がりです。 (図-(A)参照)

 f) 各部の基準線がANT全体で一直線になっている事と、各差し込み部分が
   マーキングからズレていない事を確認した後、絶縁部分にあいている
   4個の穴にドリル刃を入れてアルミパイプに穴をあけます。
   (穴径が小さいので、さほど力は必要ありません。)

 g) 再度各部を確認の後、全ての絶縁部の端に近い外側の穴を
   セルフタップビスで2個とも止めていきます。
   全ての絶縁部の外側の穴が止め終わったら、仮止め用のビニールテープを
   ハガして下さい。
   (絶縁部分の内側の穴2個は、給電線やローディング部分と共締めします
    ので、まだビス止めしないで下さい。)

 h) クロスマウントのUボルトを全て外し、小さい方のUボルト2本で
   組み上がったANTをクロスマウントとANT中央の絶縁部のセンターを
   揃えて取り付けます。
   (このANTで一番力の掛かる部分ですから、頑丈に取り付ける必要が
    ありますが、締め付けすぎるとパイプが変形し、折れ曲がります。
    要注意ポイントです!!)

 i) スタブ型ローディング部用の単線を500ミリに切り出し、両端に圧着端子
   を抜け落ちない程度に軽く圧着して仮止めした後に、先端エレメント直下
   の絶縁部の内側2個の穴にビス止めします。 (図-(E)参照)
   (圧着端子は強く締めすぎると調整作業時にゆるまず、調整不能になりま
    すので、組立・調整時には軽く圧着し、調整完了後に正式に頑丈に圧着
    して下さい。)

 j) ANTを実際に使用する場所にあげ、クロスマウントの大きい方のUボルト
   1本で滑り落ちない程度に軽く取り付けます。

以上で、組立と仮取り付けは完了です。

4. 調整

・準備

 ANT中央の絶縁部にある給電点に、芯線とアミ線のそれぞれの先端に圧着端子
を付けた短い同軸(MAX.500ミリ位)を仮に取り付け、ANTアナライザー類か
TXとSWR計をこの短い同軸に接続します。
 
・調整手順

 A)バンド全域でSWRを計測し、一番SWRが低くなる周波数(同調点)と、
   SWRが1.5以下になる周波数範囲を見つけます。

 B)運用予定周波数とSWRが1.5以下になる範囲とを考えながら、ローディング
   部のスタブの長さを左右同量づつ縮めていきます。
  (この『左右同量づつ』がポイントです。)
  (この時にスタブをカットする必要はありません。圧着端子をゆるめてから
   必要量スライドさせ、また圧着端子を軽く締めるだけでOKです。)

 C)上記の二手順を数回繰り返し、程良い特性になったところで調整は完了
   です。

 D)調整が完了したら圧着端子をガッチリと圧着し、スタブ端のアマリ部分を
   カットします。

 E)クロスマウントの大きい方のUボルト2本で、しっかりとメインマストに
   取り付けます。
   (この時に、ANT全体の向きと水平に注意して、ガッチリとUボルトを
    締めます。)

 F)短い同軸を給電点から取り外し、圧着端子を取り付け防水加工の完了して
   いる正規の給電線を給電点にしっかりと取り付け、給電線やバラン、
   同軸等々をメインマストにビニールテープやインシュロックタイ等で
   固定します。

以上で、このANTは完成しました。 後は運用あるのみです。

5. まとめ

 『短縮コイルが無い』それなのに全長で1m弱の短縮が可能になり、なおかつ
『フルサイズ並のブロードな特性』の為に『調整が簡単』だし『雨にも強い』、
『フルサイズ並の性能』を持った短縮ANTが出来上がりました。

 SWR特性も21M帯用と24M帯用は、バンド内全域で1.3以内に収まり、
28M帯用でもバンド内全域で1.8以内に収まっています。
 また、SWR最良点では、どのバンド用のものでも市販のSWR計では
計測不能な程に下がっています。

 我が家では、二階建ての屋根に3mのルーフタワーを上げ、ルーフタワーの
上端から約2mのところに現用の21M帯用のフルサイズ3ele YAGIと、V・UHF帯
用のGPが上げてあります。

 今回この現用ANTの下、約1mのところにこのANTを取り付けて調整・計測を
行いましたが、比較対照用に上げた同一素材のフルサイズDPと、受信・送信
ともに変わらない性能になりました。

 21M帯用のこのANTと10W出力のSSBで、99/09/25の19:30に
8J1RL(南極)と59/55でQSO出来ています。
実用性充分ではないでしょうか?

 当初の目標は、全てクリア出来ました。

 最後に一言。
『たかがダイポール、されどダイポール !!!』
単純な構造とわかり易い動作をし、ANTの基本中の基本ともいえる
ダイポールANTですが、実際に自作して使った事のある人は、
案外少ない様です。
 
 とにかく作ってみて下さい。
 調整する時には、教科書通りの挙動・動作が体感出来ますよ。

                             de JN1NGC

● プラスアルファ

 このダイポールの給電部分から片側エレメント迄と、1/4λのワイアラジアル
との組み合わせでスタブ型ローディング 1/4λ GPとしても手軽でFBなANT
が出来ます。
(メインマストへは、金具3個付きのUボルト2個で取り付けて下さい。)

★★ この記事は『The FCZ』の287号に掲載されました。

クリックすると寸法図が出てきます。

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