トランスレス五球スーパーの修理
        
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 08.09.17
 
 またまたJOILZX 河内さんからトランスレスの2バンドスーパーを
QSY頂きましたので、修理課程をご公開〜。
 
写真 1)(写真 2が届いたラジオです。
東芝の『うぐいす PS』、ツマミ四個でデュアルスピーカの高級機です。
 
構成は12BE6---12BA6---12AV6---30A5で、整流は35W4です。
スピーカ1個だったら、標準的回路の短波付トランスレススーパーです。
セレクタはピックアップ、中波帯、短波帯となっており、低周波部には
高音三段階カットのトーンスイッチがついていて、このスイッチが電源も
ON/OFFします。
 


 08.09.18

 今日は筐体をバラして、お風呂でゴシゴシと洗って来ました。
使ったモノは食器洗いの洗剤とスポンジ、それと歯ブラシです。

筐体は一体型の底抜け箱に化粧パネルが融着されてますから、
融着部を削ってケースと化粧パネルを分離し、エアダスターと
靴磨きのブラシでゴミや埃を飛ばします。
 
ザッと綺麗になったところでシャワーっと水洗いしてから
洗剤たっぷりのスポンジでゴシゴシと泡が出なくなるまで
洗いました〜。
溝や隙間は歯ブラシを使って、キレーに隅々まで擦ります。
 
ツマミは台所洗剤に2〜3日漬け置きしておきます。
こうしておくと、あとでザッと洗うだけでピッカピカです。
 
写真 3が、洗い終わった筐体と化粧パネルです。


 08.10.05
 
ようやく中身の検分です。
ケース内側壁に張り付いてる図面と回路図のアップ、ソレと裏蓋です。
回路は標準的なトランスレス五球スーパーです。
 
写真 4)(写真 5)(写真 6
音質調整は、12AV6のプレートとGND間に入れたCRの組み合わせを
切換える事で行っています。
高音の出具合を『カット無し』・『CR直列で少しカット』・
『Cのみで目一杯カット』という具合に三段階の音質を作ってます。
このSWは電源SWも兼ねているので、このつまみの切換は
『OFF』・『HIGH』・『MED』・『LOW』と表示されてます。
 
イアフォンはクリスタルイアフォン対応の回路ですから、一般的な
イアフォンは使用出来ません。
活用改造法を思いつくまでは、取りあえずそのままにしておきます。
 
さて、内部の様子です。
よ〜く眺めて故障箇所や交換部品を洗い出しするのと、調整ポイント
の様子も確認しておきます。
 
写真 7)(写真 8
まずはシャーシ上面の要交換コンデンサです。
OPT1次側に並列になってる高域カットの0.005uF。
それとセレクタSW上の0.005uF、コレはANT線の絶縁用です。
 
写真 9
ヒューズホルダも100V側の金具が破損しちゃってます。
コレはこのまま110V側を使っていても大丈夫ですけど、気分的に
イイモノじゃないので裏にある大きな抵抗を撤去して100V専用に
変更しちゃいます。
 
次はシャーシ内部です。
 
写真 10
コレは回路図の右半分のところです。
AC100V入力、35W4の整流、30A5の電力増幅、12AV6の検波とAF増幅、
ソレとIFT-B、上段がブロックケミコンとトーンSWです。
黄土色の筒に緑帯が付いてるペーパーコンは全部交換対象です。
0.05uF、0.01uF、0.005uFの3種類です。
 
写真 11
コレは回路図の左半分のところです。
IFTに挟まれてるのがIF増幅の12BA6、IFTの右側が周変の12BE6です。
上段は、音量調節とセレクタSWです。中波のOSCコイルの後ろに
見えてるのがダイアルシャフトです。
細長い茶色のチタコンと緑表示でプラパックになったスチコンは
そのまま使えますが、ココでもペーパーコンは全部交換対象です。
 
写真 12)(写真 13
周変の12BE6部分のアップです。
上段のコイルは左が中波用OSCコイル、右が短波用OSCコイルです。
短波用OSCコイルの後ろに二連VCの底部が見えてます。
中波用OSCコイルのシャーシ上には、2バンド用のANTコイルがあります。
 
写真 14
コレがANTコイルです。
でかいコイルで気分イイですね〜。
 
写真 15
コレはシャーシの右端です。
トリマコンが4個並んでます。
調整時に触る箇所は、このトリマとOSCコイルのコア、ソレとIFTの
上下のコアだけです。
どれも触りやすい位置にあって、楽に調整作業が出来ますね〜。
FB・FB。


 08.11.02
 
 一ヶ月ほど中断してましたが、修理再開で〜す。
 
いつものようにブロックケミコンのテストと再化成からです。
ココは問題なくサクッと完了。
 
ペーパーコンは無条件交換決定ですから、次に抵抗類のチェック。
1本1本テスタで抵抗値を見ていったら、全部誤差が1割未満で
焼けた痕跡や変色も無しです。
大小様々なL型抵抗とソリッド抵抗ですが、全部そのまんまで
問題な〜しです。
 
IFTとコイル類もテスタで当たりましたが、ノープロブレム。
ロックされてる調整ネジを楽に廻せるようにしておきます。
ペイント剥がして左右に2〜3回ずつ廻る事を確認してから
コアを元位置に戻しました。
 
さて、いよいよハンダゴテ振り回してコンデンサ交換です。
写真 10)(写真 11)(写真 12が交換前で、
写真 16)(写真 17)(写真 18が交換後です。
 
でかいペーパーコンが無くなって小さなセラコン・フィルムコン
積セラになってますから、シャーシ内がスッキリしました。
 
シャーシ上のペーパーコン2個とヒューズホルダ裏の抵抗撤去も
忘れないように実施しました。
 
写真 19)(写真 20 用意したモノと撤去したモノ。
 
ついでに出力管のカソード抵抗にバイパス用のケミコンを
追加しました。
 
写真 21
 
3.5ミリのイアフォンジャックが壊れてるので配線撤去しました。
コレが原因で音が出なくなってお蔵入りしたみたいですね〜。
 
クリスタルイアフォン用の回路で、イアフォンを差し込むと
出力管のG1がGNDに落ち、SPから音が出なくなる仕組みです。
 
途中で切れてるPL配線とSP配線も長めの線で付け直しました。
 
ここでPL豆球の様子が変な事に気が付きました。
口金がぐらついてますし、内部の結線も切れかかってます。
35W4と心中されても困りますから、新品に交換しました。
 
サテ、コレで部品交換は全部終了です。
 
全部の配線をチェックし直してから球を挿して通電しました。
ココからは五感をフル活用して手早く再チェックです。
 
全部の球のヒータ点灯を確認。
各部の電圧をチェックして、異常が無い事を確認。
 
写真 22
 
カソードが赤くなって音が出てきました。
音量VR廻すとガリもなく音が大小します。
音質SW切り換えると高音の出方が三段階に変化します。
ダイアル廻すといろんな放送が聞こえてきます。
 
ダイアル目盛とのズレも殆ど無し。
中波も短波も聞こえてます。
調整前だからチョイと感度が悪いな〜。
 
といったところで、今日の分はお終いです。
次回は調整で〜す。


 08.12.27

サテ、調整です。
調整の出来具合で最終的な性能が決まりますから、
気合い入れてタマシイを吹き込みます。
まずはエージングからです。
電源ONから1〜2時間程動作させたままにして
動作が落ち着くのを待ちます。
 
写真 23
 
この間に仮のダイアルを準備します。
前面パネルからダイアル目盛を紙に写し取り、
ソレをシャーシに仮固定します。
次にVCを左に回し切り、仮目盛の左端にある縦線
に当たる部分のダイアル糸に印を付けて仮の
ダイアル指針とします。
 
写真 24) (写真 25
 
アナログテスタをDC10VレンジにしてIF増幅管の
12BA6のカソード抵抗の両端に接続し、電圧が
あるのを確認してその値をメモります。
調整作業は、この電圧が一番下がるポイントに
合わせるコトの繰り返しです。
コレはAVC電圧を間接的に読んで、感度最大に
追い込んでいるという事です。
 
写真 26
 
また、IFTの調整ではシャーシの上下面を繰り返し
イジりますから、シャーシを安定に支えながら
楽に裏返せるように準備します。
以上で調整準備はおしまいです。
暖機運転が出来たら、IFTの調整からです。
一つのIFTには二組の同調回路が入ってますから、
IFT二つで合計四組の同調回路を全部455kHzに
セットします。
 
写真 27) (写真 28
 
この時シャーシの表裏でコアを廻すので、コレが
一番面倒な手順ですが、コアの動きと感度アップ
が直結した反応・手応えなので『調整してる〜』
っていう実感があって一番オモロイです。 hi.
このラジオの場合は、検波段のIFTがズレてました。
感度低下の原因はコレですね〜。
 
写真 27
 
IFT調整のみで、標準的な五球スーパーの感度に
復活しちゃいました。
次にトラッキング調整とダイアルの目盛合わせ
ですが、現状でも表示ズレが殆ど無いし、PCも
ANTコイルも固定ですので、高低二点の微調整で
サクッと終了させます。
調整ポイントは、シャーシ右端のTC群とダイアル
シャフト脇の二つのOSCコイルのコアです。
 
写真 29
 
まずダイアル目盛の600KHzにダイアル指針をセット
してBC帯OSCコイルのコアでピッタリ受信周波数を
合わせ、次にダイアル目盛の1400KHzにセットして
BC帯OSCコイル側のTCで受信周波数をピッタリに
合わせます。
コレを数回繰り返すと600KHzも1400KHzもダイアル
ピッタリになりますから、ココで目盛合わせは終了。
その後でダイアル目盛の1400KHzにセットして、
今度はBC帯ANTコイル側のTCで感度最大にします。
簡略化した二点調整手順ですが、固定PCを使用した
メーカー製ラジオの修理だったらコレだけで充分に
実用感度に調整出来ます。
このラジオのPCはBC帯が428pFのチタコンで、SW帯は
3240pFのスチコンでした。
 
写真 30
 
同手順でSW帯も略式二点調整を行います。
調整周波数は5MHzと10MHzにしました。
調整前のSW帯ではイメージとホンモノのレベル差が
少ないので、取り違えない様に注意しないとNGです。
調整周波数にダイアルをセットする時には、
高い周波数側から目的周波数に近づけていく様に
ダイアル操作すると取り違えが起こりにくくなって
具合イイです。
コレで筐体内に収め、2〜3日様子を見て異常なければ
調整完了、枕元ラジオのローテーション入りです。
 
写真 31) (写真 32
 
5インチの小さいSPで磁気回路も極小ですけど、
デュアルSPなので案外イイ感じに聞こえます。
 
LZX 河内さん、『お宝』のQSYありがとうございました。
修理出来る限りはズーッと使い続けさせて頂きま〜す。

   2008.12.27          JN1NGC 鈴木



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