TTTフィルタ使用 簡易版・省部品化SSBジェネレータ
 Baby TTTジェネレータ
基板実装図

回路図




 
● はじめに
 
  この頃IC類の入手が一段と難しくなってきました。
 特にSN16913PやICL7660CPA等は、もはや絶望的です。
 また、あれほど出回っていたND487C-1も跡形もなく
 消え去ってしまいました。
 こんな状況ですから、何か代替策を考えておかないと、
 手持ち品が無くなったらお終いになってしまいます。
 と言ったわけで、浜自研自慢の『TTTジェネレータ』を
 省部品化して簡易版を作ってみました。
 
 使用基板は、サンハヤトのICB-293Gという穴あき基板
 で、大きさは縦95ミリ・横72ミリのICピッチ穴のガラ
 エポの蛇の目基板です。
 
  従来のTTTジェネレータでは、IF3段増幅にリング検波
 の受信部と、DBM ICと一石MICアンプの送信部というよう
 に完全に送受別々の回路だったところをSN16913を送受兼
 用に使うようにしてIF段を1段減らし、2段増幅としました。
 また、増幅型のAGC回路も負電源の必要がない一般的なIF
 整流型に変更しました。
 IF2段増幅の出力そのままでは必要なAGC電圧が取れなか
 ったので、AGC用にCR結合のバッファアンプを追加して
 います。
 Sメーター回路も簡素化して、このバッファアンプの出力を
 整流してメーターを振らせるだけとしました。
 
  以上が主な変更点です。
 各信号の入出力は従来通りとしてありますから、従来のTTT
 ジェネレータとの置き換えが可能です。
 
 このジェネレータの要となる変・復調回路のSN16913P廻りは、
 JA9TTT/1 加藤OMのWebにある『無線と実験のページ』内の
 『14.Gilbert's Sons/ギルバートの子供たち---Chapter-1(May 1st 2001)』
 にある『SN16913P応用回路例』を元ネタとして、加藤OMの
 回路の前後にIF段やAF段を追加する形で構成
してあります。
 送受で複雑な切り換えをする必要がないすっきりした回路
 ですから、すんなりと万能基板に実装することが出来ました。
 
 
● 回路説明
 
 ・ 受信回路
  『IF IN/OUT』端子に入力されたIF信号は、6素子TTTフィルタと
 1SS53のDi SWを経由してIF増幅段に入ります。
 2SK439Eで2段増幅後に、変・復調回路のSN16913Pに入り検波
 され、AF信号となって『AFG VR』端子に接続した10K VR経由
 でAFアンプのLM386Nの入力となって『SP』端子に出力され
 スピーカをドライブします。 
 
  AGC信号は、2段目の2SK439Eのドレインから小容量で取り出
 してAGC用バッファアンプに入力され増幅されます。
 増幅後ドレイン側に出力されたIF信号は、二つの整流回路に
 入り、一方はAGC用の負電圧となりIF増幅2段の利得をコント
 ロールし、もう一方は+出力に整流してSメータ用の電圧となり、
 『SM』端子に出力されます。
  AGCの時定数は、AGCライン-GND間の0.1uF、1MΩと10kΩに
 直列になった0.1uFで変更可能です。
 ローカルラグチュー専用とするなら、10kΩに直列の0.1uFを
 1〜10uFに変更するとFBです。

 ・ 送信回路
  『MIC』端子に接続したECMからの音声信号は、2SC1815Yの
 MICアンプで増幅され、変・復調回路のSN16913Pで平衡変調
 されてDSB信号となり、XFで片側のサイドバンドが削り取られた
 SSBとなって『IF IN/OUT』端子に出力されます。
 
 本来ならSN16913Pの後にバッファアンプを1段入れて、XFの
 終端条件を崩さないように気を遣うところなんですが、省部品化
 した『ベイビー版』と言うことで簡単に済ませています。
 コレでも特に問題は起こらないようですから、そう神経質に
 ならなくてもローカルラグチュー用には充分みたいです。 hi.
 
 ・ キャリア発振回路
  キャリア発振は、2SC1815Yを使った無調整水晶発振回路です。
 送受切り換えには関係なく発振しっぱなしですし、発振回路の負荷も
 送受切り換えには関係なく同一のSN16913Pですからバッファアンプ
 も入れていません。
 ここの電源のみ78L05で安定化して供給しています。
 
  キャリア出力の波形が気になる人は、ベース-エミッタ間と
 エミッタ-GND間のコンデンサをカット&トライする事で、出力
 されるレベルも歪みも大幅に調整可能です。
 
 ・ 電源ライン
  基板上の電源ラインは、IF増幅・AGC回路等受信用の『R+』、
 MICアンプとECMバイアスの送信回路用『T+』、それと変・復調
 回路とAFアンプ、キャリア発振回路用の『COM+』の3系統と
 なっています。
 AFアンプ部分は、送受切り換え時に雑音を出さないように常時
 給電してあり、送信時には『T+』から抵抗を通してミュートさせ
 ています。
 
 
● 調整
 
 ・ 受信回路
  『SP』端子に小型SP、『AFG VR』に10kΩのボリューム、『SM端子』
 にラジケータを接続してから『R+』端子と『COM+』端子に安定化電源
 からの+12Vを接続します。
 
 SSGの出力に300Ωの抵抗を直列にして『IF IN/OUT』端子に12MHzで
 40dBuのキャリアを入力します。
 この状態で既にSSGの信号を受信できているはずですから、基板端
 にある2個のFCZ 7S14のコアを回して、受信音が最大になるように
 セットします。
 受信感度が最高になったら、Sメータが振れているはずですから、
 フルスケールの7分目位になるように『S ADJ.』の半固定VRを仮に
 セットしておきます。
  このS ADJ.』の半固定VRは、RF UNITを接続・調整後に『40dB S=9』
 となるように調整すればOKです。
 
 ・ キャリア発振、送信回路
  『R+』への接続を『T+』へと変更します。
  『IF IN/OUT』端子にゼネカバ受信機を接続します。
 『CARR.BAL.』半固定VRを左に回し切ってから、キャリア発振のモレ
 をゼネカバ受信機で受信します。
 SN16913PとXFの間にあるFCZ 7S14のコアを回して、このモレ信号が
 最大になるようにセットします。
  ゼネカバ受信機のSメータが振り切れてしまう時には、間にATT等
 を入れてS=7位にするとピークがわかりやすくなり、調整が楽になり
 ます。
  次に先程左に回しきった『CARR.BAL.』半固定VRをゆっくりと右に
 回してゆき、ゼネカバ受信機のSメータがすーっと下がるポイントを
 探します。
  ポイントが見つかったら、ATTをハズしてゼネカバ受信機を最高
 感度にして慎重に『CARR.BAL.』半固定VRを微調します。
 ゼネカバ受信機のボリュームを上げていっても、殆ど聞き取れなく
 なったらキャリアバランス調整は終了です。
 
  最後にキャリアポイント調整です。
 『MIC』端子にECMを接続して声を出し、ゼネカバ受信機からの受信音
 が高音〜低音までバランス良く聞こえて、なおかつ逆側のサイドバンド
 が聞こえないポイントになるようにX'tal近くの50pF TCを微調します。
 
  地声を良く知っている人とペアを組んで、相手に声を出して貰いながら
 自分はヘッドフォンでモニターして一番自然に聞こえるポイントに合わせ
 るのが一番楽な方法です。
  キャリアポイントを動かすと当然モニターする周波数も変わりますので、
 ゼネカバ受信機のダイアルでゼロインしながら微調整を行って下さい。

  調整手順が一通り完了したところで、再度全ての手順を繰り返して
 『仕上げの微調整』を行って下さい。
  この『仕上げの微調整』を行う事で、調整が完璧になります。
 
 なお、キャリア関連の調整は、昼間におこなう必要があります。
 12MHzにはAMの大出力放送が出ており、夜間になるとモニターしている
 ゼネカバ受信機にこの放送波が直接飛び込んでしまい、調整不能となって
 しまいます。
 この放送波はRF UNITの動作にも影響を与えてきますから、RF UNITの
 受信回路のトップには12MHzのトラップが必須となります。
 
 
● おわりに
 
  省部品化した簡易版『TTTジェネレータ』ですので、かわいらしく
 『ベイビーTTTジェネレータ』と名付けました。
 
 SN16913Pの送受共用使用・ICL7660の廃止・IF2段増幅等々により、
 高額で入手困難な部品類を減らして実装密度も低くなりました。
 このため、だいぶ作りやすくなりましたし、調整ポイントも減りました。
 気になる性能低下は、さほどでもありません。
 送信に関しては今までと殆ど変わりがありませんが、受信部に関しては
 まだまだ改善の余地がありそうです。
 3段あったIFアンプが2段に減った上、AGC回路の簡略化によりAGCの
 利き具合やダイナミックレンジ等が、ワンランクダウンです。
 まぁ、『ローカルラグチュー専用の、作りやすい簡易版SSBジェネレータ』
 というレベルは充分満足しているつもりです。hi.
 
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   02.3.12                    
de JN1NGC
 


 

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