TTT SSB ジェネレータ Ver. 3.3

回路図

基板実装図


1. はじめに
 
  TTT SSB ジェネレータも発表から数ヶ月たち、順調にバージョンアップを
 続けて成長してきました。
  この間に頂いたご意見を総合すると次のようになります。
 ● AFアンプをジェネレータ内蔵式の方が良い。
 ● Sメーター回路もジェネレータ内蔵式にして欲しい。
 ● 小型のRFCは入手しずらいし高価なのでNG。
 ● 小型のECMが使いたい。
 ● 8素子用の基板に6素子TTTフィルタではクリスタル2個分の
   空きスペースが出来てNGなので、6素子専用基板にして欲しい。
 
  これらご意見への答えとして、Ver3.3 TTT SSBジェネレータを
 考えてみました。
 削り取っても何とかなる部品類はとことん削除し、空いたスペースに
 Sメータ回路とAFアンプ回路を詰め込んであります。
 無理な詰め込みはしていないので、製作・調整で困難はなく性能や作り易さは
 オリジナルのバージョンと変わりません。
 また、使用基板もICB-288Gのままで変更ありません。
 
  主な変更点は、次の通りです。
 ● 電源ラインのデカップリング抵抗類の省略。
 ● AGCラインのデカップリング抵抗類の省略。
 ● AGCセットVRの省略。
 ● TTTフィルタ終端部の変更とRFCの抵抗への置き換え。
 ● 三端子Reg.ICのZ-Diへの置き換え。(ジャンクZ-Diの活用)
 ● キャリア発振回路の無コイル化 (コストパフォーマンスアップ!)
 ● MIC回路をECM対応回路に変更 (ダイナミック型MICは抵抗カットでOK)
 これらの変更で調整ポイントが2つ減り、調整作業がより簡単になりました。
 
2. 回路説明
 
 ・受信部
  『IF IN/OUT』端子に入力された12MHzの受信信号は、6素子TTT SSBフィルタ
 で通過帯域の2.7KHz幅以外をカットされDi SW経由でIFアンプへ入力されます。
  IFアンプは、オリジナルと同じ2SK439を使った3段AGCアンプです。
 今回AGCラインと電源ラインのデカップリング抵抗を省略してみましたが、問題
 無く安定動作しています。
  十分に増幅された受信信号は、ND487C1-3Rによりリング検波されてAFGの
 ボリューム経由でAFアンプのLM386に入力、増幅されて内蔵スピーカへと出力
 されます。

  AGCはRF型で、IFアンプの3段目の同調回路から信号を取り出しています。
 この分岐されたIF信号は1N60で検波の後、2SC1815で増幅されてAGCラインを
 ドライブします。
  AGC出力は負電圧ですから、このAGC回路はICL7660によって作られた負電圧
 を抵抗分圧した-2.5Vを電源として動作しています。
 
 ・送信部
  『MIC』端子に入力された音声信号は、2SC1815で増幅されてSN16913Pにより
 平衡変調されてDSB信号となり、Di SW経由でTTT SSB フィルタへ入力されて、片側
 の側波帯がカットされ、SSB信号となって『IF IN/OUT』端子へ出力されます。
  
  今回は要望が多かったので、MIC回路はECMを使う形に作りました。
 いつものようにダイナミックMICを使う場合には、『MIC』端子と『T+』端子間
 に入っている10kΩをカットして下さい。
 
 ・キャリア発振部
  2SC1815を使った無調整発振回路で、電源ラインには5VのZ-Diを入れて安定化
 しています。
  X'talとGND間にある50pのTCにより、キャリアポイントを調整します。
 
 ・Sメーター回路
  AGCラインの電圧を2SK30Aで受けて2SA1015のベース電流とし、2SA1015
 のコレクタ電流をコントロールしてメーターを振らせます。
 
3. 製作上の注意点と使用部品
 
  いつも通りの万能基板工作です。
 全ての抵抗は1/4Wの5%カーボン抵抗で、基板上に寝かせて取り付けます。
 コンデンサーは0.1μF迄のモノはセラコンで、ディスクセラコンでも積層セラコン
 でもOKで、耐圧は16V以上のモノが必要です。
 MICアンプ部とAGC回路に使っている1μFはフィルムコンです。
 ここは良質のケミコンでも積層セラコンでもOKですが、小型のモノを使用しない
 と取り付け不能になります。
 このコンデンサも耐圧は16V以上のモノが必要です。
 10μFは電解コンで、このコンデンサのみ極性がありますから、取付け時には注意
 して下さい。
 このコンデンサも耐圧は16V以上のモノが必要で、なるべく小さなモノがFBです。
  
  基板への部品取付は、CR類は足の根本まで基板に差し込み半田付けし、TrやDi類
 も出来る限り奥まで基板に差し込んで半田付けします。
  Ge Diの1N60のみ、足を折り曲げた後ワンターンコイル状にしてから基板に差込
 んで半田付けします。(これは半田付け時の熱による部品破壊の防止策です。)
  Ge Diの1N60以外の部品類はかなり丈夫ですから、手早い半田付けを心がける
 だけで熱による破壊を心配する必要はありません。

  部品を基板に差し込む時には、基板の縦横の穴数を数えて間違えずに一つずつ
 確認しながら取り付けて下さい。
 万能基板は半田付けの仕直しや間違えた部品の取り外し時に、半田付け面のランド
 が剥がれやすいので要注意です。
 一度剥がれたランドは二度と元には戻りませんから、出来上がりがかなりキタナク
 なってしまいます。
 
4. 調整
 
  調整は、キャリア発振部とAFアンプ部、Sメータ回路、受信部、Sメータ回路
 微調整、キャリアポイント微調整、キャリアサプレッション、再度キャリアポイ
 ント微調整の順に進めていきます。
 
  調整に入る前に、再度全ての部品が間違いなく半田付けされているかを確認して
 下さい。
  動作しないとか動作がおかしい場合は、原因の9割以上が部品の付け間違いや
 半田付け不良です。
 
  調整に必要な道具は、調整ドライバー数種類と12MHz付近が受信できるRX、
 それと12MHz付近の発振器(SSGならベスト)、デジタルテスタ、12V0.3A位の
 定電圧電源です。

 まず、キャリア発振部とAFアンプ部の動作チェックです。
  『AFG』端子に10kΩ(A)のボリュームを接続、『SP』端子にスピーカーを接続し
 『COM+』端子に+12Vを接続します。
  AFGボリュームを時計方向に回し切り、ボリュームの真ん中端子に触れた時に
 大きな『ブ〜〜』音が聞こえれば、AFアンプ回路は正常動作しています。
  次にキャリア発振回路のFETのドレイン(真ん中の足)に+5Vが掛かっている
 かをテスタで確認します。
  OKであれば12MHz付近が受信できるRXで発振信号を受信して、キャリア信号が
 TCの回転に合わせて上下数KHz動くことを確認します。
  後でキャリアポイントは再調整しますから、簡単に確認するだけでOKです。
 
  次はSメーター回路です。
  『R+』端子と『COM+』端子に12Vを接続します。
 『SM』端子にラジケータを接続し、2SA1015のエミッタ側に接続されている
 5kΩ(B)の『S-0 SET』VRで、メーターの針が振れ出すポイントにセットします。
 
  いよいよ受信部の調整です。
 ここまで来れば内部ノイズの『ザー』音がスピーカーから聞こえているはずです
 から、その音が最大になるように3個あるFCZコイルのコアを回してゆきます。
  3個のコイルは微妙に影響し合いますから、1・2・3、1・2・3、と2〜3回
 繰り返してコアを回していきます。
  内部ノイズの『ザー』音が最大になってから、『IF IN/OUT』端子に12MHz付近
 の発振器を接続すると、その信号がSメーターを振らせて受信できますので、S
 メーターの振れ方が最大になるように再度3個あるFCZコイルのコアを微調します。
 
  途中でSメーターが振り切れてしまうときには、2SK30Aと2SA1015の間にある
 『S-FULL SET』VRの1MΩ(B)で振れ方を調節して下さい。
  『S-FULL SET』VRと『S-0 SET』VRは互いに影響し合いますから、この2個の
 半固定VRも両方を交互に2〜3回調整して下さい。

  次はキャリアポイントの調整です。
 12MHz X'tal使用の TTT SSBフィルタは、通過帯域が11.996MHz〜11.999MHzの
 間の2.7KHz幅ですから、USB時のキャリアポイントは11.996MHz位、LSB時は
 11.999MHz位です。(あくまで『ぐらい』です。実際は細かい端数が付きます。)
  12MHz付近が受信できるRXで発振信号を受信して、キャリア信号が11.996MHz
 (11.999KHz)位になるようにキャリア発振部のTCで仮に合わせます。
 (しつこい様ですが、あくまで『ぐらい』です。実際は細かい端数が付きます。)
 
  仮合わせが終了したら、『IF IN/OUT』端子に12MHz付近の発振器を接続して、
 発振器の周波数を5KHz幅位にスイープしながら、受信音が片ビートになり、
 なおかつ受信のビート音が低音から高音までバランス良く聞こえるポイントにTCを
 微調します。
 キャリアポイントは送信調整時に最終的な微調をしますから、ここでの調整は程々
 で切り上げます。

  最後に送信部の調整です。
  ここでは、キャリアサプレッションとキャリアポイントの調整を行います。
 まず、『R+』端子の12Vを切断し、『T+』端子に12Vを接続しなおします。
 次に12MHz付近が受信できるRXを『IF IN/OUT』端子に接続して、漏れ出てくる
 キャリアを受信します。
  この漏れたキャリアが最小になるよう、2SC1815とSN16913Pの間にある
 『キャリアバランス』VRを回して行けばOKです。
  この調整は簡単なんですが、VRを微動させるのに気を遣います。
 根気よくVRを微動して、キャリア漏れ最小点に合わせ込んでください。

  ここでMIC端子にECMを接続すれば、『IF IN/OUT』端子に接続したRXから自分の
 声が出てきます。
  歪んだり、ノイズが乗っていたりしていないかを耳で確認した後に、自分の声が
 低音・高音のどちらにも偏らずにバランス良く自然に聞こえるように、再度キャリ
 アポイントの微調を行います。

  地声を良く知っている人とペアを組んで、相手に声を出して貰いながら、自分は
 ヘッドフォンでモニターして一番自然に聞こえるポイントに合わせるのが一番楽な
 方法です。
  キャリアポイントを動かすと当然モニターする周波数も変わりますので、その
 都度ゼロインしながら微調整を行って下さい。

  調整手順が一通り完了したところで、再度全ての手順を繰り返して
 『仕上げの微調整』を行って下さい。
  この『仕上げの微調整』を行う事で、調整が完璧になります。
 
4. おわりに
 
  当初は『簡易版SSBジェネレータ』として作り易くて省部品、廉価版の
 SSBジェネレータになるはずだったんですが、出来上がってみると『簡易版』とは
 ならずに『高密度版』となってしまいました。
  『高密度版』とはいえ、元と同じ万能基板を使用していますから作り易さも元々
 のバージョンと同じです。
  リクエストの多い『Sメーター』や『AFアンプ内蔵』もクリア出来ましたし、 
 少々の省部品化も出来ました。
  性能的には元々の『TTT SSB ジェネレータ』と変わりありませんから、これから
 作ってみようという人には、こちらの『TTT SSB ジェネレータ Ver. 3.3』を
 オススメします。

  『自作機』でのQSOって、とっても楽しいですよ。

   01.10.1                       de JN1NGC
 
★★ このSSBジェネレータは、6素子TTTフィルタ専用です。
 

回路図

基板実装図
 

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