地球のうた
 1.地球のうた
 2.少年の時間
 3.やさしい雨
 4.Broken Heart
 5.金木犀
 6.かぼちゃの馬車
 7.絵のない絵本−サーカスの光と影−
 8.紅い国境
 9.砂の迷路
10.エピローグ−地球のうた−

地球の歌
青空は海を映す鏡 波に似た雲が流れる
海の底で貝が見る夢は 蝶に生まれ変わり空へ

  果てしない時の海を 旅する青い船よ
  人は地球の歴史の中のわずかな流れ

遠い山は幾重のもうねり 叫べばこだまが返る
深く深く呼吸をしたなら 季節の味がするだろう

  この大きな木は はるかな昔からここにあるよ
  大地の声を聞こう 何かを語るだろう

物言わぬ花さえも地球のルールとリズムを知ってる
失いゆくものの重みに 人だけが気付こうとしない

花の色は命を歓び 希望の色に輝く
萌える若葉に鳥が歌えば 子供は笑顔になるよ

澄んだ水がキラキラ流れて 小さな魚が跳ねる
冷たくおいしい水を汲んで 子供たちの手へそそごう
あるがままの地球の姿を 子供たちの手へ・・

朝日は世界を黄金に染め 夕日は紅に染める
たなびく雲よきらめく風よ 永遠に地球を廻れ

あるがままの地球の姿を
子供たちの手へ・・・・・・・・


少年の時間
今肩にぶつかった人を振り向いてみる
孤独なグレイなの影 人波をぬってゆく
くれゆく空は急に蒼ざめて見え
街の灯りだけが 白々と浮き上がる
なぜだか家に帰る気分になれず 
また見送ったバスが 煙だけを残した
 傷つきながら無茶ばかり重ね
 悲しげな母の姿から目をそらして
 決して困らせたいわけじゃないさ
 このやるせなさの理由は僕も知らない
目の前をたくさんの人が流れて行くよ
たたずむ僕になんて気をとめる人もいない
他人の寂しさなど誰もわかりあえずに
大人たちはうつろな目に何を映しているの

 やがて少年の日に別れを告げ 
 青春の本当の意味に気づくだろう
 明日という時のもろい橋は
 通り過ぎたそばから くずれ落ちてていくよ
父親の背を越えた時の寂しさに似た
複雑な感情が僕の中で交差する
変らない物なんて無いとわかっていても
この瞬間の僕のままでもう少しだけ
人も時代も街も夢も動きつづけて 
気付けばまるで違う顔になっているだろう

暗い灯りともしたバスが扉をあけた
冷たい風に背中を押され 僕は乗るけど ラララ・・・

やさしい雨
雨上がりの月曜 ラジオを低くかけて
グレイにけむる窓 今朝は何も見えない
まだ眠いけれど急いで支度をすませ
いつもの電車に乗れるように部屋を出て

  雨の朝はなぜだか のんびりしてしまう
  子供だった頃から よくママにせかされた

混んだ電車 雫の窓に顔をあてて・・・・
雨にうたれた景色 生まれた町に似てる
故郷で暮らす家族や幼なじみの
やさしさやつつましさが急に恋しくなる

  少しづつ都会の生活にも慣れて
  いつかいつか遠くになってゆくものがある

しずかに雨は・・・ビルや道を木々を濡らし
乾いた人の胸に満ちてやさしくする

しずかに雨は・・・ビルや道を木々を濡らし
乾いた人の胸に満ちてやさしくする

Broken Heart
見なれた街並みが だんだんにじむから
泣き顔になる前に 誰もいない場所に早く!!
激しく押し寄せる 切ない後悔で心が壊れそう

  悲しい返事が胸の奥 
  なりやまない なりやまない 今でも
  こんなことなら片想いで
  悩んでいた日の方が良かった

家のドア開けるなり ”ただいま”も言わないで
飛び込んだ部屋の外 ママが何か言ってるけど
私にかまわないで!
一人にしておいて!
ママには話せない

  電話をかけたの友達に 
  胸のイタミ 胸のイタミ 話した
  どうする事もできなくても 
  ほんの少し落ちついたみたい

だけど
灯りを消した部屋 ベットに横になる
やっぱり泣けてくるね 涙が耳につたわる

本気で見た夢が壊れてしまったの恋人にはなれない
くやしいよね好きだから

本気で見た夢が壊れてしまったの想いは届かない
やるせないよ好きだから

本気で見た夢が壊れてしまったの恋人にはなれない
くやしいよね好きだから

本気で見た夢が壊れてしまったの 想いは届かない

金木犀
9月の庭の金木犀 哀しいまでに香るから
ありふれた景色なのに 遠い想いに誘われる
なんて懐かしい甘い香り 胸のすきまにしみるから
ゆれる木洩れ陽の中に 忘れた人を思い出す

 大事なものを失くしたようで引出しの奥をさがせば
 砂色巻き貝と写真の代わりの似顔絵
 長いことしまい込んでた 壊れた恋のかけらたち

眠る記憶をゆり起こし 手の届かないところへ逃げる
秋の風はまぼろしのグラスハーモニカのよう

 雲の彼方から聞こえてくる 虹色の哀しい響き
 好きだといってくれた少年の声にも似て
 ときめきと・・・・ためいきが・・・・・
 今 少し私の心を切なくする

かぼちゃの馬車
細い雲たなびく空はまるで・・
あなたを思わせる さざ波の海
ここにコスモスと アドレスメモと
止まった時計と 心が・・・あるの
  明日こそはきっと むかえに来てね
  白いサンダルが”ガラスの靴”よ
このままあなたに会えなかったら
私にかけられた魔法はとけない

夏から秋へと移りゆく午後
木洩れ陽が過ぎ行く季節をおしむ
  ささやかな事で泣きたくなるの
  あなたに心を奪われてから
もしも この指に触れてくれたなら
あまりのときめきに・・・息がとまるかも

絵のない絵本〜サーカスの光と影〜
ひびわれた心には まるでリアドロのよう
舞台化粧の下に涙かくす
詠唱(マリア)が流れて 軽やかに歌えば
明日もビロードの幕が上がるよ
星さえも眠る 新月の闇に
話す相手は 古い手風琴(アコーデオン)

 ブラボー ブラビッシモ  プルティッネッラ
・・・・・・・そんな寂しい影が 
    道化役者の素顔と誰も知らないから・・・・・・

風に泣くように きしむ白い木馬
静かにふける サーカスの夜
朽ちた船のように 歌うは小夜曲(セレナーデ)
いつか泣く事もできなくなった
昔好きだった優しい人の名を
つぶやきたくなる こんな冷たい晩は・・・

   ブラボー ブラビッシモ  プルティッネッラ
・・・・・・・薔薇色の舞台で
    ニ度と操り人形(マリオネット)は
            やるものかと思うのに・・・・・・

   ブラボー ブラビッシモ  プルティッネッラ
・・・・・・あふれる声の中 
       孤独を抱きしめて歌いつづける・・・・・・

   ブラボー ブラビッシモ  プルティッネッラ
・・・・・・・光と影が 果てしない幻影を映しつづける

紅い国境
東の風は
戦いの知らせと炎と黒い鳥を呼び
麦畑を焼き尽くしたよ
幼い子供や老いた者たちは
抗うこともできぬまに
花のように切り落とされた

  この大地に血を流して
  この大地に血を流して

何年 何百年がすぎててゆく・・・
麦畑は黄金色に・・・
まるで何事もなかったように・・・
それでも何処へも行けぬ魂は
命尽きるあの間際の苦しみだけを
繰り返すよ

私の大事なひとたちはみんな
愛する国の名のもとに
国境の荒野へと消えたよ
この子を一目見る事さえできず・・・
あの人は はなればなれに
暗く冷たい土の中で

  最後の叫びが聞こえる
  最後の叫びが聞こえる

歴史の傷に人は口を閉ざす
私たちは忘れ去られ
遠い物語にかわるよ
それでも麦畑よ 永遠に唄え!
二度と愛する者たちが
むだに命を散らさぬよう

祈りを・・・・・・・

砂の迷路
風に蹴り上げられた白いビニールが
ノラ猫のように夜に舞い立つ
ビルとビルのすき間を吹きぬける風が 
老いた犬の鳴き声に聞こえる
路地に転がる破れたグラビア雑誌は
どうでもいいゴシップが渦まき
飽きるほど残酷な写真を見せつけ
うぬぼれた話ばかりあふれる

 僕が知りたいのは そんな事じゃなくて
 もっともっと本当の事が まだ隠されているだろう

僕がギリギリのところでジタンダを踏む
嘘のにおいが深くたち込める
目隠しされた海を泳いで行くように
あてにできるものなんて何もない

ネオン管はクモの巣のようにはりめぐり
考える事をけだるくさせる
だんだん何も感じなくなってゆくよ
このままではいつかガレキになる

 僕をかりたてるものを さがし出したいだけ
 もっともっと夢中になれる 夢を求めたいだけ

ニュースはラジオからテレビからこぼれて
砂のように目の前に積もって
砂は僕のひざに・・胸に・・口に・・耳に・・・
もうすぐ埋もれようとしている
目を閉じたらそれは僕の最後になる
あきらめたらもう動けなくなる
本気でまだ生きたいと思えるならば
失くしかけた光が見えるだろう

 僕をかりたてるのを さがし出したいだけ
 もっともっと夢中になれる 夢を求めたいだけ
 もっともっと夢中になれる 夢を求めたいだけ
 もっともっと夢中になれる 夢を求めたいだけ