完成したばかりの 草刈オルガン と 木村 秀樹氏 の第一作の演奏を聞き見学をする会でした。
直前の雷雨で駅で足止めをされ、遅刻した方もありましたが、30名を超える参加者がありました。 教会のご好意により、後半はお茶を頂きながらの懇親会となりました。
最初に木村オルガン、日本の代表的なオルガン工房全てを廻って修業した大器晩成型オルガン製作者 木村氏の第一作の解説と演奏。 外観も美しく工作もきちんとしている、音色、表現能力ともに申し分ない楽器であった。第一作からこのレベルの楽器が作れるということに筆者はうらやましさを覚える。 全てにおいて草刈氏の影響が大きいことが感じられる、この後の彼の楽器に木村氏自身の個性とアイデアが出てくることを期待したい。私の個人的な趣味からすれば 2'の音色が硬いように思った。 ご多分にもれず響きに余裕がある音響空間ではないので、それが鋭さになってしまっている。
永らくなかったが、新しく実際に活動するオルガン製作者が日本に現れたことを喜びたい。
草刈オルガンの解説(草刈氏自身による)
- 自分が最初に出会った歴史的オルガンは北ドイツ17-18世紀のオルガンであった。
このオルガンもこの様式を取った。 ただしコピーではない。- Werkの分離を際立たせた構成を取っている
- 天井高が充分でないので、各Werkを平面的に配置しなければならなかった
- その結果 変則的ではあるが 2階の手すり部分にHauptwerkを付けざるを得なかった
- 送風は電動送風と足踏み送風を任意に切りかえられる
草刈氏のオルガンはかなり聞いている、最初の一音が出たときに、今回はただものではないと思った。 いつも神経質なまでに 材料や製法にこだわる草刈氏。 そしてそれゆえに一緒に働く人が去ってしまう草刈氏。 今回も最後は一人でこの楽器を完成させた。 彼のこだわりが結果となって明瞭に現れている。
Principalの充実感、フルート系音栓の幅の広さ、Aloquotとの融合性、高音パイプ群の透明感、低音パイプの保持力そしてそれらのパイプの響きは演奏者によってよくコントロールされている。メカニズムの良さが音としても聞き取れる。
第一鍵盤Positivの Dulcian だけは整音の荒さが少々目立った。それも他に比べれば・・という範囲。 電動送風音が少々気になるが 足踏みで送風すればもちろん静粛極まりない。
彼とともにこの楽器の完成を祝いたい。
教会の方が演奏が始まる前に空調を切る気使いをしてくださっていたようである。 静粛な空調が得られないのは本当に残念に思う。 慣れてしまって感じなくなることほどおそろしいことはない。 空調の音に気づくということがこの教会にはある、オルガンに対しても教会の感性が良い影響を与えたものと私は推察している。演奏は 内藤 真奈さん
当日の写真 オルガンの仕様 プログラムと演奏者紹介
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須藤 宏 記