K1300Sの噂と実際

K1300Sに纏わる噂や欠点について、購入者の視点で見る実際の様子。




『K100RSの噂と実際』と同様に、雑誌・専門誌あるいはネット上などに書かれてて購入時に不安材料になっていた部分の
買った後の使い勝手や実際の様子などを書いてみたいと思います。
ここに書いてあるのは自分が気になった部分であり、人によっては気にならないのもあるかと思います。
その逆もあると思いますが、とりあえず『自分の気になる範囲』を『わかった範囲』で書いてあります。
と言う訳で、ここに書いてないことは「ああ、気にならないんだな」と思ってください。




2軸バランサー付き並列4気筒エンジンの振動の仕方。
K1200系や1300系エンジンでちらほらと話題になってるエンジンの振動問題。
K1300系ではそれが原因と思われるリコールまで発生して(こちらを参照)、噂話では済まない話題となってます。
で、その振動についてちょっとばかり触れてみました。

まず、アイドリング状態では。
ほぼ無振動って言っていいと思います。GPXやK100RSに比べて明らかに振動は少ないです。
少なくとも、K100RSは結構振動してます。あまり話題になりませんが、ゴムの厚いグリップ&ステップの作りや
2V系ではリジットマウントだったエンジンとフレームの結合がラバーマウント方式になっていたりとか
振動のための処理が施されてるので、「シルキーなエンジン」とかの言葉のイメージを鵜呑みにしないほうがいいです。
まあ、それだって取り立てて「手が痺れて厳しい」レベルではないので、しばらく乗ってればそんなに気にならないし。

そういったのと比べればK1300系のエンジンは振動は無いエンジンと言い切ってよいと思います。
・・・・・・・過去に試乗したK1200Sの方がアイドリング時の振動がすごかった。アイドリングでビリビリしてたような・・・・

次、一般道の走行時は。
これも滑らか。アイドリング時より振動してる感覚(例えるなら、弱く回ってるモーターを握ってる感じ)は増えてますが、
それでも全然楽勝。街中を走らせる程度なら、気にすることないでしょう。・・・・・・・・とりあえず自分は気にしてない。
で、記憶が確かなら、一般道の走行時もK1200Sの方が振動してたと思う。
アイドリング時同様に振動しながら走ってるK100RSはもとより、日本車の標準的な造りであろうGPXに近い感じの
振動の仕方をするくらいなので、この程度なら乗ってる本人は気にしてない。

ちょっと飛ばし始めると、多少振動の度合いが増えてきます。でも、これだって気になるほどじゃない。
具体的な回転域だと5000〜6000rpmくらいまで。
自分の使い方では「使用頻度の低い」回転域なのでそのせいかもしれませんが、ここを使って『流す』くらいなら
ずっと『流して』いられます。それほど辛いとは思わなかった。

さらにその上の回転域を使う場合。具体的な回転域だとほぼ6000rpm以上のあたり。
このあたりから「振動してる」と認識できるレベルになると思います。グリップが「携帯電話のバイブレーター」のように
振動してるのがはっきりと分かります。それこそ「手に取るように」ね。
さらに、左手の指先でグリップエンドやスイッチボックスを触ると、かなり細かい振動状態にあるのが分かります。
でも、この6000rpm以上の回転域って自分はなかなか使えるような回転域じゃないと思ってるから
※6速で6000rpmくらいまで回すとだいたい150〜160くらいか
その上をよく使おうとするなら、よほど「急がない」と使えはしないでしょう。第一、それくらいで十分だと思う。

これ以上の回転域での振動は・・・・・多分そりゃスゴいことになると思われます。
でも、瞬間的にその辺りを使う分にはさして支障は無いんじゃない?そういった振動をする回転域をずっと使うことが出来る
道路って日本にはなかなか見当たらないし、その回転域を長時間(それこそリコールされた内容が起こるくらいの長時間)
使うことなんか日本で出来るのだろうか?少なくとも、自分は出来ない。

せっかくバランサーが付いてるのに何でこんなにも振動がするのだろう?
もしかしたら、バランサー無しにしてラバーマウントにした方が振動が少なくなったりして。
まあ、この振動の原因は「BMWエンジン設計陣の計算間違い」に起因するのは明白ではなかろうか。

と言う訳で、個人的結論。
振動は大したことはない。これが問題になるなら、ハーレー等はどうなるのだろうか?
あっちなんか「ブレーキに問題が起こる」んじゃなくて、「ブレーキが落ちる」かもしれないほどの振動だと思う。

いっそ『振動』と呼ばずに『鼓動』と呼んでみようかしら?


その後の振動の様子について(2009年11月)
慣らし運転距離も2000kmを超えてからもう一度6000〜7000rpm辺りの振動を体験してみたら、・・・・若干減った?
1000km点検後の約1000kmを高速道路をメインにして5000〜7000rpmを重点的に使うように走ったせいか
1000km走行してた頃と2000km以上走行した頃とでは明らかに振動が軽減しました。
前は辛かった6000〜7000rpm付近がさほど苦ではなくなりました。状況が許せば常用・巡航ができるくらい。
ただし、さらにその上の回転域を使うと今度はそっちの振動が辛いと感じるようになりました。
もしかしたら、この先走行距離が伸びたら、この振動ももうちょっと変化するかもしれない。




BMWのサイドスタンド今昔物語。
そういえば、このK1300Sを買ったときに『気にならなかった』のが、サイドスタンドの傾き方。
ディーラーなんかで展示してあるK1300Sとかを見てると、大抵の場合サイドスタンドで立ってるんですが、
それを見ていても違和感を感じずに、普通の風景として見てました。

そして、自宅にあるK100RSと並べたりしてると、そこで気が付くんです。「BMWが普通に立ってる」って。
BMWを含む昔の輸入バイクのほとんどは「サイドスタンドの傾きが日本車と違う」とか
「右側通行だから左側通行の日本とは
合わない」とかいろんな話があったように記憶してましたが、
いつの間にかBMW(但し、このKシリーズ限定)のサイドスタンドは日本の道路事情にも合う様に作られたようです。
※一部の噂では、昔のBMWバイクは大量の荷物を積んでバイクの車高が下がったときにも
サイドスタンドが使えるように普通の状態ではかなり傾くような寸法にしてあるそうな。
ウソかホントかは不明ですが、昔読んだ雑誌にそんなのが書いてあった。


     
傾き方比較写真。
見にくい写真ではありますが、大体こんな感じ。
K1300SよりもK100RSの方が傾きが強め。


     
さらに比較写真。
GPXとK1300Sはほぼ同一くらいの傾き方で
K100RSとだとやっぱりK100RSの方が傾き方が強め。


購入前には、「またサイドスタンドの下に何か置かないとなぁ〜」なんて考えたりもしてましたが、杞憂に終わりました。
なんだ、普通じゃないか。



でも、自宅の保管時には『通行の邪魔』になるので
両車ともサイドスタンドの下にゲタを置いて傾き方を軽減してあります。


それとは別に、サイドスタンドについてもう1つ。
ネット上のあるサイトで扱ってるBMWのパーツにサイドスタンドの面積を増やす足とかがあり、K1300Sを買う前から
これまた「絶対必需品に違いない」なんて思い込んでました。「K1300Sのサイドスタンドは小さいに違いない」ってね。
で、実際にどのくらいの大きさかを調べて見たら・・・・・・・



このくらいの大きさ。


     
左がGPXで、右がK100RSの。


うーん、これも大して問題になるほどの大きさじゃないなぁ〜。
まあ、小さいかもしれないけど、K1300Sでサイドスタンドがめり込むような場所に行くことはないだろうし、
仮に行ったとしても、その場しのぎで何とかなるでしょう。

ちょっと心配し過ぎました。昔はいろいろと特殊だったBMWかもしれないけど、どんどん普通になってくようです。




自己主張の強いクラッチケース
BMW伝統のシャフトドライブの駆動系とBMW初の横置き4気筒エンジンの多板湿式クラッチを組み合わせるとどうなるか?
答えは、『クラッチケースがえらく右側に出っ張る』

まぁ、仕方ないんだよね。大体シャフトドライブの分で7〜8cmくらいかな?その分でクラッチが右に追いやられてます。
もし駆動系が一般的と思えるチェーン駆動だったら、その分は確実に左側に戻すことが出来るだろうし。
で、実際にどのくらい出てるか比較すると・・・・・・・



クラッチケースを真上から見るとこんな感じ。
クラッチケースが斜めに見えますが、それは目の錯覚です。
(クラッチケース取り付け面がそもそも斜め)


     
で、GPXとK100RSの同じように見てみるとこんな感じ。
クランクケースのあるK100RSでもK1300Sほどは出っ張ることは無く、
GPXなんかは車体と面一なくらいしか出ていません。


パッと見た目は「クラッチケースが出っ張っていても、ステップ部分とは距離があるから、足つき性とかに影響は無い」と
思えるかもしれませんが、それはマチガイ。
GPXやK100RSに比べてK1300Sはバックステップ気味なステップ構成なので、GPXやK100RSの足の着く位置が
それぞれのステップのすぐ右側だとしたら、K1300Sではブレーキペダルのすぐ右側くらいの位置になります。
従って、K1300Sで足を着くとクラッチケースと右足の膝のすぐ左側が非常に接近した形になり、なんか邪魔な存在に。



より乗車時に近い眺めから。
クラッチケースにプラスチックカバーがありますが
あれと自分の右膝の左内側が当たるくらいの位置関係になります。


まあ、当たってもプラスチックカバーのおかげで熱くもないし、当たってもほんの少しだけだから、乗ってる当人は
さほど重要視してません。
が、今後ハイシートにした際に足つき性が悪化したならば、このクラッチケースの存在は無視出来なくなる可能性もありそう。
『目の上のタンコブ』ならぬ『足の下のタンコブ』か?


2010年6月追記。
で、そのハイシートに取り替えてみた後の当たり具合ですが、・・・・・・・・・・・・ま、許容範囲内。
確かに当たり方は以前(ローシート時)よりも当たると思いますが、邪魔になるほどには当たらず、足を下ろした際に
毎回「触る」程度に感じるくらい。
シート高も含めて、慣れればどうってことはないでしょう。




メトロノームのように揺れる車体
K1300Sに乗って、信号待ちなんかでヒマを持て余す時、何気にタンクを左右に揺らす仕草をしてみたら・・・・
タパンタパンタパンタパンタパンタパンタパンタパン・・・・・・・・・・。えらく揺れるのが残る。
試しにもう一度左右に揺らしてみる。
タパンタパンタパンタパンタパンタパンタパンタパン・・・・・・・・・・。やっぱり揺れが残る。

K100RSやGPXも揺れますが、ここまで揺れが残ることも無い。
例えるなら、
タパンタパンタパンタパン・・・。K1300Sの揺れ方に比べたら半分以下の回数&揺れの大きさだと思います。

そのK1300Sも走行距離を延ばしてタンクの残量が少なくなるにつれて揺れ方も少なく&揺れも小さくなるので、
揺れの原因は主にタンクに入れてる燃料の位置(量)が原因で、その揺れをバッテリーが多少増幅しちゃってる気がします。



揺らすと結構大きな反応で揺れています。


BMW流の低重心設計になってると思われるK1200/K1300系の車体。



骨組み&エンジン関係だけなら、かなり低い位置に収まってると思います。


BMWの開発陣はこの状態での低重心化にかなり腐心して作業をしてたと想像しますが、いざ車体全体を纏め上げるときに
「あと、タンクとエアクリーナーボックスやっつければ終わりジャン」(ドイツ語で)
「楽勝!」(ドイツ語で)
「ヤベっ、バッテリー置く位置忘れてね?」(ドイツ語で)
気が付き、慌てて仕上げたような気がします。



イメージ的にはこんな収まり方と思われます。
燃料タンク(赤い部分)とエアクリーナーボックス(グレー部分)は定石でしょうが
バッテリーの位置(青い部分)は低重心化からは相反してませんか?


K100RSやGPXが前後左右に平たいタンクで、フレーム部分を避けるのにタンクの内部に凹みがあるせいか
燃料が揺れにくい(揺れても一方方向に行きにくい)と想像するならば、K1300Sのは「揺れやすいタンク}か?

K1300Sは燃料タンクがK100RSやGPXなとに比べて縦長で、形も立方体に近い形状のタンクだから
他の2台に比べて揺れやすいタンク形状だったり?
そして、その揺れをタンクと同じ高さにあるバッテリーの重みが振り子のように増幅してしまってるとか?
そもそも、こういったタンク&エアクリーナーボックスを持った近年のバイクって、皆同じような傾向があるのだろうか?
比較するにはあまりに古いK100RSとGPXだから、そういった車体の変化や動き方の変化がわかりません。

でも、タンク内の燃料の揺れが車体全体に影響しやすいバイク=K1300Sだとしたら、
走行時にも何らかの影響が出てくるんじゃなかろうか。
そんなある種の不安感が頭の中にゆらゆら揺れています。