木は生まれながらにして様々な色を持っています。そして日本人はその色の違いを巧みに利用して、生活の中に取り入れてきました。 その一方で、さらに生活を豊かにするための「色への憧れ」は留まることなく、染料と染めの技術を 発展させてきました。そのなかで、木だけが例外であるはずもなく、木への染色の源は遥か縄文時代まで遡り、正倉院には染料の「スオウ」で染めた宝物も多く見られます。そして時代が進み、漆塗 りに見られるように意匠がほどこされ、現代では様々な塗料が使用されるようになりました。 ここで、注目したいのが、”塗り”と”染め”の相違点です。”塗り”は丈夫さと、木材の汎用性を豊かにしましたが、本来の素材を覆い隠してしまいます。一方、昔からの”染め”は素材感は大切にするものの、紫外線によって退色してしまい、数年の間にその素材の魅力さえ奪ってしまいました。 このように木が本来持つ色や木目を活かしつつ、「色への憧れ」を断ち切らない、豊かな着色法としてもう一度見直されたのが、ここにご紹介する「信州草木染寄木細工」です。
まず、退色しにくい天然染料を古布などから色別に探し出し、次に文献を求め、植物繊維に染まりやすいものをその中から選び、さらに幾多の研究を重ね、その染料に最も適した媒染剤を見つけ出すという長年の作業の結果、特許を取得した木材への塗布方法も開発して、退色の少なく、色の安定した現代の草木染の技法が、ここに新たによみがえったのです。 紅花やスオウの赤、藍の青、貝紫の紫、キハダやウコンの黄、クルミや杏、阿仙の茶色など、豊かな色彩を持ちながら、天然木の色と木目が色の下からほのかに浮かび、合成染料では出し得ない 深い趣を醸し出しています。接着剤やコーティング剤は安全性にも十分考慮し、伝統の寄木の技と調和して、同じ物が一つとしてないオリジナル性豊かな作品に仕上がっています。現代の匠の技と 情熱が、昔では成し得なかった品質を生み出し、天然木のやさしい味わいを、よりいっそう深めるこ の「信州草木染寄木細工」を、貴方のインテリアにも是非お加えください。
▽平成12年、全国地場産業優秀技術製品奨励賞 に草木染の「電動式ディスクオルゴール」が受賞 ▽信州家具展にて県知事賞6回受賞 他多数 ▽長野県と共同で草木染の新技術の特許取得