■不妊症の鍼灸治療

当院では表立った形で不妊治療は行っておりません。
実際、ホームページでも適応疾患として不妊はメニューに載せておりません。

しかし、裏メニューのような形で不妊治療は存在しております。

参考症例を基に、当院の不妊治療を御紹介します。


■参考症例
長年腰痛に悩んでいたAさん。
ホームページを見て、職場の近くだった当院へ来院されました。
脚の冷えもあるとの事でしたので、腰痛治療の他に、下肢に刺鍼し冷えに対する治療も併用しました。

治療後、Aさんはお腹の奥や脚がポカポカ温かいと大変喜ばれていました。
3回目の治療で腰痛が改善するとともに、今まで悩まされていた、脚の冷えも随分改善されてきたとの事でした。

腰痛自体は8回の治療で改善し、その頃には冷えもほとんど気にならないレベルまで改善したので、その後はメンテナンスを兼ねて月に一回来院されていました。

ある日、Aさんから突然電話がありました。
もしかして腰痛が再発したのか？と不安になりましたが、何と妊娠が判明したとの嬉しい御報告を頂きました。

「実は、長い間原因不明の不妊症に悩まされていて、もう高齢だし、子供は諦めかけていた所、予想外の妊娠でした。」と大変喜ばれていました。

そういえば前に、師匠が大腰筋に鍼をすると、不妊治療にもなると言っていた事を思い出しました。

この事から、腰部への刺鍼で骨盤内や子宮への血流改善で受精と着床を促し、
背部への刺鍼で自律神経の調整や、下肢への刺鍼で冷えを改善することにより、妊娠しやすい身体を作る事が可能であると確信しました。

このような鍼灸治療が有効なケースは当然、器質的異常の無い場合で、原因不明の不妊に限ります。
器質的異常は鍼灸ではどうする事も出来ません。その場合は、西洋医学的治療が必要です。
産婦人科で検査を受け、異常は見られなかったにも関わらず、なかなか妊娠しないという方が対象になります。

東洋医学的な後天の気が不足しているとか、脾や腎を補するとか言った、不妊で本当に悩んでいる方を煙に巻くような、訳の分からないことは当院では一切言いませんので御安心下さい。

もし、そのような治療で本当に妊娠するのであれば、10回以内で妊娠させねば、鍼灸の効果で妊娠したとは言えないでしょう。

当院では3ヶ月以内に妊娠しない場合は、このまま治療を続けても鍼灸では難しいとはっきりお伝えします。

不妊治療に興味をお持ちの方は、一度ご相談下さい。


■参考記事

体外受精の前後に、女性の体をリラックスさせるハリ治療をすると、妊娠率が大幅に向上するという研究結果を、ドイツと中国の研究チームがまとめた。

米生殖医療学会誌に掲載された報告によると、同チームは、体外受精をうける女性百六十人を二つグループに分け、一方に体外受精の際、受精卵を子宮に戻す前後にハリ治療を実施。

ハリ治療のグループには、ハリ治療をせず通常の体外受精を行った。その結果、ハリ治療グループの妊娠率が42.5%に上がり、通常治療の26.3％を大幅に上回った。

体外受精の妊娠率は、高くても三割程度とされた。

繰り返し治療を受けるカップルの精神的、金銭的な負担が問題になっている。妊娠率が向上する詳しい理由は分からないが、同学会のサンドラ・カーソン次期会長は「確実に検証されれば、妊娠率向上に役立つ手法になる可能性があると注目している。

2002年4月30日 読売新聞 夕刊