まだ!大丈夫? 
Photo & Test by 中野 博也

釣行日 3月 1日

解禁日の前日、仕事を終え帰宅途中の車の中、携帯に宮崎君から連絡が入った。
「今から〇〇へ釣りに行ってきます。…」
「おい!おい!本当かよ?まだ6時半やぞ〜」
「ええ!もう中村君は出発しているらしいので後を追いますわ〜写真もいっぱい撮ってきます。」
「了解です。頑張って来て下さいよ〜釣行記を楽しみにしてますね〜」

今年は解禁日が日曜日と重なりサンデーアングラーには大変嬉しい限りである。2月の中頃から雨もよく降っていて、いい条件が揃っている。若い会員 二人が頑張るとなると負けてはいられない。
「・・・って言っても『解禁日』の釣行なんて渓流釣りを始めた年に行ったきりだしな〜。まぁ〜竿出さなくてもいから様子を見に行くか〜」
ということで、餌であるイクラとミミズを買うべく釣り具店まで足を延ばした。


解禁当日。目が覚めたのは朝6時前だ。早い人だと河原に降り立って 数匹かのあまごを釣っているだろう。と思いながら支度を済ませ、車を走らせたのは7時を回っていた。(>_<) 国道311号線を東に上る。日置川本流の上流部が少し国道から見えるが、そこには釣り人はいないようだ。さらに東に上って行くと、熊野川支流四村川が国道と平行に流れているが、各駐車スペースには釣り人の車でいっぱいだ。
「ゲェ!魚の数より人しか多いんと違うやろか?」
少しの間、道路端に車を停め、釣るのを見ていたのだがなかなかその釣り人の竿は曲がらないでいる。
「この間からの雨で増水気味だし、昨夜からの雨で水温がかなり下がっていて魚の活性が上がらないんだな〜」

「今からノコノコと釣り場に行っても何処にも入る事はできないだろうな〜」
と思いながら、熊野川本流に出て来てしまった。
「あれ!本流は凄い水量やな〜普段の倍以上も流れてるぞ〜」
まったくの想定外だった。(^^ゞ
帰りに聞いた事だが上流にある二津野ダムで工事をしているため毎日80トンの水を放水している。との事でした。
「これでは本流で竿は出せないな〜そうや!久しぶりに〇〇川に行って短竿で釣ってみるか?」

30分程車を走らせるとようやく目当ての川に着いたが、時刻は8時半前だというのに 渓流釣りらしき人の車が一台も停まっていないではないか?
「もう誰か釣りに入った後かな〜?今日はこの川まだ解禁と違うのかな〜?それともそんなに人気がない川なのかな〜?」
ほとんど貸し切り状態のような川を不思議に思いながらあれこれ考えてみるが、
「ラッキー!」
という事にして身支度を済せる。車を停め、川に降りるまでが結構高く、特別入河路という道もなく険しいので、人気がないのかもしれない。山肌を滑り落ちるかのように河原に降りるといきなりいいポイントに出た。

久しぶりに仕掛けを作るが、そろそろ老眼だろうか?指に摘んだハリスが見にくい!見にくい!どうにか仕掛けを竿にセットして、まずはミミズを餌に第一投!ダブルハンドで優しく流れに投入すると、黒い影がス〜と走る。ニ投目、流れに馴染む頃に微かに目印が止まる。
「よっしゃ〜!」
軽く合わせると、ググッとハリにのり、魚は3〜4回上下に走り回る。
「ええな〜やっぱりこの感触!気持ちいいわ〜」
腰に刺したままのタモ枠に魚を飛ばしてくる。
「おぉ〜久しぶりやな〜やっぱりベッピンさんや〜」
7寸ぐらいのきれいなアマゴだ。
「2投目ぐらいから釣れてくるのだったら今日は爆釣やな〜」
魚はとりあえず活かし魚籠に入れたまま移動する。

爆釣と思いきや二匹目がなかなか釣れない。いつの間にか夜中から降っていた雨が止んでいたが、水の中に手をつけてみるとかなり冷たいではないか?
「だいぶ水温低いな〜やっぱりイクラで釣るか〜」
解禁日ぐらいの初期には魚の活性も低いので、ちょっとした淵などでイクラを餌に釣るほうが数は拾えるだろうが、そんな魚は暖かくなるまでそっとしておきたいものだ。
「以前はこの流れでよく釣れたのにな〜?やっぱりまだ瀬は早いか?」
餌の流し方が悪いのか?まったく反応が無い。三月にしては水量が多いので流れの際のタルミを中心に狙うが二匹目がなかなかた釣れない。上流に上っていくと難所についてしまった。この川では自分なりに四つに区分けしていて、この区画には高巻きが3ヵ所と15mぐらいの岩盤のヘツリが1ヵ所あるのだが、最初の高巻きだ。
「こりゃ〜若い人でもギブアップするやろな〜まだまだ若い奴には負けへんで〜」
と気合いを入れながら山肌をよじ登る。タバコを吸っていた時はこれだけの高巻きをしたりすると、ハァ〜ハァ〜息切れが激しかったのだが、タバコを止めて四年にもなった今ではほとんど息も乱れず歩けるようになった。ようやく水辺に降りてきてすぐに竿を伸ばし釣りを再開する。10時半を過ぎる頃、ようやく二匹目が釣れ、ポンポンと釣れ始めた。流れる目印が僅かに止まったかと思うと、クッ!と合わす。水中で走り回る魚をタイミングよく抜いてやると、アマゴ特有のブルブル!って身体を震わせながら手元に飛んでくる。
「オッケー!まあまあの型や!」
活かし魚籠に入れ、今度は1番緊張するヘツリだ。水面からの高さは 2m50cmぐりだが、落っこちてしまえば深く長〜い瀞淵の中だ。ほとんど垂直な岩盤で、手足の運び方を間違えればずぶ濡れになることは間違いない。次は左足をあの凸凹にかけて、そして右手指二本分ぐらいのホールドをしっかりキープして、次は…などと慎重にヘツッて行く。(以前、別の河川で高さ10mぐらいで距離にして約30mぐらいの絶壁をヘツッた時は、途中まで行ったにはいいが最後、戻る事もできず、大変な目にあったことがある。)それを思えば距離も短いし落ちても水の中だし…とまだ気が楽だ。どうにか無事にヘツリ終え休憩もしないで竿を伸ばし、餌を流す。「うん!まだまだ身体が動くな〜」  (^.^) 時計をみると12時をまわっている。「お腹も減ってきたし、切りのいい所で上がるか?」 自分が区分けしている場所よりずっと手前で上がることになるが、空腹には勝てない。活かし魚籠から魚をタモに移し、小さい魚をリリースする。


「おぅ〜と写真!写真!」
リリースしている途中でふと気がついた。朝のうち小雨が降っていたので、写真を撮るのをわすれていて、魚だけは撮らなくては…って思っていたのだけどもう少しで忘れるところでした。23cmを少し超えるぐらいのあまご2匹をはじめ10匹だけキープさせてもらって車まで戻ることにした。(だいぶ遅目のランチタイムだ。釣りに来たら結構、これも楽しみの一つで 欠かす事のできない時間なのです。)

また次の区画に行こうと思いながら移動するが、2時半を過ぎている。
「初日だし今日はこれぐらいにしといたろか?」
明日絶対!なるであろう?あることを考えると本日終了とすることにした。

予想通り!明くる日は身体のあちこちが筋肉痛でした。  (>_<) 気は若いつもりだが、目のピントは合いにくいは、身体は正直ですね〜  まだまだ頑張るぞ!  (^^ゞ