秘密の谷! 
Text by 中村 元英  Photo by 中野 博也 

釣行日 4月 5日

 二週遅れでの会長との釣行である。二週前にお誘いを頂いたのだが都合がつかす断念。結構良い型が数釣れるとの事である。めちゃくちゃ行きたいがどうにもこうにも・・その二週後、遅れはしたがこちらからお願いして同行させてもらった。
 

 


午前中は本流で竿を振ったのだが仕掛けを作る目の前で魚がライズするのが見えたのだが竿を曲げることはなかった。そこで午後から会長が
「家に持って帰るお土産を釣って帰ろうか?」
(坊主ではかわいそうだと私へのはからいである)と秘密の谷へ案内していただいた。

 
 見下ろすと小さな滝が流れ落ちる淵がみえる。しかしその淵から下には水が流れていない。もう少し下流にも一つ淵がありその二つで「
20ぐらい拾えるよ」と会長が言う。しかし私は半信半疑である。確かに距離にして50m位下なのではあるのだがそれにしても小さく見える
「そこはだめでももう一つ淵があるから大丈夫」
と思いつつ急斜面を降りて行く。

川へ降りてしばらく歩くと異変に気づいた。突然川がなくなったのだ。
土曜日に結構な雨が降って水量が回復していると思っていたのだが、会長によると
「こちらはあまり雨が降らなかった」
との事だ。
「いやいやこの先の淵には水があり魚が溜まっているのだ」
と心に言い聞かせ先をめざす。会長は非常に足が速いのでかなり離されて歩いていたのだが立ち止待って待っていた会長の前にプールがみえる。最悪である。普段は水が流れ込んでいる淵がただのプールになっている。どうやら釣れる状態ではないようだ。この先はあの上から見えた小さい淵しかない。
心の中で会長を恨んだ。心も折れた・・・

絶望の中最後の望みである小さな淵についた。やはりかなり小さい。水がないので流れの筋は一つしかない。食うならここだろうと思いながら仕掛けをつくる。しかし長い距離を歩いてきたので息は乱れ偏光グラスは曇り、手は震え、心はあせり・・・

「最初何投かで2,3匹釣れたら入れ食いやぞ」会長の声が聞こえる。
緊張の第一投・・・    第二投・・・
会長を再び恨んだ。
「秘密の場所なんかじゃないじゃないか?やっぱりこんな小さな淵で入れ食いなんて夢の話だ」そう思った。

あきらめかけて第三投・・・・・・目印が動く  待望のアタリである。
心を落ち着かせ軽くアワセを入れる。きれいなアマゴが飛んでくる。
少し仕掛けが長かったのか目の前の流れ着いた枝の山に引っ掛ける。淵に影が映らないようにそろりとあまごをつかむ。綺麗なアマゴである。長いこと待たされたのでなんとも嬉しい一匹である。さあ、ここから 怒涛の展開 が始まる。まさに入れ食いなのだ。おもしろいようにアタリが続く。


仕掛けを投入し目印を安定させるとすぐさまアタリがあるのだ。
それも型の良い小気味良い引きの魚が釣り上がる。少し渇水気味なので魚は痩せているのだがきれいな6寸から7寸ぐらいの魚である。これが何回か続いた時点で会長への恨みは感謝へと変わった。(こんな秘密の谷を案内していただきありがとうございます)


今年の解禁日も他の河川に前日入りで行ったがこんな釣堀状態なんてなかった。

「昨日、魚放流しといたんと違うで」(^。^)
横で釣りをせず私の写真を撮ってくれている会長の声が聞こえる。疑っても仕方のないような釣堀状態である。何回か「一投一尾」を繰り返したあとからが問題である。バラシである。
「ヘタクソ〜」 愛のある 罵声が飛ぶ
こんな流れのあまりない淵でバラシには細心の注意を払わなくてはならない。魚が散ってしまうのである。しかもバラシが一度や二度ではないのだ。くやしくて声を上げそうになりながら仕掛けを投入する

「今?」   「遅い!」

会長が言う。あわせが遅いと…。手にアタリの感触があってからでは遅いのである。今までそんな事は気にもしていなかったが・・入れ食いの中で大きな勉強をさせてもらった。目印のかすかな反応でアタリを察知しないといけない事を。一日数回しかない本流での大物は絶対釣れない事を。結局拾えた数は17匹。2時間ぐらいの一淵での成果です。

これから本格的は大物シーズンです。

「今年こそは!」

釣りもせずご指導いただき中野会長ありがとうございました