僅かな動き! 
Photo & Text by  中野 博也 

釣行日 5月 3日

 心配事が積り睡眠不足が続く中での釣行となった。携帯でダムの放水状況を聞きながら車を走らせる。上流のダムで20トンの放水中との事だが、川沿いを走る道路から確認するとそんなに気にする程の増水はないようだ。最下流でのポイントで竿を振るが、竿を曲げてくれるのは尺上のウグイで本命は姿を現してくれなかった。
「放水しているというわりに水量が少ないな〜」
なんだか今年に入ってこの川で竿を出した日の中で 一番水が引いているのではないだろうか?上流にポイントを移動しながら竿を出すがまったく本命の気配がない。途中ルアーをしている釣友と出会い暫し話をするが、彼も今年はさっぱりダメで今日も魚の姿すら見えないという。



「こりぁ〜水少ないしダメだな〜あと一か所だけやってみてダメだったら今日は納竿やな〜」
去年 ポツポツと良型が釣れたポイントだが、今年は流れ方が随分変わっている。普段なら流速が速すぎて餌を流さないような筋を攻めてみる。
「水量少ないと こんな所しか魚が居るかも?」
2投目に振り込んだ仕掛けが(目印)僅かに揺れたように見えたので、チョコンと合わせを入れるとググッと鈎掛かりした。ほとんど流芯でヒットしたため 魚の大きさのわりによく引くように思えた。タモ枠に飛ばしてくると体高のあるアマゴだ。
「もうちょっとでアマゴっつゅう魚忘れるとこやったよ」
背っぱりの25cm。
釣れなかったらもう帰ろうと思っていただけにうれしく思え、とりあえずどこという訳でもないが移動することにした。車の中考え事しながら走っていたので気が付いたら1時間近くも走っていた。時計の針は2時近くなっていた。「ここか〜」
29日に釣りに入ったという釣り師から「ハヤもウグイも釣れんかったよ〜」っていってた場所に意識もせずに来てしまった。「まぁ〜ダメ元で行くか〜」

餌箱にミミズを1パック追加して川に降りて行くと、水量が少ないではないか?
「たしかこの前釣りに入った人達は水量が多くて川渡りするのに腰まであったとか言ってたのにな〜?竿抜けのポイントがだいぶあるかもしれへんな〜」 そう思いながら仕掛けをセットする。道糸0.5号にハリス2mぐらいを0.4号、鈎はグラン きじ・ブドウ虫1号。この間竿を出して釣れなかったという日からまだ晴天が続いているので、普通の流し方、ポイントのとり方をしていたらそれ以上に惨めな結果に終わってしまうだろう。オモリを渓流釣りの時のように軽くして白泡の流れを中心に攻めてみる。

一投目で、流れていく目印には何の反応もない。水深を目測し、目印を水面より20cmぐらい上に流れるようにセットし直し 改めて投入する。落ち込みの白泡に落とし底に引き込まれる餌の落ち込み方を竿さばきで調整し流れに馴染ませる。下竿になり静かに仕掛けを上げようとしたら水面下でキラッと光る。「居るぞ〜確かに居る。!」
スタンスを一歩下流におき、同じ筋を流すと、目印には表れないが水面下で気配を感じ、鋭く軽く合わせを入れると
「グ ググッ!」と鈎掛かりし左右に走り出す。
「よっしゃ!やっぱり居るんやないかい!こりゃ〜あまごや!」
タイミングを見計らって腰から抜いたタモ枠に飛ばしてくると「バシッ!」
朱点のきれいな8寸ぐらいのあまごだ。「今日の釣れるパターンはこれやな〜」  (^.^)
釣り上っていくとやはり水が少なく動きがないので水辺付近には水苔がアカ腐れを起したようになっている。水量の多い時は底への流れ方にそんなに意識しなくとも 魚が活発に餌を追ってくれるのだが、天気が続き水量が少ない時は きっちりと底の流れに乗せてやらなければいけないように思う。


しかし、魚が餌を食ってるのだが、ほとんど手感にも目印にも表れないのだ。零調子の竿でハリス0.1号ぐらいなら躊躇わずに魚も口を使ってくれるのだろうが、長竿でハリス0.4号だと経験がものをいうだろう。 (なんちゃって!(^^ゞ  )白泡から続く浅い水深でも魚が食ってくる。でも餌とともに同じように魚が流下して行くので食っているのか分かりづらいのだ。アマゴ自体は小さいのだが釣りあげた魚の口からアユの稚魚が出てきていたではないか?
「それでもミミズに食いついて来るのだから貪欲な奴だな〜」


数匹リリースとキープしながら釣り上がり、結構長く流芯の通った瀬で少し大きな底石のあるポイントに来た。今度は白泡付近ではなく駆け上がりを意識して流すことに気を使う。ハリスに付けた一つの目印を水中目印として沈ませながら白泡が半分に切れる辺りに餌を投入し、底をキープしながら仕掛けを流すと僅かに水中目印が止まったかのような動きを見逃さず合わせを入れる。
「ゴン!ゴン!」
頭を振っているのがよく分かる。
「う〜結構 重いな〜尺は超えてるかな?」
瀬に上って行かれては困るのでしっかりと竿を立てて魚をいなしているとようやく魚の姿が見えてきた。
「おぉ〜ごっつい体高してるな〜35cmオーバーかな?」
まだまだ弱らずに右に左に走り、上流に上ろうとしている。
「ええぞ〜離しまへんで〜走れ〜走れ〜」
バシャバシャと水面で暴れる奴の上顎にガッチリと鈎は掛っているので、よほど慌てもしなければ取り込めるだろうと確信し弱るを待つ。大物が掛れば竿を寝かし過ぎると魚が弱るのが遅いような感じがし、最近ではある程度の大きさならばしっかりと竿を立てていなすようにしている。



ようやく観念したかのように足元に寄ってきたので、竿のズームを伸ばし取り込み態勢に入る。
「静かに!静かに!・・・・・・バサァ〜」
タモの中を覗き込むと
「ナイス!ファイト!ええあまごや〜キレイやな〜」

数枚デジカメで写真を撮り ストリンガーに掛けて活かしておき次を狙う。しかし、この大きな瀬にはこの一本しか出なかった。「一尾逃げれば皆逃げる!」との金言があるようだが、暴れまくったので他の奴が散ってしまったのだろうか?
少し上流の瀬と深い淵に餌を流してやると 渋いが必ず反応がある。チビさんはお帰りいただいて3匹キープした時点で餌のミミズを切らしてしまったのだ。時計は4時になったばかりだし もう少し釣り上りたいのだが 餌がなくなってしまえば仕方がない。渇水状態になって釣り難くなってきているとはいえ諦めずに釣った うれしい一本でした。

  体長  33.9cm   重量  448g  ♂


   ●竿    シマノ スーパーゲームスペシャル ZE H85-92
   ●ハリス  黒渓流 0.4号 
   ●ハリ   グラン きじ・ブドウ虫1号
   ●エサ   ミミズ