ごめんよ、アマゴ! 
Photo & Text by  田中 健一

釣行日 6月12日


お昼すぎにポイントに到着!今日も暑そうだ!天気は雲ひとつ無い快晴で、気温は28度を差している。先月からほとんど雨の無い日が続いていたが、2日前は紀州地方に雨音があったものの、早くも減水だ。気象庁HPによると・・・「5月の天候。低気圧や前線の影響で東日本太平洋側では月降水量は多かったが、そのほかの地方では影響は小さく月降水量は少なかった。東日本日本海側と西日本ではかなり少なく、西日本太平洋側では、統計をとり始めた1946年(昭和21年)以降、5月の月降水量としては最も少ない値となった。」
6月に入っても雨が少なく、2日前の雨量では、河川を増水させるほどのものではない。梅雨はあるのか?これは歴史的にも深刻な水不足に直面している。アマゴや解禁したばかりの鮎釣りに影響は計り知れない!しかし、渇水だから釣りに行かず、せっかくの休み、ベストシーズンを家で過ごすと深刻な血流不足に直面する。渇水期は、ダム下流域での本流アマゴ狙いである。もともと水が太いから減水すると餌釣りにはちょうど良い!とにかく川を見に行ってみよう!ダメ元で探ってみよう!今日も軽い気持ちでポイント付近の川原に降り立つ。
 
渇水ぎみだが、運のいいことに好調だった。意外に浅いタナでアタリが出て、まずは28センチが釣れる。続いてヒットしたのは尺上だ!グングングンと左右に走り回って浮かせたが、タモ入れ寸前でハリス切れ!さらに、ヒラキで「コツっ」と出たアタリに合わせると、これまたアマゴだ!流芯に逃げ込んだが無事に取り込む。31センチの幅広ゲット!まだ出るか?と思いながら方々を探っていると、今度は33センチが竿を絞る!
約1時間半の行程で、28センチと尺2本をストリンガーに掛けている。浅瀬に泳がせて次のポイントを狙う。今日は嬉しい釣果に恵まれて気分は最高である。渇水期は魚がポイントに集まりやすく、しかも空腹なのか!気温の上昇も相まって、晴天ながら魚の活性が非常に高いと感じた。まだ時間があるし、久し振りの爆釣かも?浅瀬ではバシャバシャとストリンガーに掛けたアマゴたちが騒いでいる。「ええ音やな〜!」と、有頂天になる。次のポイントではアタリが出ず、そろそろ尺アマゴの写真でも撮っておこう〜と、ふと浅瀬の方を見た。ストリンガーに掛けたアマゴたち・・・
「おおーっ、居ない!」
超ダッシュして浅瀬へ行くがストリンガーごとアマゴの姿が消えている。
「OH!NO−−−−−−!!」
それからは釣りどころでは無く惨めであった。、、、ストリンガー探しだ。。。瀬に大淵に見えるところを探しまくる。ちょうど川通しが無理な場所なので、水深もありキツイ流れだ!
「見つけても川によう入れん・・・」ほとんど半泣き状態だった。気分は釣り人生で最大のローテンション↓↓↓でも見つけた!急流の底岩の頭に、ストリンガーの紐巻の柄の様な白い物体が引っかかっているではないか。ベストも腰ベルトも取り、幅のある急流に身をつける。押しの強い流れが足元をすくおうとする危険な行動だ!胸までつかってウェーダー内はズブズブ。もう必死だ!底岩に近付いて確かめた!それは白いビニール袋だった。
1時間近く探したが、あきらめて川原に座り込む・・・トホホ。せっかく釣れた獲物を逃がした悔しさはもちろんだが、ストリンガーを口にしたまま水中で苦しんでいるアマゴのことを考えると胸が痛い。釣り人と魚の関係が成立する以上、高級魚は人に見られ食べられ喜ばれることが宿命だ!でも、うまく逃げて生きようとしている魚を阻害してはならない!なのにストリンガー付きで川に放してしまう不覚。本当にいろいろな物事に甘い自分を感じ、自責の念にかられる。
「あ〜阿呆な俺・・・ごめんよ、アマゴ」 
心から謝る。それから川原でしばらく反省しながらボーっとしていた。よし!気持ちを切り替えてイチからやり直そう。幻の尺上となったが、今日は食いがいいし、もう少しやってみよう!
 
こうした経過で、しばらく休んで再びポイントに入るが、情けなく落ち込んだ気分は、そうそう上がるものではない。第1投目。仕掛けが着水すると同時に、目印付近で尺上アマゴがバチャーンとライズした。「わ・・・。」
次に投入するとひったくるようなアタリで魚が乗る。グングングングン!浮かせてバシャバシャと水面を割る魚体は尺ちょっと。さっきライズしたアマゴのようだ。だが、突然「フッ!」とすっぽ抜けてしまった。「わっ。」
その後だ。今のバラシがあったから、次はタナを深く取って流してみることにする。すると小さなアタリが出る。
「ゴンゴンゴンゴン!」
掛けた瞬間からかなりの重量感。そして2メートルぐらいの範囲で目印が前へ右へ左へと、急速に横移動する。
「おっ!これは大きいか!」
と感じながら、腰を下ろしググッと本流竿を立てる!突っ込みは何とか耐えてクリア!少し下ったところでいよいよ魚が浮く。何度も外道大物を仕留めてきた経験とストリンガー事件でイヤに冷静だ。
「ザバン!ザバン!バザーン!ジャバーン!」
白銀の大きな魚が暴れまくる。空気を吸わせているのだが、水面に横たわることなく跳ねながら水面をのた打ち回る。ハリスは04号。この魚のサイズでは、浮かせた状態で無理なテンションをかけると切れる!弾力を緩めるしかない!しぶきの中で暴れる魚体を注視する・・・大きな口と顎が見えた。いいサイズの大アマゴのようだ!しかし、冷静だった。竿の弾力を緩めた結果、浮かせた魚は暴れながら流れに乗ってゆっくり下って行く。例のバラシパターンにハマッた。だが、今日はいつもの自分と違ったのだ。即座に立ち位置を変え、テンションを保ちながら魚の動きに合わせて潜らせる!
魚はバランスを立て直し、上流へ向かって泳ぎ出した!ゴゴン!ゴゴン!と、太くて鈍い振動が手元に伝わってくる!30秒間ぐらいは流速と魚の泳ぎが吊り合った状態だった。ゆっくり本流竿を引いて絞り込むと魚もこちらへ寄って来た。浅瀬へ誘導し、魚体があらわになる。魚を下方真上から見ていたのだが35センチぐらいかな?って感じで慌てなかった。目の前まで寄せてきた!さっとズームを伸ばし、左手でタモを持って構える。まだ上流へ向かってグイグイと泳いでいるが、一瞬ひるがえったスキに魚の側面から一気にタモ入れした。


「よし!やった!」
タモの中で横になった魚を見てビックリ!物凄い幅のある大アマゴが入っている!急に手が震えて呼吸が荒くなって来た!ストリンガーが無いので、活かしビクに入れてみると、尾っぽがはみ出してフタが閉まらないのだ!とにかくデカイ!40センチ近くあるんじゃないか?と、魚を検寸板にドーンと乗せると、驚いた。

なんと、40オーバーだ!
「うぁー!やったーーーっ!」 
ストリンガー事件があったから、喜びの跳ね上がり方が尋常でなかった!夢にまで見た40オーバーを手中にし、これまでの長い苦労が吹き飛び、感激と感動でうれし泣きの涙が出た!
 
ついにたどり着いた1本です!決して自分一人だけではこの魚に出会い、そして釣り上げることは無かったです。この1本を通過点とし、さらなる目標に向かって邁進したいと思いますので、よろしくお願いします!
体 長  41.0cm
重 量  790g  ♀


●竿    シマノスーパーゲーム パワースペックZS H83−90
●ハリス  呉羽シーガーグランドマックス 0.4号
●ハリ   オーナー スーパー山女魚  7.5号
●エサ   ミミズ