キャプテンシップ! 
Photo & Text by  田中 健一

釣行日 5月29日

朝日が昇ろうと東の空が紫色に染まった山間部。峠の入り口にやってきた。これから約10分の上り勾配が始まる。いつもここで流す1曲は、長渕剛の伝説の曲「Captain of the Ship」だ。
「ヨーソロ、進路は東へ!夕日が西に沈む前に!確かな道を!俺達の船を出す! ヨーソロ、進路は東へ!夕日が西に沈む前に!意味ある道を!ただ生きて帰って来ればいい♪」

期待と不安が交錯する一日の始まりを勇気付けてくれる曲だ。今日もポイント選択の舵取りをしっかりやりたい。結果的に大物が釣れなくとも、一日まったくアタリが出なくとも、確かで意味のあるポイントで釣りをしたいと考える。
「ヨーソロ、お前がどう釣るかだ!お前がどう動くかだ!決めるのは誰だ!やるのは誰だ!行くのは誰だ!さあ〜お前だ、お前が舵を取れ!♪」
長渕剛のゲキが飛ぶ!大音量での1曲が終わる頃には難儀な急坂はいつの間にか終わっている。釣りたい気持ちが高まってくる!ぐねぐねの下り勾配を軽快に駆け下った。調子よく急カーブを曲がりながらヨーソローと声を出す。
※注意  ヨーソロとは宜敷く候の略語で、真っ直ぐ進め!の意味である。(汗)

19日、24日と連続増水した本流筋の水はなかなか引かなかった。やっと水量が落ち着きつつあるタイミングでの釣行。
久し振りにこのポイントを選んだ。増水後のごく薄い笹濁りで水は最高。去年よりも淵が深くなっているような印象だ。大きな本筋と小さな脇筋が重なり合って淵を横断し、続いてガレた底石をまたいでゆっくりかけ上がっている。
「1投目で来るぞ!」
他の河川で釣っている釣友から、先ほどそんなメールが入っていた。増水後のいい条件なだけに朝一は何かありそうだ!餌は市販のシマミミズ。長い増水で腹を空かせているアマゴにくれてやろうと大きいのを選んでミミズ通しに刺す。早い勝負を予想し、タナを浅めに取って流してみた。1投目では反応は無かったが、3投目流し終わりで水面がフニっと動く。
「ん?」
アマゴかな?餌に変化はないが反応している。型は小さいような気がするよ〜と思いながら数歩下がり同じ筋を打ち込んでみる。5投目であった。下流に流れていく仕掛けに合わせて竿を寝かせつつある時、明確なアタリだ!すかさず軽いアワセを入れる。
「ギラッギラッ!ゴンゴンゴン!」
「うっ!」
竿が伸びそうなところでヒットしたため、竿に乗った魚の動きがダイレクトに伝わって来る!重厚なグネグネ感から良型と判断!すぐさま立ち位置を変え、腰を下ろし魚とのテンションを保ちながらグっと本流竿を立てる。魚は潜航し、流芯を真っ直ぐ上り出した。「ヨーソロ〜、ヨーソロ〜、バラすなよー」
心の中でつぶやきながら魚の動きを目で追いかける。水中で白くヒラを打ちながら抵抗する魚は間違いなくアマゴである!もう1本追いかけて来ないかアマゴの後方を確認するが特に見えない。流芯をかなり上ってからしばらくすると動きが止まった。よし、今だ!と竿のタメを効かせて寄せに入る。目の前でもグリグリ暴れたが、しっかり水面に浮かせてタモ入れが決まる!「おお〜いいアマゴ」
なかなか幅のあるグラマーな魚体だ!全体的に青みがかった感じで、ウロコの粒立ちも美しい紀州尺アマゴに見とれてしまう!「嬉しい〜」

写真を撮ったり、事務局へ速報したり、なんやかんやしているとすっかり日も昇り、雲ひとつ無い快晴の青空が見えている。一日はまだまだこれからだ!次の大物を狙って各ポイントを探る。流れ出しのヒラキや瀬の緩いところでぽつぽつ魚が出る。24センチぐらいの塩焼きグッドな旨そうなアマゴが釣れる。普段は確実に〆られて、ガスコンロのグリル行きの運命だが、今日ばかりは朝一の1本の嬉しさからか、すべて流れにリリースした。7箇所のポイントをめぐり、夕日が西に沈んで終了。

いよいよ6月になりますが本格的な大物シーズン到来です!本流釣りの場合、乗用車が船外機みたいなものですが、舵取りをしっかりできるキャプテンシップを目指して頑張ります。梅雨明けまでは少々天候が荒れていようが出航したいと思います!


体長  32.5cm  重量  400g  ♀
 
●竿  シマノスーパーゲーム パワースペックZS H83−90
●ハリス  オーナー ザイト渓流  0.35号
●ハリ   オーナー スーパー山女魚 7号
●エサ   ミミズ