まさかのヒット! 
Photo & Text by  田中 健一

釣行日 9月13日

ハッと目が覚めると4時だ。3時にアラームをセットしたのに止めた記憶が無い。「あぶな〜」 先週は起きると7時半で釣りをおじゃんにした。9月に入って朝夕が涼しくなり熟睡の季節。正直、釣りより睡眠が楽しみなのだ。
今シーズンは、昨年の台風被害の影響で釣り場が崩壊して消滅したり、大量土砂が淵を埋めたり、魚の付き場や遡上タイミングも変わって思うような釣りが出来ない。いよいよ漁期も終盤なので悔いの無いよう釣りを楽しみたいものだが、今年は期待10%、諦め90%。Never Give Up!という格好良い言葉があるが7月頃から既にGive Up

しかし、どんな状況でも川に立たなければ期待も可能性も0%である。
「川に行かにゃ何も始まらん・・」
と自分に言い聞かせ、眠い目をこすりながら出発準備をする。例年よく通った実績ある釣り場は変貌しており、他に釣れそうな場所を見つけてはいるものの、大物は釣れていない。おまけに今日の紀ノ川、有田川、日高川水系はどこも渇水だ。少しでも流れがあり、水深があって何とかカケアガリまで流せそうな場所は限られてくる。
「今日もダメ元の釣りだな〜」
と思いながら車を走らせる。


6時半に到着して河原に下りてみると釣り場の先客は鵜だ。

「わぁっ!」

と声を出して驚かせると、水面に点々の斑紋を残して離水して行く。
「寝坊せんかったら鵜より先に入れたか」
と後悔する。
魚が警戒中なので、タナをかなり深く取って岩盤寄りや底石周りを探ってみるがアタリは出ない。時折、型のいいウグイが釣れるもののチビアマゴさえも姿を現さない。
「トホホ〜」

その後も大淵を中心に釣り歩くが、釣れ盛るのはウグイのみ。尺ぐらいのサイズも混じるのでドキッとさせられる。
「本命はこんな引きじゃないし〜」
11つのポイントをタナやオモリを変え、立ち位置や流す筋を変えながら時間をかけて攻めているがアマゴはまったく釣れない。
「今日は撃沈や〜!」
今シーズンは撃沈、坊主を笑いが出るほど繰り返してきたので、既に悔しい気持ちを通り越して、新境地に至った感がある。
「正午まで釣ったら気分よく帰ろう」
とすんなり納得していた。
日差しが強く、残暑が厳しい。携帯電話を見ると11時55分。あと数投で釣り終わる時だった。

ガガッ!」

まさかのヒット!流れのヒラキでアタリを取った瞬間、かなりの重量感とともに魚が乗る。すぐさま腰を降ろし竿を立て、ゴンゴンと重い引きを感じるのに連動して、ガツガツと目印が上下するのをしっかり目で追う。

「おーし来たーっ!」

声を上げて気合を入れる。魚は大きく首を振りながらゆっくり上流へ向かって泳ぎ出す。流芯に沿って目印が下流側から正面にじわじわ上ってくる。これに合わせて竿尻を突き出し、魚を呼び込む。

「よっしゃ〜!来いよー!」

魚に負けないよう大声で一喝。するとテンションが一気に軽くなったと同時に、シュパーン!と手前から対岸へ逃げるようにジャンプした。

「おぅわーっ!」

この魚、それから負けじと必死の反抗を見せる。流芯に潜り込んだと思ったら、上流の流れ出し方向へ突っ込んで行き、強く重い手ごたえで本流竿を締め込む。
「なかなか本気の魚だぞ!」
と冷静、かつ、強気に対応していたのはここまでだった。
魚は、更に深み、深みへと突進してグイグイ竿を締め込んできた。ハリスは04。テンションバランスを超える強烈な締め込みだ。上流側へ立ち位置が変えられないので魚について行くことも出来ず、竿の角度は45度を下回り、穂先が水面近くまで引っ張られる。なんとその先には、大きな底石が見えるではないか!

「あかんて!そっち行ったらあかんて〜!」

願いも虚しく、魚は底石の向こう側の深みへ入り込み、更に竿を絞り込む。ついにビーンとハリスが岩盤に擦れる感触が伝わってきた。これは大ピンチである。

「頼む〜!切れんといてくれーー!のおーーっ!」

竿がのされ、ハリスが接触しながらもギリギリのテンションを保ち、逃がすか獲るか、魚との均衡勝負。ゴゴゴンと大きな振動を感じながら
「負けるな〜切れるな〜」
と気合と願いを込めて5、6秒間耐える。
自分の顔は、梅干しを食べた直後のごとく、くちゃくちゃになっている。

「むいーっ!」

耐えた耐えた!魚は頭をこちらに向けた!暴れながらもゆっくり寄ってくる。のされた竿がようやく立ち上がり、水中で大きな身体をひねくっている魚が見える。こうなれば、こちらの主導権だ。寄せて浮かせると、観念してか魚は静かに水面に横たわった。鼻がしゃくれたアマゴを確認。そのままズスーッと手前に寄せて大声とともにタモ入れが決まる。

「おっ、しゃーーー!」

獲った!感激!久しぶりに身体が武者震いしている。ラストでのアタリ、窮地に追い込まれてのゲット、雄アマゴとの出会いなど驚きと感動がいっぺんに来る。その後は、30分ぐらい魚を眺めたり、触ったり写真を撮ったり、これまでの苦労が吹き飛ぶ瞬間を気が済むまで味わった。


嬉しいメールや電話を頂戴しました!
・お疲れ様です!いい顔した、いい魚じゃないですか!
・おめでとうございます!さすがですねー!絶好調ですねー!
・お久しぶりです。良い♂釣ってますね!
・おーデカイやん、おめでとう!!!!
・おめでとう!久しぶりに曲がったの見たわ!
・またまた格好エエ魚やんか!尾鰭とかピンピンやろ、かなり引いておもろかったやろ!
・アマゴ一筋、好きこそ何とかって言いますけど、紀伊半島が悪条件の中、立派なアマゴやと思いますわぁ!
・雄を釣るなんて、ひどいわ、ひどいわ、ひど過ぎるわ!僕にも釣らせて下さい!
・スゴ〜イ!大物は顔が違うなぁ!
・おー凄い魚やな!オッサン顔してる!
・イオンへ「シャケが釣れました」って卸したら買ってくれるで!

その他、いろいろな方が連絡下さいました!ありがとうございました!皆さんも楽しんで下さ〜い!


体 長  37.5cm
重 量  515g  ♂

竿 シマノスーパーゲームスペシャルZE H85−92
ハリス 呉羽シーガーグランドマックス04号
鉤 オーナー スーパー山女魚7号
餌 ミミズ