ひとり言企画
宮古のクイチャーが流行っているのか?

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<沖縄タイムス 2002年5月20日 朝刊 23面>より抜粋。

  「ヒ〜ヤサッサ、降れ降れ!、クイチャーで雨ごい」
 沖縄地方の水不足解消を願い、本島で活躍する宮古民謡保存会の有志らが十九日、県内一の水がめ・東村の福地ダム周辺広場で、「雨よ降れ降れヒヤサッサ!」と願いを込めて雨ごいクイチャーを踊った。(中略)本島各地から宮古郷友会員やドライブ途中の行楽客、地元村民ら約百人が集まった。会員から拍子や足運びを習った一般参加者や、東村の平良尚道助役やダム管理支所の内里清一郎支所長らもクイチャーの輪に入り「天の神様、雨を降らせてください」と祈った。

 今年沖縄は雨に恵まれず、このままではダムの貯水量が危ないそうです。
 そんな折、ダムで宮古のクイチャーを踊って雨乞いをしようというイベントがありました。
 右がその時の新聞記事です。

 

 

 

 自分だけかもしれませんが、最近「宮古のクイチャー」に関するイベントが多いように感じます。

 3月24日には浦添市で「クイチャーフォーラム−クイチャーの保存・継承・普及をめざして−」(主催:宮古民謡保存会)が開催されたり、「クイチャーフェスティバル」が11月3日に平良市で開かれる予定だそうです。何でも今年は、かつて重税から解放された島民が歓喜を表現して踊ったといわれることから、人頭税廃止百周年に当たるからだそうです。
 こうした流行は、百周年っていう他に、宮古のクイチャーが文化庁から「記録作成等の措置を講ずべき無形の民俗文化財に選択」されたことが影響しているのではないかと考えてたりします。

 文部科学省に設置されている文化審議会は、1月18日に開催される同審議会において、無形の民俗文化財4件を重要無形民俗文化財に指定することについて、文部科学大臣に宮古のクイチャーを含む無形の民俗文化財8件を記録作成等の措置を講ずべき無形の民俗文化財に選択することについて文化庁長官に答申しました。「記録作成等の措置を講ずべき無形の民俗文化財」の選択は、県内で15例目で、前回1995年に竹富町の小浜島の芸能が選択されて以来7年ぶりになります。
 以下は、文化審議会の宮古のクイチャーの指定に関する解説です。

  (1)文化財の所在地 沖縄県
  (2)保護団体  
  (3)公開期日 豊年祭ほか
  (4)文化財の概要  宮古のクイチャーは、沖縄県宮古諸島各地に伝承されている集団の踊りである。豊年祭や雨乞いなどの機会に、また、随時娯楽として、生き生きと踊られてきた。
 クイチャーは、野外で皆が輪となって踊るものである。皆が声を合わせて歌いながら、両手を前後左右に振り、大地を踏みしめ躍り上がるような動作を繰り返し、合間に手拍子を打つ。歌は、豊穣を祈る歌、雨乞いの歌、恋人への思いを込めた歌、生活や労働の喜び、苦しみなどを歌った歌など多様な内容を示している。宮古のクイチャーは、人々の生活や信仰に深く結びついて伝承されていて芸能の本来のあり方をうかがわせ、踊りや歌は他に類例がなく地域的特色を示している。
 

  3月24日の「クイチャーフォーラム」へ行って、講演とパネルティスカッションを覗いてきたんですが、
 宮古出身の県教育委員会文化課の方の講演の後、宮古出身らしき歌手が方言で「関白宣言」歌い、クイチャーの実演と「みんなでおどろう」クイチャータイムで参加者を巻き込み、休憩を挟んでパネルディスカッションではパネラーがそれぞれの地元のクイチャーを披露するという、大変和んだ雰囲気でした。

 宮古のクイチャーには各地域毎や愛好会などの団体が多くあるようです。選択までに至った経緯はよくわからないのですが、もしかして「この次は国指定の無形民俗文化財に!」ってな話になった場合、保護団体がどこになるかとか、いろいろゴタゴタしそうで気になるところですね。
 そんなわけで、「雨乞いだからって、ダムでクイチャーを踊らなくても…」と思っても、宮古の人々の力の入ったPR活動の一環ということで納得した方が良いんでしょうか。

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