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寝室で使っているX-S1(CDレシーバーCR-S1+スピーカーD-S1)の右chスピーカーから音が出たり、出なかったりするようになった。購入してから約3年だ。
まずは定石どおり左右のスピーカーを入れ替えてみるが、あいかわらず右chスピーカーから音が出ないので、CDレシーバーに原因がある。
ググってみると、原因は定番のスピーカーリレー接点汚れ以外にもあるようだ。
ONKYOミニコンポはヘッドホンが挿さっていないにもかかわらず、ヘッドホンを使用していると誤認し、スピーカー出力しないことがあるそうだ。
解決方法としてはヘッドホンジャックを清掃すれば直るとのこと。自家製アルコールスプレーを綿棒にしみこませてクリーニングし、ヘッドホンプラグを抜き挿ししてみるが直らない。
アンプ DENON PMA-2000の2007年の故障時とは違い、今回はリレーが切れる音がせずにスッと音が出なくなるので、
リレーが原因ではなくヘッドホンジャックの回路が悪さをしているのだろうと推測。
コネクターの接触改善と、基板のどこかに潜んでいるかもしれない『はんだクラック』修復をできる範囲でやってみよう。『はんだクラック』は再はんだで修復できる。
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では分解してみよう。なんか最近、身の回りの物がよく故障するような気がする。車のメーター・リビングのアンプ、そして今回。
こいつらはホームページのネタ供給のために身を削ってくれているのか?そんな気遣いはいらないのだが。ここでオラ達も、と白物家電が参加されては非常に困る。
白物家電の分解経験はないし、あまり面白味がなさそうだ。
さて、画像は背面(端子側)から撮影したもの。右側のグレーの箱は電源トランス。ミニコンポにもかかわらず、大きなトランスが使用されている。
製品自体の質量は4.2kgとけっこう重い。
左側のT字を横にしたような黄色枠はおそらく『プリアンプなどの基板』。下の赤枠はパワーアンプ基板。大きな電解コンデンサが目立つ。
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ヘッドホンジャックの回路があるフロントパネルを外すために、本体側のコネクター類を外す。フレキシブルケーブルは引き抜けば外れる。
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1つのコネクターがなかなか抜けずに力ずくで抜いたら、ピンがコネクターから抜けてしまった。本来は基板側のすき間に精密ドライバーを挿しこんで爪を外せば簡単に抜ける。
元に戻そうとピンをコネコネしていたらピンがポロッと折れてもうたー!時間が一瞬止まった。_| ̄|○
仕方ないので、基板側ピンに直接はんだ付け。両側のプラスチックが邪魔なのでラジオペンチでもぎ取る。それでもピンどうしの間隔が狭いので、十分に熱せずイモはんだ状態だ。
ちなみにこのコネクターはLINE 3 INなので今回の不具合とは無関係。
ヘッドホンジャックに繋がっているのは右側の5ピンコネクター。
フロントパネル側の基板は小さなチップ抵抗などが密集しており、再はんだをして熱で部品を壊しては元も子もないので手をつけなかった。
画像の『プリアンプなどの基板』も手が入らないのでスルーした。
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続いてヘッドホンジャックの回路が繋がっていると思われるパワーアンプ基板を見てみる。
修理とは関係ないが、光デジタル入力×2 ・ ライン入力×3 ・ ライン出力×1 ・ サブウーファー出力×1、と入出力端子が豊富なのもこの製品の魅力だ。
テレビに光デジタル出力があれば、テレビ音声も高音質に聴ける。うちのTVはイヤホン端子しかないけどね。
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左画像は上の画像の中身を拡大したもの。左のパワーアンプ基板のリレーはスピーカー用。右のリレーは主電源用。
パワーアンプ基板を外してスピーカー端子取り付け部分などを再はんだした。
元どおりに組み立てスピーカーを繋ぎ、スイッチオン!音はあいかわらずだ。しかもディスプレイの表示がおかしい。
インプットセレクターを切り替えると、表示がフッと消えて切り替わる。そんなギミックはなかったぞ。超暗い表示になったりするし。
あーあ、いじり壊しちゃったかな。明らかにいじった跡があるので、メーカーも修理受けてくれないだろうし。どうしようと思いながら、現実逃避でネットで次なる候補を物色。
しかし実売2万円ぐらいではパソコンをUSBで直接つなげる機器がない。代替案としてND-S1と繋ぐために光デジタル入力を備えるDENON RCD-M39とKENWOOD K-531に候補を絞る。
DENONはアンプで使っているんでまだ使ったことがないKENWOODかなぁ、などと楽しい妄想を膨らませる。
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さぁそろそろ目の前の現実に目を向けよう。ディスプレイの異常はフロントパネル側のフレキシブルケーブルが抜けかかっているだけだろう。
音は定番のスピーカーリレー接点汚れの可能性もある。
ということで再度分解。フロントパネルを外していたら、先ほどはんだ付けした部分がポロッと取れた。イモはんだだったのでしょうがない。
万が一また取れてメイン基板がショートしては困るので、先端を切って結束テープで絶縁処理。ライン入力は背面にも2つあるので事足りる(強がり?)。
フレキシブルケーブルは一度抜いて挿し直し、この時点で電源を入れたらディスプレイの表示は正常になった。
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初挑戦のリレー清掃。主電源用は正常に動作しているので、パワーアンプ基板のスピーカーリレーのみ行う。
先ほどは説明を省略してしまったが、まずはヒートシンクを底板に固定している黄色矢印2つのネジを外す。
橙矢印2つの樹脂の爪をラジオペンチで内側に押し込んで、基板が上に抜けるように準備しておく。画像にはないが、左下にもう1つ樹脂の爪がある。
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こちらも黄色矢印2つのネジを外し、赤矢印2つの樹脂の爪をラジオペンチで内側に押しながら基板側へ外す。これで『プリアンプなどの基板』は若干フリーになる。
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上に被さっている『プリアンプなどの基板』を上に何mmか持ち上げて、すき間からパワーアンプ基板を取り出す。
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パワーアンプ基板裏側。黄色矢印6箇所のはんだをはんだ吸取線で除去する。なかなか取れないが、何度も地道にやって吸い取るしかない。
鉛フリーはんだは吸い取りにくいらしいので、この製品のは鉛フリーはんだなのか?
ほとんど吸い取れたら基板表側のリレーをゆすりながらリレーを基板から外す。基板表側でリレーを固定している白い接着剤はカッターで切った。
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やっと基板から外れたら、カバーとのすき間に精密ドライバーを挿しこんでこじれば本体がお目見え。
カバーさえ外せればリレー本体は基板についたままでもよいのだが、精密ドライバーは基板側からしか挿しこめない。
写真では見ていたが、初めて見た'生'リレー。しばし感慨深く眺めてみる。
左側の操作コイルに電流が流れると中の鉄心が電磁石になり、L字の鉄片の上端が鉄心に吸着される。L字の鉄片の下端も動くことにより黒い樹脂部品が右に押される。
樹脂部品がさらに可動接点を右に動かし、可動接点と固定接点が接触しスピーカーに音楽信号が流れる。
アンプの電源がオンになり回路が安定してからスピーカーリレーが入ることによりポップノイズを防止したり、
スピーカーケーブルのショートによるスピーカー・アンプの故障を防止したりしている。
画像では分からないが可動接点に黒い汚れが見えたので、自家製アルコールスプレーを綿棒にしみこませて拭いたが落ちなかった。
さらにKURE コンタクトスプレーを綿棒にしみこませて拭いてみても落ちなかった。酸化膜の黒ずみだろうか。
落そうとするなら紙やすりなどでこすり落とすしかなさそうだが、面が平滑でなくなるのでやめた。
仕上げにKURE コンタクトスプレーを綿棒にしみこませて塗布したので接触は改善されるだろう。
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綿棒で拭くときに固定接点を右側に曲げてギャップを広げたので元に戻す。接触圧を高めるために上画像よりもギャップを狭くした。
再度元どおりに組み立てスピーカーを繋ぎ、スイッチオン。今度はきちんと左右のスピーカーから音が出た!!結局、原因は定番のスピーカーリレー接点汚れだった。
目には見えないが、酸化膜・ほこりなどの汚れが取れたのだろう。
今回リレーは機械的には正常に動作し接点は接触していたが、右ch接点が導通有・導通無を不定期に繰り返していたので、
リレー入切音が発生することなく音が出たり出なかったりを繰り返したと推測できる。まさか3年ぐらいで接触不良が起こるとは思ってもみなかった。
一方、主電源用リレーが正常なのは電圧が高いためリレーの入切時にスパークが飛び、接点表面の酸化膜をスパークで飛ばす自己クリーニングが機能しているのだろうか。
そもそも私の場合はスタンバイ時の時計表示を「あり」に設定しているので、主電源用リレーは常に「入」の状態である。
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入切は年に数回あるかないかなので、入切の回数による違いもあるかもしれない。
ということはもし次回同じ現象が起きたら2つのリレーを入れ替えればOK?(ニヤッ)と思って、7つ上の画像のリレーケース上面の印字を見比べたら全然違う、残念。
よくよく考えたらスピーカーリレーは左右2chなので2極必要なのに対し、主電源用リレーは1極あればよいので違って当然だ。