安全への取り組み(ホンダ)

Hondaの安全の取り組みは、企業理念である『人間尊重』の考え方を出発点としています。 『人間尊重』とは、「あらゆる立場の、一人ひとりのすべての人が、かけがえのない存在である」という考え方を示す言葉であり、Hondaは創業以来、すべての活動領域でその実践に努めてきました。

安全の取り組みにおいては、この理念が『共存安全思想』という形に結実しています。クルマやバイクに乗っている人だけでなく、乗っていない人(他車の乗員や歩行者・自転車など)の安全も同時に考慮し、モビリティ社会で暮らすすべての人の安全を追求すること。これが、Hondaがめざす「安全」の姿です。

Hondaでは、事故の「未然防止」から緊急時の「危険回避」「傷害軽減」「被害拡大防止」まで、すべての段階で安全運転をサポートする技術・装備を開発しています。その中には、知能化技術を駆使した先進装備や、歩行者の安全なども視野に入れた衝突安全設計ボディなど、独創的な技術・装備が数多く含まれています。


HiDS

「車速/車間制御機能(IHCC) 」
●車速を制御して先行車との適切な車間距離を自動的に保つことができます。
「車線維持支援機能(LKAS) 」
●ステアリング操作をアシストして走行車線の維持を支援します。
●高速道路で運転するとき、車線から逸脱しそうになると警報を発してドライバーに知ら せます。


ABS(4輪アンチロックブレーキシステム)+ブレーキアシスト
●ブレーキをかけたときにクルマの安定性を保つように働きます。
●雨などの滑りやすい路面やカーブの途中でも安心してブレーキがかけられます。
●急ブレーキをかけたときでもハンドル操作によってクルマの進路を変更できます。

濡れた路面や雪道などの滑りやすい路面での急制動時に、コンピュータがポンピングブレーキを素早く精密に行ない、車輪ロックを防止。路面状況に応じて適切にブレーキをコントロールするとともに、クルマの姿勢を安定させ、ハンドリングによる危険回避能力を確保するシステムです。

Hondaでは、このABSを1982年のプレリュードに日本で初めて採用。以来、継続的に改善を続け、車体の運動状態を検知するヨーレイトセンサーと横Gセンサーからの情報を加えて制動力を電子制御するアクティブABSなど、ABSを進化させ続けています。


AFS

カーブや交差点での右左折時などでステアリングを操作すると、ヘッドライトがそれに連動し、カーブや交差点などの進行方向を照らすシステムです。乗車人数や荷物の量にかかわらず照射軸を一定に保つオートレベリング機構付。明るいディスチャージヘッドライトとあわせ、夜間走行の安心感を高めます。


EBD(電子制御制動力配分システム)

「EBD(Electronic Brake force Distribution)」は電子制御により、軽積載から重積載までの全ての積載状態において、前後の制動力配分を制御し、ブレーキの利きを安定させ、特に重積載時の制動性能を向上させる技術です。


ブレーキ時にブレーキ力を有効に路面に伝えるには、積載状態の変化や減速度による荷重移動に合わせて、前後のブレーキ力の配分を適切にコントロールすることが求められます。 従来、このための可変制動力配分装置としては、サスペンションのたわみ量を用いた機械式の装置がありましたが、機構が複雑で調整が難しいことなどから、乗用車においては比例油圧弁(プロポーショニング・バルブ)による固定配分装置を採用しています。EBDは、特に積載荷重変化の大きいRV、ミニバン系の車において、重積載時に後輪のブレーキ力を十分に活用するために、前後の車輪速度の微妙な差を検出することで、理想的制動力配分からのずれを推定し、ABSのアクチュエータによって、後輪のブレーキ力を自動的に最適配分するものです。


VSA 車両挙動安定化制御システム

●急激な挙動変化が抑えられ、クルマのコントロール性能を向上します。
●雨天時や雪道での過度の緊張をやわらげ、運転にゆとりが生まれます。
●挙動の安定化と走りの楽しさを高度にバランスさせます。

路面のさまざまな状況とその急激な変化に、いかに的確に対応し正確な走りを提供できるか。この能力も、ハイレベルなクルージングパフォーマンスを語るときに欠かすことはできません。VSAは、ブレーキ時の車輪ロックを防ぐABS、加速時などの車輪空転を防ぐTCS(トラクションコントロールシステム)に、旋回時の横すべり抑制を加え、3つの機能をトータルにコントロールする先進の車両挙動安定化制御システム。4輪のすべてをコントロールすることで、ニュートラルなコーナリング性能に磨きをかけました。さらに、DBW(ドライブ・バイ・ワイヤ)との協調制御は作動フィーリングの向上にも大きく寄与しています。

●VSAはあくまでドライバーのブレーキ操作やアクセル操作等を補助するシステムです。
●したがって、VSAがない車両と同様に、コーナー等の手前では充分な減速が必要であり、ムリな運転までは制御できません。安全運転をお願いします。


CMS

追突を予測してドライバーに危険を知らせ、追突速度を軽減する。
ミリ波レーダーにより前走車を検知し、追突のおそれがあると判断した場合に警報(音・表示)でドライバーに知らせ、さらに接近した場合には軽いブレーキによる体感警報を行います。そして追突の回避が困難と判断した場合には強いブレーキ制御を行い、ドライバー自身のブレーキ操作との相乗効果によって追突速度を低減。効果的に追突事故の回避支援とダメージ軽減を図ります。またこのシステムは、「LKAS」に続き、ASV(先進安全自動車)を提唱する国土交通省から新たな認可を取得しています。


E-プリテンショナー

CMSと連動して作動し、追突の危険性が高い場合に運転席シートベルトを弱く2〜3回引き込むことで、体感的な警報をドライバーに与えます。そして追突の回避が困難と判断した場合にはシートベルトを強く引き込み、ドライバーの拘束効果を高め、CMSとともに追突時の被害軽減を図ります。また、E-プリテンショナーはCMSとの連動とは別に、急ブレーキ時に電子制御ブレーキアシストが作動したときにもシートベルトを強く引き込み、ドライバーの拘束効果を高めます。


衝突安全設計ボディ

 衝突安全性の基準は、前面フルラップ衝突あるいは前面オフセット衝突への対応のいずれかを重視する考え方が主流となっています。フルラップ衝突への対応とは、乗員の傷害値を重視するということ。したがって、衝撃を吸収しやすいように車体のつくりを柔らかくしなければなりません。しかし、これでは、傷害値は小さくできても、キャビンの変形量が大きくなり、生存空間の確保が難しくなります。一方、オフセット衝突への対応とは、生存空間 の確保を重視するということ。キャビンの変形を抑えることをねらって車体を硬くするため、こんどは乗員への傷害値の低減が困難になります。つまり、フルラップ衝突とオフセット衝突で重視する課題と安全性は相反するため、いずれかを重視することは、衝突安全性の一側面にだけ目を向けるものといえます。

Hondaは、乗員の傷害軽減を第一とした「人」中心の基準を独自に設定。「衝撃の吸収」を見きわめるフルラップ衝突と、「生存空間の確保」を見きわめるオフセット衝突双方において、独自のGコントロール技術により乗員の傷害値低減とキャビンの変形量の抑制を高次元で両立。前面のフルラップ55km/h、前面オフセット64km/hの衝突テストをクリアする衝突安全設計ボディを、いち早く実現しています。


歩行者障害軽減ボディ

交通事故調査によると、歩行者が車体から受ける衝撃により死亡するケースが約70%を占め、しかも衝突箇所の大半がボディの前面という結果が出ています。一方、死者の傷害部位を見てみると、頭顔部が63%と圧倒的に多いことがわかります。その際クルマの加害部位は、ボンネット、フェンダーとダッシュボード上部が80%。この結果を受けて Hondaは、頭顔部への衝撃による死者低減を最優先に考え、ボンネット、フェンダーとダッシュボード上部などに対策構造をいち早く採用。 現在ではさらに、現実の事故の再現を含めた安全研究や第二世代ダミー人形、歩行者ダミーシミュレーションなど、歩行者安全の研究を活かし、傷害軽減部位を、脚部にまで拡大しています。エンジンとの間に 空間を確保したボンネット、変型しやすくすることで衝撃を吸収するボンネットヒンジやワイパー取り付け部、フェンダーに加え、バンパーにも衝撃吸収構造を採用した歩行者傷害軽減ボディは、すべてのHondaのクルマづくりに活かされています。

「自己保護性能の向上」と「相手車両への攻撃性低減」。この相反する2つの要素を両立させたコンパティビリティ対応ボディの設計コンセプトは、エンジンルームにおいて衝突のエネルギーを分散させ効率よく吸収し、自分と相手を守るということ。Hondaは、「相手車両の衝撃吸収部材とのすれ違い防止」「衝突時の衝撃分散化」「高効率なエネルギー吸収」の3つをテーマに、衝突安全性能のさらなる高次元化に取り組んできました。そして開発されたのが、エンジンルームでの高効率なエネルギー吸収により、高水準な自己保護性能を確保するとともに、相手車両への攻撃性も低減したコンパティビリティ対応ボディです。

前方向からの衝撃に対し、アッパーフレームやロアメンバーによってエネルギーを分散・吸収し、さらにフロントピラーやフロアに拡散。ロアメンバーが相手車両の衝撃吸収部材とのすれ違いを防ぎ、アッパーフレームとともに衝撃をより広い面で受け止めることで、ショートノーズながら極めて高効率な衝突エネルギー吸収を実現し、キャビンへの負荷を大幅に低減。自己保護性能を向上するとともに相手車両への攻撃性も低減しています。こうしたコンパティビリティ対応構造に加え、フロア骨格を荷重分散構造とすることで、より効果的にエネルギーを分散します。
フロア骨格荷重分散構造図
コンパティビリティ対応ボディ
この他にエアバック・ABS・・・などの「傷害軽減」「被害拡大防止」を目的とした技術が有ります。


by
kondohomda