雛飾りは、
雛人形、雛道具、雪洞(ぼんぼり)、屏風、雛壇、桜橘、小道具などの各専門職【工房】が
分業製作しセットした物です。
(製造直売や産地直売等をうたい文句にする販売店は信用できません。)
雛人形には、衣装着(いしょうぎ)雛人形と木目込み(きめこみ)雛人形があります。
※ここでは、衣装着雛人形についてご説明します。
原則として、”衣装着(いしょうぎ)雛人形”には厳密に言って
作家物【頭(かしら)、胴柄(どうがら)等全て一人で製作する物】はありません。
※頭:雛人形の顔と頭髪の部分 ※胴柄:体の部分
何故なら、衣装着雛人形においても
頭師、髪結い師(結い髪師)、人形師(胴柄師や振付師など)、手足小物職人などが分業制作した物だからです。
※企業では、頭師や人形師を人形作家と呼びます。(人形作家が作った物だから、作家物??????)
衣装着(いしょうぎ)胴柄の工房においても、職人1人が製作する工房よりも
衣装の縫製、小物の製造、胴の組み上げ、着付け、振付など
各専門の職人や女工さんが分担する工房が多いです。
胴柄師においても、一人で15人一揃えの胴柄を制作できる職人は稀で、
一般的には親王、官女、五人林:随臣:仕丁と各専門の人形工房の人形師が多いです。
※振付師は、15人一揃えの振付を扱う場合があります。
雛人形セットの作札にはついては、書き方の規則は無く、○○作、○○謹製、○○監修などと色々です。
※作者名まで書かれている場合は
雛人形の胴柄(体部分)の製作者である胴柄師、振付師や工房の代表者名等を出します。
(※↓:工房で行う場合 ↓:工房で行わない場合)
1.胴柄師
(小規模工房)タイプ
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2.振付師
(小〜中規模工房)タイプ
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3.製造問屋や工場
(中〜大規模工房)タイプ
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製作工程
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胴柄師が、一人 又は弟子(子供な ど)や家族
と
一連の工程を全て 制作するタイプ。
作者名には
胴柄師の名前を 出す。
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製作工程
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部品になる物を
専門の職人や
内職の女工さん達 の流れ作業的に 制造、又は
分業的に外注に出 し
振付師が一人
又は、
複数の弟子(他所 からの門弟など)と
一般的に
”着付け”からの
制作で効率を図る タイプ。
作者名には
振付師
の名前を出す。
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製作工程
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○○人形店の
○○作という感
覚のタイプ。
作者名には
代表の振付師や
社の代表者など
の名前を出す。
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雛頭
ワラ胴や木胴等
手足小物
衣装布等の購入
↓↓
貼り込み
↓↓
布の裁断
↓
衣装の縫製
↓
胴の成型
↓
衣装小物の製作
↓
胴の組み上げ
↓
着付け
↓
振り付け
↓
小物を付ける
↓↓
頭を挿し完成
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雛頭
ワラ胴や木胴等
手足小物
衣装布等の購入
↓↓
布の裁断
衣装の縫製
胴の成型
衣装小物の製作
等を外注や内職
↓
胴の組み上げ
↓↓
着付け
↓
振り付け
↓
小物を付ける
↓↓
頭を挿し完成
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雛頭
ワラ胴や木胴等
手足小物
衣装布等の購入
↓
人形製造の 全工程において、 各数人の 専門の職人や 内職の女工さん達 が流れ作業的に 制作する。
↓
頭を挿し完成
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4.デザイナータイプ
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5.仕入問屋(小売専門店)タイプ
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製作工程
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一般的に問屋等が デザイナーに人形の
着物のデザイン
及び色重ね考案を
依頼するタイプ。
作者名には
デザイナーの
名前を出す。
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仕入問屋の流れ |
1.2.3.の 人形工房に製作 を依頼、 ○○オリジナル タイプ。 作札に ○○監修 ○○謹製 ○○など
作者名には
親王人形工房の
代表者名などを
出す。
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写真見本になる 雛人形を製作 又は デザインの考案。
↓
販売品の製造は
下請けの人形工房
にて制作する。
↓↓
頭を挿し完成
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雛頭
ワラ胴や木胴等
手足小物
衣装布等の購入
↓↓
雛頭や衣装布を
各下請けの人形工房
に配布
↓↓
各下請けの人形工
房
にて制作する。
↓
仕入れた商品を組み 合わせる。
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※人形工房は、上記の他にも多種多様の製造形態を取っています。
※製造工程は、200工程以上あります。
練頭
桐塑頭:とうそが しら
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石膏頭 (一般的な頭)
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雛頭の製作工程
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頭師が1人又は弟子 や家族と”顔の部分” の製作工程を全て行 います。
髪の毛を結う工程
は 別工房の職人 ”髪結い師”(結い
髪師)が行います。
※博物館や歴史館な
どにある昔からの製
造方法
職人の良くも悪くも 癖が出やすい。
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雛頭の製作工程
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練頭と同じように
頭師が1人又は弟子 や家族と”顔の部分” の製作工程を全て行 う場合。 と
多くの場合は、 作家に原型になる
顔型の抜き型作り
を依頼し
工房で、 各専門の熟練した (切り出し、化粧、髪 結い等)職人や女工 さんが 流れ作業的に製作す る場合 があります。 ※顔型を作る 原型作家がいる 工房もあリます。
元型に忠実で できあがった顔型が 安定していて、粒(つ ぶ)により異差が少な い。
※抜き型が同じなら どこの工房で製作 しても ほぼ同じ顔型に なる。
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顔型起こし
↓
抜き型起こし
↓
型抜き
(桐の粉素材)
↓
ガラスの瞳を入れる
↓
胡粉塗り
(3〜5回繰り返す)
↓
切り出し
(口目鼻立ちの成型)
↓
磨き
(磨きを行わない場合もあります。)
↓
化粧
(眉、生際、頬紅,口紅など)
↓
毛彫(けぼり)
(髪の毛を植える部分の切り出し)
↓↓
植毛
↓
髪結い
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顔型起こし
↓
抜き型起こし
↓
型抜き
(石膏素材)
↓
釜に入れ焼く
↓
ガラスの瞳を入れる
↓
胡粉塗り
(3〜5回繰り返す)
↓
切り出し
(口目鼻立ちの成型)
↓
化粧
(眉、生際、頬紅,口紅など)
↓
植毛
↓
髪結い
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※頭の製作は・・・大きく分けても38工程です。(細分化すると、200工程以上)
※頭には、その他”樹脂頭””プラ頭”等があります。
製作工程
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木地の製造
↓
下地塗り
↓
蒔絵付け
↓
金具付け
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各工房
や
一つの工房で 木地師 塗り師 蒔絵師 などが 分業形態を とっています。
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※工房により商品により製作工程の細分化に異差が出ます。
※どんな職人にも得意不得意があり、上手下手があります。
※御自分の予算で、気に入った物を購入することをお勧めします。