茨城県の五月節句飾り

1.五月節句の御飾りは”身代わり&出世祈願”です。
鎧・兜は戦の身体防具として身を守るという大切な役目をもっているため、五月節句の中心の飾りになりました。
昔、子供が成人(元服)しないと鎧・兜を身につけることが出来ないことから、無事に成長して、強く、立派な男子になり、受験、就職、結婚など、人生の幸福にめぐまれますようにと”出世祈願”の願いを込めて飾る物です。

鯉のぼりは、中国の登竜門の伝説に、鯉が黄河上流の難所の龍門を登りきると龍になリ天に登る、ことの話から立身出世の例えとされています。
※日本では、”鯉の滝登り”として有名です。
2.長男には、”鎧飾り”が基本です。
茨城県は、徳川家のお膝元、
昔から
長男として生まれた子供には鎧(具足)を贈る”
とされています。
鎧(よろい)のことを具足(ぐそく)呼び、具足の物事が十分揃っているという意味から、
”恵まれた人生を謳歌(おうか)する”ことをあらわしているとされています。
長男に適した祝い飾りと言えます。
(※私自身、次男で兜飾りでしたが・・・・・。)
3.五月節句の御飾りは、次の代には使えません。それだけが”禁忌”ごとです。
戦で刀・槍・矢などで襲われた時に、体に負う傷を避けるため鎧・兜を着用するところから”身代わり”の意味が込められます。
前の代(父親など)の鎧・兜は、その方の代わりに前の代の”厄”を受け取っています。
真っ白に生まれてきた赤ちゃんに、”厄付きの物”をおくる好ましくない行為”禁忌”です。
たとえ家族であろうと共有したり引き継いだりする物ではありません
※神道の理論にはキリスト教で言うところの「原罪」という教義はない。むしろ逆に、人間の魂の生来の善良さと神にも似た純粋さを信じ、魂を神の意思が宿る至聖所として崇めている。(「武士道」より)
※どうしても前の代の五月飾りを飾りたい場合は、生まれた赤ちゃんの新しい五月飾りを中心にその横に前の代の五月飾りをお飾りください。
4.五月節句のお飾りは、一人一飾りが基本です。
神社のお守りがそうであるように兄弟兼用というのも、あまり感心ができません。
長男は”鎧飾り”、次男は”兜飾り”などと分けてお飾りするとよいでしょう。