茨城県の羽子板・破魔弓飾り

1.初正月の羽子板・破魔弓は”お守り”、3月・5月節句は”身代わり&出世祈願”です。
県内では、破魔弓は”魔を射る物”・羽子板は”魔を跳ね除ける物”として子供が生まれた年の初正月を祝う”外からの魔(厄災)に備えるお守り”として贈る風習があり、3月・5月の節句物とは別物と考えられています。
ですから、県内では初正月節句の羽子板・破魔弓を揃えず3月・5月の節句飾りだけ揃え祝うことを、子供を守りもせず出世だけを望む”片祝い”と言い好ましくない祝い方としています。
2.跡取りの子供の羽子板・破魔弓は嫁ぎ先に贈る物です。
家の”跡取り”に子供が生まれると、それまで飾っていた物や蔵などに仕舞っておいた前の代の羽子板・破魔弓を片付けて、新しい物と交換します。いわゆる”代替わり”です。
近年は、跡取りの若夫婦がアパートなどに住んでいる人たちが多いようですが、県内では”床の間”を神床と呼び家の敷地内にある祠(ほこら)と同等で大地主神(その土地の神)、土産神(氏神)を祀る場所と考えられています。
その家土地の大地主神(その土地の神)、土産神(氏神)に、跡取りの子供が生まれたことの報告と庇護を願い羽子板・破魔弓をお飾りください。
跡取りの子供の羽子板・破魔弓は嫁ぎ先に送り、御当家の床の間に一年中飾ってください。”
※床の間がない場合は、神棚の下、居間や玄関先などにお飾りください。
※アパートなどには、親戚や仲人より送られた物や、ご当家で購入したものを居間や玄関先などに飾ると尚良いでしょう。
※次男三男の子供の羽子板・破魔弓は新居に送り、床の間、居間や玄関先などに飾ってください。
3.羽子板・破魔弓は、一年中飾る物です。
当然、初正月に揃える”お守り”として贈るものですから、仕舞っては意味がありません
正月ばかりではなく一年中子供のお守りとして、本来は贈られた子供に子供が出来るまでお飾りください。※少なくとも15歳(昔の元服の年齢)までは飾るものです。
県内では、一般的に昔から羽子板・破魔弓を正月飾りとは呼ばず、初正月飾りと呼ぶのはこういった点が違うところです。
※他県では、1月15日までで仕舞う所が多いようです。
※現在は、婚期が遅くなっている時代ですので、約18〜35年飾ることになります。
4.羽子板・破魔弓は、1人1人に贈る物です。
県内では、初正月の羽子板・破魔弓を3月・5月の節句より重要視しています。
次男三男、次女三女と生まれた場合にも、子供の初正月の”お守り”だけは少なくとも揃えてあげたいものです。