茨城県の雛人形飾り

1.雛人形は”身代わり”です。
雛人形は奈良時代に”厄(厄災)から子供の身を守るため紙などで”ひとがた”を作り、これで体を撫でて雛人形に”厄(厄災)”をうつし川に流す”流しびな”の風習と、”源氏物語”や”枕草子”にもでてくる平安貴族の女子の遊びである”ひいなあそび”の人形が長い間に結びついて生まれたものです。
従って、雛人形は唯の御飾ではなくマンツーマンで女性を守ってくれる”身代わり人形”です。
2.雛人形(雛飾り)は、次の代には使えません。それだけが雛節句の”禁忌”事です。
意外と知られていないのが、雛人形(雛飾り)の”禁忌”事です。
先に”身代わり”と書いたとおり生まれた子供の”厄(厄災)を雛人形に背負わせるのですから、世代が代わり赤ちゃんが生まれたときに前の代の雛飾り(母親の雛人形など)を使うのは、真っ白に生まれた赤ちゃんに前の代の”厄(厄災)”を持たせる行為になります。
常識として、好ましくない行為です。
※神道の理論にはキリスト教で言うところの「原罪」という教義はない。むしろ逆に、人間の魂の生来の善良さと神にも似た純粋さを信じ、魂を神の意思が宿る至聖所(しせいじょ)として崇(あが)めている。(「武士道」より)
たとえ家族であろうと共有したり引き継いだりする物ではありません
※どうしても前の代の雛飾りを飾りたい場合は、生まれた赤ちゃんの新しい雛飾りを中心にその横に前の代の雛飾りをお飾りください。世代を超えた雛飾りが並ぶ姿は、とても見応えがあります。
3.何時までも綺麗でいる雛人形は、少しかわいそうな雛人形です。
雛人形は、子供が手を触れ”厄(厄災)”を移すもの、御自身も雛人形や雛道具を触って壊した記憶はありませんか?
私の祖母が、
”昔の人は、雛人形は子供に触らせる物で、その子供が成人するまでに壊す物。と言っていた。”
これは、本当に壊すという意味ではなく、雛人形を贈られた子供がある程度分別のついた年齢になったら、親子で雛飾りを飾ったり仕舞ったりして高価なものの取り扱い方お客さまを呼んで礼儀作法を教える祝いであり、その時、子供が雛人形や雛道具を壊してしまっても子供の”厄(厄災)”を雛人形に背負わせたと思い叱ってはいけないと言う意味だ、と教えてくれました。

親子で楽しい”ひな祭り”の想い出を作ってください。
※修理については、ご相談賜ります。
(原則として上記の理由で、あまり修理する物でもありません。)
※子供が壊したことも想い出です。
4.雛飾りは”主従関係”を表すものではなく、人の”道徳”を解いたものです。
15人一揃え(七段飾りなど)の雛飾りは”婚礼を表した御飾”です。
この飾り方を、親王を中心とした”主従関係を表した物”と言ったりする方々が多いですようですが、関東では、今の十五人一揃えの雛飾りの形に落ち着いたときに、こんな言葉が流行ったそうです。
他のページにて当店で今も続く関東飾りと一緒にご説明します。
5.ひな飾りは、1人1飾りが基本です。
雛人形には、あと1つこんな話があります。
御内裏様(男雛)と御姫様(女雛)、御姫様は誕生した子供(雛人形を贈られた子供)の花嫁姿、御内裏様は未来の旦那様
現在は、住宅事情などがあり子供の人数分”ひな飾り”を揃えることは難しいかもしれませんが、姉妹兼用というのは、あまり感心ができません。

ましてや、前の代(母親など)の雛人形をあげるのはもってもほか、何故なら、その御内裏様は確定(父親など)しているものだからです。(お父さんは、嬉しいかもしれませんが・・・・。常識的に正しくありません。)
(※地方により、”婚期が無くなる。”というそうです。)