シビック快適生活

シビックin店の駐車場

「ファミリーカーは快適でなくてはならない!」


●序章(04,06,12)
シビックフェリオ・・・
 4ドア5人乗り。荷物がたくさん載せられるトランク。遠乗りでリッター18キロ走る。ファミリーカーである。 しかし、私が乗るからにはカッコ良くなくてはならない。走りもそれなりに重要だ。つまり答えはシャコタン(笑)
シャコタンだからと言って乗り心地の悪いのは脚フェチな私としては許せない。「ファミリーカーは快適でなくてはならない」のだ!!
 私のシビックには前オーナーが装着した「HKSハイパーダンパー」と言う車高調が付いている。  これは私が前オーナーに奨め(安かった)私が取り付けたものである。新品当初はしなやかで良く動くような印象だったが車を譲り受けた時にはかなり動きが渋く細かい突き上げも感じるようになっていた。ある説によるとダンパーは抜ける前に硬くなるそうだ。恐らく、そんな感じなんだろう。
 最近まで「こんな物だろう」と諦めていたが、先日サーキットを走行した際セッティングを進めていく上で縮みストロークが思っていたよりかなり少ないことに気付いた。「これは何とかなるんじゃないか?」シビック快適生活の始まりです。 燃費が良く財布に優しいこの車、無駄にお金をかけては意味が無い。できるだけお金をかけず仕上げていこうと思う。


●検討編(04,06,13)
何が悪いのか?原因を考えてみた。
 ・ダンパーの特性
 ・バネレート
 ・縮みストローク不足
 ・タイヤ空気圧
こんなところか?

 ・ダンパーについて。
 仕様変更が一番簡単で確実なのだが、いかんせんコストが掛かりすぎる。最低でも4本で6万円ほど掛かるようだ。これならコンフォート系でケース長の短いダンパーを買い直した方がよっぽど良い。何とかコストをかけずに改善する方法は無いものか?   ふとダンパーを眺めているとガス封入バルブが有る事に気付く。「ん?タイヤのエアーバルブに似ているな・・・」試しにキャップを外しエアーゲージをあてて見る。2.3キロ(笑) あらま、やっぱ同じバルブだったのね。
 と言う事は、ガス圧の調整ができるという事だ。単筒ダンパーはどうしてもガス圧が高くなるそうで反発力が強い。ガスを抜くことによって間違いなく性能面でのデメリットはでると思うが、乗り心地は良い方向になると思われる。これを利用しない手は無い。
 ちなみにダンパーに貼ってある注意書きを見ると封入されているのは「窒素」だそうだ。窒素が封入されている理由を自分なりに考えてみた。水分を含まないのでガス室内のサビなどを抑制でき温度変化にも安定した圧力を保てる。酸素を含まないのでシールなどの劣化を抑制できる(のか?)。分子が大きいのでシール性が高い。と言ったところか?。ウチの店に窒素は無いが、抜きすぎて失敗しても、どこかで補充する事ができる。ま、最悪ウチの店はドライエアーなんで、無理に窒素でなくても良いかな?
すでに実行していますが結果は後ほど・・・

 ・バネレート
 現在のレートはキットのデフォルトF8kR5k。(日記中ではR6kと書いたが勘違い)スプリングの遊びを無くす目的でバリアブルレートになっている。HKSのカタログによると5kの方は自由長260mm初期レート2,2k。約140kg荷重が掛かった時点で密着し5kになるようだ。単純計算では約64mm縮むまでは2,2kなので、そこまでのプリロードは許容範囲。と言うか2,2kならある程度のプリロードを掛けた方が操安性は良いと思われるし乗り心地とコストを重視するならプリロードが増える事になっても、この5kをフロントに使うことが有効であろう。
 後は、リアの設定をどうするか。バネレートのバランスを考える場合、基本的にはバネ上重量の前後バランスで決める。EKシビックの場合、ロドスタと同じくダブルウィシュボーンである為レバー比が発生する。これはロアアームの長さとダンパー取り付け位置での実測で出した。 Fが約1,48倍、Rが約1,26倍。 軸重がF630kgR390kgなので1軸当たりのバネ上重量を出すには2で割り、バネ下重量を引くと1軸当りのバネ上重量が出る。バネ下重量は持った感じ(笑)ホイールタイヤを含め前後共に40キロくらいか?で、計算すると1軸当たりのバネ上がF約275kg、R155kgとなる。これに実測したレバー比をそれぞれに掛けるとスプリングに掛かる荷重が算出される。F407kg、R195,3kg。更にこの数値をバネレートで割るとバネレート1キロで何キロの荷重を支えているかが出る。まず、Fのバネレートを決め、リヤのバネに掛かる重量をフロントのバネ1キロ当たりの重量で割ればリヤの適性バネレートが算出される。
例えばF8kの場合は約3,84kが適正になり、F5kの場合は約2,4kと言う事になる。つまり、デフォルトの8k5kはリヤが硬めなのである。しかもキット自体はEK4(3ドアVTEC)用なのでもっとフロントヘビーなはず。ま、これは何もデータが無い状態での基準になる考え方であるので製作の意図や走行テストの結果によっては変化してくる。しかし、経験上リヤの脚が硬くなると乗り心地は悪くなると私は認識しているのでリヤは柔らかくしたいが、2kでは柔らかすぎるし直巻きでそんなに柔らかい設定は余り無い。結局、デフォルトのバランスと余り変わらないが3kで行こうと思う。ちなみにEK9のFバネが3,5kらしい、このことから我がEK3のFは3k前後である事が予想される。そこでノーマルのバネを流用できないかと考えてみた。スプリングはテーパー状になっていて小加工でスプリングシートに収まりそうだしアッパーはノーマルを使えば問題なし。しかし問題は自由長。300mm以上あるのだ。現時点で車高調整部は下限ほぼいっぱい。ノーマル車高程度にはなりそうだがそれでは本末転倒である。
やっぱりシャコタンがカッコ良いのだ(笑)
(04,06,16追記)
鋭い方ならお気付きでしょうが、このような計算は今回の場合ほとんど必要ありません。何も基準の無い車のサスセッティングを一からしようとするときに必要な計算です。シビックは、すでに車高調を装着しており、何が不満でそれをどうしたいのか有る程度解っていますから、あんまり意味が無いと言えます。それに、バネレートの設定は計算で出すものでは無く、やってみて良くなったか悪くなったかが重要だと個人的には思っています。

 じゃ、なんで計算したかって? 
 面白半分です(笑)

だって「乗り心地が悪いからバネを柔らかくしましょう」じゃ面白く無いでしょ?
無駄は人生のゆとりである。


 ・ストローク
 車高調のデフォルト状態で地上高9センチぎりぎり辺りを狙うとバンプタッチまで1センチ有るか無いか程度な様だ。これまではダストブーツがあるために確認できず(余り拘りもなかった)極端に底突き感の出ないところまで車高を上げていた。(地上高10センチ付近) これじゃあ良い訳ないですね。だったら車高を上げろって?それじゃ駄目なんですよ。何度も書きますがシャコタン命なんです。妥協は許されません(笑)
 ロドスタで得た経験と知識をフル回転させ、最良のストロークバランスに近づけます。このキットはピロアッパー付きなんですが乗り心地を重視すると当然ノーマルの方が有利です。しかもピロよりもハイマウントになります。正確に測定はしていませんが2センチ近くハイマウントになるようです。と言うわけで問答無用でノーマルにします。更には約30mmあるバンプラバーを半分にカット。合計35mm縮みストロークが確保できました。しかし問題点が一つ。リヤのロッドが短いのです。恐らく車高を調整範囲ぎりぎりまで下げたときに遊ばないストロークに設定しているみたいなのですが縮みのストロークを確保すると伸び側が不足気味になります。ロッドのアッパー取り付けネジ部に余裕があるのでアッパーとロッドの間にワッシャを数枚かませ、できるだけローマウントにし、縮みを犠牲にして少しだけ伸びるようにしました。今回はダンパーを替えたりすることはしないので、この点だけは妥協しようと思います。

 ・空気圧
 タイヤの空気圧はバネレートと同じで有るとも言えます。細かい話はまたの機会にしますが僕の場合、乗り心地が良くなると解っていても空気圧は落としたくないんです(現在2,5〜2,7付近)。第一の理由は燃費。データを取ったわけではないですがシビックの指定空気圧の2,2キロでは恐らく5%近く燃費が違ってくると思われます。せっかく燃費を重視して細め(175)なタイヤを選んだのに空気圧を落として燃費を悪くしてしまっては何もならない。第2にハンドリング。高めの空気圧はレスポンスの良い軽快なハンドリングを実現します。これは単に好みの問題です。これくらい高くするとセンター磨耗が心配ですが今のところ大丈夫なようです。タイヤサイズ変更でロードインデックスが下がった事もありバランスが取れているのかもしれません。
空気は減る事はあっても増えることは無い。車重はノーマルより増える(人数、荷物)事はあっても減ることは無い。空気圧は同じタイヤサイズなら車重に合わせるのが基本ですし高めの空気圧の方がトラブルが出にくいとのデータもあるので、我々の業界では指定空気圧より1割前後は高めに入れる事が常識になっています。

次回は実践編
画像もどんどん入れていきます。


●実践編(04,08,01)
 ・車高
 フロントバネはリヤの5Kを流用する事で問題なし。問題はリヤ。3kの直巻きを買えば問題ないが、お金をかけたくない。とりあえずノーマルバネを流用してみた。少しだけバネのすわりが悪いが、まあ大丈夫でしょう。

ノーマルバネ流用
ノーマル比2〜3センチダウンってところでしょうか・・

 スプリングシートは最下部にセット。う〜ん、これでは満足できません(笑)
何か良い方法は無いか・・・? 「カットするしか無いかぁ?」最終手段も考えたがノーマルは残しておきたい・・・。色々と悩みながらこの日作業をしてた某友人経営整備工場の中をウロウロしてたら良さそうなバネが転がっていた。早速ノーマルフロントバネと比較してみた。

バネ比較
上 転がってたバネ。
下 ノーマルバネ。

良い感じです。恐らく、以前ここで作業した友人のEFシビックのノーマルフロントバネだと思われます。10年近く前に作業したと記憶しているのだが、捨てられずに残っていたようです。ということは多分3k前後のレート。そして自由長は短い。つまり車高が落ちるという事。組んでみました。

完成形
ほぼ理想通り

 ノーマルフロントバネ流用より2センチ程下がりなかなかの車高。もうちょっと落としたい気もするがデメリットも大きくなるのでここらへんで妥協しよう。


 ・ダンパー
 ガスを完全に抜きました。ロッドを押し込んだら戻ってきません(笑)
しかし、乗り心地は若干良くなりました。減衰の立ち上がりが鈍くなり、ゆっくり走っていると若干ふわつくような感じがするが速度を上げていくと有る程度は減衰力を発生しているようだ。狙い通りです。ただし、ハンドリングに関してはデメリットが大きく、レスポンス悪いし腰砕け感も大きくなった。ノーマルチックです。その割りには乗り心地が悪く(ガス抜く前よりは良いが)、特性としてはノーマルダンパーの方が良いかもしれない。まだ、減衰最弱でしか走行していないのでハンドリングについては改善の可能性があるかもしれない。まあ、駄目元で試したことなんで良しとしよう。


 ・限界特性
バネレートダウン&ダンパー小細工でロールが大きく腰砕け感大。リヤの伸びストロークが足りないせいもあり進入オーバーが強め。最近はアクセルオンでリヤを収めるタイミングが掴めてきたので個人的には問題ないが以前だったら戸惑ったかもしれない。まあ、限界領域で少しラフな操作をした時に出る特性なんで大丈夫でしょう。ダンパーの項でも書いているが減衰力の設定でハンドリング特性は変わってくると思われる。

Fダンパー比較 Rダンパー比較
参考までに左がフロント、右がリヤ。
フロントもストロークが短いのだがリヤはもっと短い。
意図的に進入での回頭性を狙っているのかも?
(ブラウザや画面サイズによっては上(左)下(右)に表示します)



 ・空気圧(04,08,02追記)
 脚を組みなおしたのは6月下旬。しばらく納得して乗っていたが、ふとタイヤをチェックするとリヤが若干センター磨耗気味なのに気付く。荷重の余りかからないFFのリヤタイヤに2.6〜7kの空気圧はやはり高すぎるかもしれない。2.4kまで落としてみた。

おぉ!快適♪


こんなに空気圧で乗り心地が変わるとは・・・。また一つ脳みそのしわが増えました。


●まとめ(04,08,02)
結果的にノーマルダンパーにダウンサスでバンプラバーを工夫する事によって縮みを確保した方がバランスの良い街乗り脚になったと思われる。しかし、ダウンサスだと目的の車高になるかどうかは有る意味「賭け」だし、車高や減衰調整でハンドリングのバランスを変える事ができる車高調はイジリ倒し派の私には捨てがたかった。それに「シャコチョー」って響きがカッコ良いですし(笑)

ま、努力した割には大幅に乗り心地良くなった訳ではないが、とりあえず部品代としてのお金はかかってないので良しとしよう。そう自分を納得させて、「まとめ」としたいと思います。





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