TOP BALLET-INDEX

レニングラード国立「海賊」全3幕4場プロローグ付
2月9日(日) 神戸国際会館

メドーラ 草刈民代
コンラッド プハチョフ
アリ ルジマトフ
ギュリナーラ フォーキナ

指揮 アンドレイ・アニハーノフ レニングラード国立歌劇場管弦楽団



神戸はまあまあ近いし、せっかくルジマトフが「海賊」踊ってくれるんだからでかけましょ、という感じで行ってまいりました。
メドーラは発表通り、草刈さん。淡々&さらさらっとした踊り。彼女は、モダンの方がいいでしょうね、多分。
ルジマトフ@アリは、というと地方公演というせいもあるのか、なんかある意味力が抜けて、楽しそうですらありました。
トロワでの美しさは相変わらず。しかしヴァリエーションで、いや、その前の細かい芝居あたりから、何故だがニコニコ状態で、笑顔で上手舞台前に飛んでこられた日には、びっくり&うれし〜。(席が思いっきり上手すみっこだったものですから)わたしの方に向って(ってわけじゃないんだけどさ、だったらいいけど、爆)、ニコニコで飛んでくるんですぜ、お客さん。そりゃ、たまらないってもんです(あれ、なんでこんな文体に?笑)。よって、ヴァリエーションはノリノリ、みえきりも絶好調。ダンス自体の調子もよさそうで、コーダの回転全く軸ぶれなし、ぴったり決まったぜ〜。どうだっつー感じでした。ま、普通のダンサーがこれやると、下品になって目も当てられませんが、ルジマトフはあくまで節度はありつつの至芸ですのでそこは、大丈夫。会場は大盛り上がりでした。
あと、わたし的にとても嬉しかったのは、東京で観られなかったミリツェワがクラシック・トリオの真中だったことです。容姿もとってもきれいだし、上手いし。もっと観たい〜。あとは、二人の踊りのギリョワがやっぱりよかったです。
で、カーテンコール、なんですが、この日、コンラッドのプハチョフが何度目かのアンコールでジュテで飛び出したのですよね。(我等がアイドル、シェミウノフくんはまだそれをやるほど、舞台慣れしてなさそう)そのおかげかどうかはわかりませんが、ルジマトフもジュテでカーテンから飛び出してきました!もう、この人ってば、やってくれるぜ!!
というわけで、この日はルジマトフ@アリが舞台全体をもっていってしまいました。(いいんかね?いーんです!)ルジマトフファンとしては、ある意味感無量(なんかニュアンス違うかもしれないが、笑)な舞台で大満足でした。
… 2003/02/17 …カオル

2月12日(水) オーチャードホール

メドーラ…ヴィシニョーワ
コンラッド…シェミウノフ
アリ…ルジマトフ
ギュリナーラ…クチュルク

指揮:アンドレイ・アニハーノフ、レニングラード国立歌劇場管弦楽団


この日は追加公演で、2002年12月14日から始まった、レニングラード国立バレエ来日公演最終日というわけです。なんと、丸っと二ヶ月日本に滞在し、日本全国を回り、公演数が46回!!ひえ〜〜。単純にとんでもないことだわ〜と感心しきりです。主役級のダンサーの方々は全部ついて行っているわけではないと思いますが、それにしてもコール・ドや楽団員の方々は全部行くわけでして(それともある程度分散するのかなあ)、すごいですよね〜。最早、職人魂を感じますですわ。
その46回目の公演というわけで、団員の方々それぞれ思うところもあるでしょうね。おっとしかし、「バレエの美神」公演(こちらにもレニングラード国立のダンサー及び楽団が活躍)を含めると、合計49公演なのか〜。ううむ、すごい…。本当にすごい…。

レポに行く前に一言おわび。2/1に初めて観たシェミウノフ@コンラッドが、わたし的にすっかりお気に入りなので、コンラッド&アリの腐女子妄想入りまくりです。苦手な方は読むのをおやめになった方がよいかと思います。



さて、最後の最後の「海賊」であります。コンラッドはすっかりアイドルなシェミウノフくんでして、彼がコンラッドをやる場合ルジマトフ@アリとの実年齢差がかなりあるうえ、容姿も可愛らしいのでついつい仲間うちでシェミウノフ@コンラッドを『若(わか)』と呼んじゃうんですよねえ。(要するに自分達が、アリ中心に物語を考えちゃっているからなんだけれども(笑)、このアリは、若い海賊の首領に忠実に、そして時に、間違いを正しながら仕えるお目付け役、というわけなんですね(ね、ってしかし、それは単なる妄想だろうが>自分)。
最初の遭難シーン。板切れに乗って、向って左からコンラッド、アリ、ビルバンド@クリギン3人が苦しそうに、腕を上に伸ばしたりしているわけなのですが、ああ、ここで、あろうことか、腐女子ビューに陥ってしまったわたしは、コンラッドが上げた腕をアリがつかんじゃったらどうしよう・・・とハラハラ、ドキドキしました。冷静に考えたら(冷静じゃなくたって)そんなわけないってのに、もう、どうかしてるぞ>自分。2/1の同じキャストの公演ではそんなことちっとも思わなかったのに…。それもこれもシェミウノフ@コンラッドがあんまり可愛いからだわ…。だって、「若、わたしが腕をささえて差し上げます!」ってアリが言ってもちっともおかしくないもんなあ…(ああ、もういい加減やめなさいっての)。

は〜、気をとり直して、メドーラ登場シーン。BBSにも書きましたが、ヴィシニョーワは自前のキーロフ版衣装でご登場。うーむ、しかし上手い!最初の見せ場、アチチュードで一歩一歩進むところのポーズの美しさ、余裕ぶりはまだまだペレン、シェスタコワは及ばない感じですね。しかし、海賊達を逃がし、自分達が捕まってしまうシーンでは、ちょっとばかりマールイの女の子達と踊りがあってなく、バラバラの印象を受けてしまって残念でした。うーん、こういう細かいところを合わせていくのは、急なゲストの立場では難しいんでしょうね。しかし舞台作品としての全体の印象を決めるのはこういう細かいところにもあるわけでして、その意味でヴィシニョーワはマールイのプリマより、ちょっと分が悪い感じになってしまいました。

奴隷市場のシーンでは、コンラッドがやたらめったらアリに相談していて(というかぶっちゃけていうと、かなりベタベタしていて、ああ〜、もうダメじゃん…)、コンラッド、アリに頼りっぱなしじゃないの〜、てな感じでした。今日はヴィシニョーワが相手、ってことで彼も緊張していたのかもね。アリはそんなコンラッドを今はまだいけません、もう少し様子を見て≠ネどとなだめつつ、さあ、正体を現すぞというところでの、コンラッド踊りも、下手の方で何気にちょっとだけ一緒にやっていたのが、わたし的に非常に嬉しかったです。前3回は、捧立ちで布だけバサっと取ってたのよ。

あ、クチュルク&ミハリョフ@アフメットのPDDは普通に上手でした。

2幕。「海賊」のパ・ド・トロワを踊るルジマトフ@アリは、もしかしたらこれで見納めになるのかもしれない…、という一抹の寂しさが胸をよぎったのですが、彼の踊りが始まるとなんだかそんなことは、もうどうでもよくなってしまいました。やはり、美しい、そして一瞬のうちに魅せられる、目が離せなくなる。というわけで、しかし今回は、ヴィシニョーワも観たいので大変困りました。右目と左目で同時に別々のところを観て、脳がその二つ分を映像認識できればいいのになあ…。だがしかし、そんなことはもちろんできるわけもなく、結局ルジマトフを観てしまうのですね。ごめんねヴィシ、きっとあなたのメドーラのパ・ド・トロワはまだ観る機会があると思うので(思いたい〜!)その時はしっかり観ます。 
ルジマトフのアリは、この日が一番その胸の内の熱情を押さえたダンスになっていたと思います。この日の調子とか、その他もろもろ理由はあったのかもしれませんが、ヴァリエーションは神戸公演のような、はじけまくったダンスではなく、控え目ヴァージョンでした。しかし、アダージョ部分のメドーラを高くリフトして舞台中央に行って止まり、観客に背中を見せて(この背中がまた美しい!)、5番の脚になってそのままルルベをし、さらにメドーラを高く持ち上げるシーン(うーむ、この説明でわかっていただけるかしら)は、今までのどのパートナーとの時よりも長く美しかったです。それは、もちろん実際的には一番踊り慣れているヴィシニョーワだから、という理由が大きいかとも思いますが、若い二人に対する祝福、忠誠、愛情をわたしはひしひしと感じました。
ヴィシニョーワのヴァリエーションの上手さは、もう改めて言うまでもないですね。(神戸の草刈さんは、ここ、いろいろはしょっていたなあ、いや、難しいことを無理にやって見苦しくなるよりは、ずっといいので、それでいいのですけれども)ふむ、正調キーロフ版「海賊」を観た、という感じです。まだまだ新人なシェミウノフくんは、このトロワ、きっと緊張していたでしょうね。でも彼も頑張っていたと思います。寝室シーンのパートナー・シップもなかなかのものでした。ヴィシ@メドーラはここのシーン、一番色っぽかったです。ベッドに横たわるコンラッドをビルバンドから守るために、寝ているコンラッドの体の上に、自分の体を投げ出して仰向けになって覆い被さったりしていたもの。そんなことやったのは、彼女だけなような気がします。他のメドーラはコンラッドが寝ているベッドの前に立って、両腕を水平に横に広げて守る(「ジゼル」でもあるあれですね)だったからなあ。
あと、クリギン@ビルバンドの濃い芝居が、舞台を盛上げつつ2幕の終わり。

3幕。セイード・パシャの船上、花輪の踊り場面では、もうヴィシニョーワ独壇場でしたね。まさにきらきらと輝いていました。決してそれほど大きくはない彼女の体が、大きく見え、クチュルクを始め、マールイのコール・ドの女の子達をしっかり牽引していました。本当に見事で美しかった。コール・ドを含め、ロシア・バレリーナの踊りを堪能しました。 
えっと、あとここでのツボポイント(腐女子ポイントか、笑)は、コンラッドが正体を明かして女の子達をもう一度助けるところ。ルジマトフ@アリが剣をコンラッドに渡すところなんですね〜。アリは思いっきり片立膝ついて、頭より上にその剣を捧げ持って、コンラッドに渡すのよ。「若、どうぞ、この剣をお使い下さい!」「おお、ありがとう、アリ」つー感じですか?(すみません…つい…つーか、いつものこと?)
そう考えると(どう考えるとだよ?)アリはギュリナーラと恋仲という、マールイ版ではとても無理やりな設定(だってこの場で初対面なんだよ〜)はこの際、全く無しでもいいなあ。アリはコンラッドにお仕えすることが生き甲斐なのよ。他のことはどうでもいいのよ。うふふ。(腐女子ビュー全開だな、爆)
そして女の子達を助け出して、新たな船出。めでたしめでたし〜。

さて、都合4回「海賊」を観たわけですが、メドーラも全員違っていたということで、ルジマトフ@アリ像も微妙に全部違っていて、楽しかったです。そしてどの回も今現在の彼にしか踊れない素晴らしいアリでした。トルコ・ブルーのハーレム・パンツ姿のルジマトフをしっかりと目に焼き付けることができて本当に幸せいっぱいです。ありがとう。
… 2003/02/18 …カオル