ダンス・クロニクル感想

2004/2/28(土) 愛知芸術劇場大ホール
名古屋フィルハーモニー交響楽団
指揮 磯部省吾

一演目ずつざっと感想まいります。
「ラ・シルフィード」

この演目は何故かコール・ドなしでしたね。他は全部あったのに。で、幕開けのわりに少し寂しい感じがしました。衣装は光る素材のロマンチック・チュチュがいまいちだな〜と思い、ちょっとのれませんでした。
ロマンチック・チュチュの衣装は「レ・シルフィード」の塚本洋子バレエがやっぱりよかったですね。
ジェームズの窪田弘樹さんはなかなかよかったと思います。


「ジゼル」越智インターナショナルバレエ
最初ミルタが出てきて、衣装が気になり(スカート前面部分に光る素材で植物の線をあしらったような感じ)、まあ、ミルタだけならこれでもいいか、と思ってみていたら全ウィリ&ジゼルもそうでしたね。
うーん、ジゼルの衣装はシンプルが大好きなので(髪飾りもいらないと思うぐらい)これはちょっと困りました。パンフレットにある以前の写真の衣装の方がずっといいのに。
舞台自体の感想としては、それなりのレベルにはあるかなとは思いますが、レニングラード国立をみすぎている(笑)ので、なかなか満足できないですねえ。仕方がないです。


「眠れる森の美女」塚本洋子バレエ
プロローグの妖精たちの踊りでした。リラを踊った植村麻衣子さん、安定していてよかったです。回転、バランスとも安心してみていられました。コーダで全員が揃ったところは華やかでよかったです。


「くるみ割り人形」佐々智恵子バレエ
スペインとアラビアと花のワルツでした。選曲が良かったですね。(とこれぐらいしか感想がない、笑)


「白鳥の湖」松岡伶子バレエ
ほとんどまるごと第一幕二場のシーンをやりましたね。オデットの安藤有紀さん、年末の「くるみ」公演をみてよかったので、期待していました。で、ほぼ期待通り、なかなか見事でした。叙情的で美しいオデットでした。ただちょっと回転系が弱いのが残念。ピケの回転(だったと思うが)で二回とも最後にふらついていたのが惜しいです。
コール・ドは、うーん、がんばっていたとは思います。三羽の白鳥はよかったです。四羽は難しいとは思うけれど今一歩というところでした。


「悪魔の物語」
ストラヴィンスキーの「兵士の物語」を香港の振付家ユーリ・ンが振付・演出したものです。
わたし的には笠井叡(かさいあきらとお読みするのですね)がみられるというのが一番嬉しかったです。舞踏は興味があるけれどなかなか舞台に接する機会がないので。
笠井さんは悪魔役で、ほとんど観客に背を向けて椅子に座って踊っていました。それでもステキでした。独特のオーラが漂っていました。
全体の感想としては、面白いところもあったけれど、退屈なところもあったという感じでしょうか。
「兵士の物語」自体は二回目なので、前に観たものと比較できたというところは面白かったかな。


「瀕死の白鳥」越智久美子
「瀕死の白鳥」について語るのは難しいなあ(笑)。プリセツカヤの舞台がやっぱり自分の中で確固たる位置を占めていたりするので。でも、多分越智久美子さんもずーーーっとこれは踊り続けるだろうし、そうですね、あと10年ぐらいたってからまた「瀕死」を踊る越智久美子さんをみてみたいものです。


「レ・シルフィード」塚本洋子バレエ
水香さんの「シャブリエ・ダンス」を除くとこの日一番完成度の高い演目だったと思います。ソリストの後藤さん、植村さん、米沢さん、それからウィルフリッツ・ヤコブス(窪田バレエ)全員よかったです。コール・ドも含めシルフのバレリーナは、ちゃんと空気の精の雰囲気が出ていました。あと名フィルの音の分厚さにちょっとびっくりしてしまいました(笑)。ううむ、「レ・シル」を生音楽でみたのは初めてなので、それもよかったです。


「ダッタン人の踊り」松本道子バレエ
これももちろん生音楽なのは嬉しいのですが、残念ながら合唱はなし(当たり前か)。ああ、しかし、わたしはパリでキーロフ・バレエの合唱つきを観てきてしまっていたのでした。あの演目最高だったなあ(あ、もちろんルジの「シェヘラザード」とは別の意味で)と思い返したりしておりました。合唱がないのはちと寂しい。そして踊りの迫力は、やはりキーロフには負ける…、まあ、そんなことを言っても仕方がないですね。それなりに迫力はあってよかったです。


「月は静かに輝く」平山素子振付・演出
えー、平山さん自作のこの作品は「白鳥の湖」オデットのアダージョの音楽を使用しております。舞台にテーブル(あしにころがついている)と台がおいてあります。このテーブルを使った演出もわたし的にはかなり、気に入りました。ちょっとマッツ・エック風でもあったり。エックは好きなので、“風”なのは歓迎なのです。もちろん間違った“風”はダメですけど。
身体能力が高いし、エモーショナルなダンスを踊れる方なので平山さんは好きです。これからもがんばってほしいです。


「SWANS」松岡伶子バレエ
島崎徹振付。えーと、ごめんなさい。これはわたしはダメでした。面白いと感じることができませんでした。なので、疲れもでて眠ってしまいました(爆)。多分島崎さんの舞踊言語はわたしには合わないのでしょう。


「シャブリエ・ダンス」上野水香、逸見智彦
てっきりテープ演奏なのだろうなと思っていたら、生演奏でした。うーん、すごいです名フィル。結局テープだったのは「SWANS」だけだったのね。
で、水香さん、いやー、素晴らしいです。思いっきり目が覚めました。客席も彼女が脚を上げるとどよめいてましたね。気持ちわかる〜。素晴らしい肢体とそれを生かしたシンプルな振付。文句がつけようのない完璧さでした。

カオル  DATE :: 2004/03/02 Tue