振付:プティパ 音楽:ミンクス
オレリー・デュポン マニュエル・ルグリ
東京バレエ団
パキータはとにかくだーい好きな演目。
マハリナ&ゼレンスキーのキーロフの映像を何度見たかわからないぐらい見ています。ビデオだから画像が劣化している今日この頃(涙)。
で、近年ヴィシニョーワ&ルジマートフで数回見ていて、えっと新国立でもヴィシニョーワ&コルプの映像がありましたね。
とにかくスキなの。これは理屈抜きですね。プティパ舞踊の精髄って気がするし、またクラシック・チュチュのための作品という気もします。
パリ・オペラ座は最近これを全幕作品として復活上演したのでしたっけ?
たわいもない筋のたわいもないバレエなので演技力うんぬんよりも、美しく踊ってこそなんぼのバレエだと思います。
で、オレリーですが、出てきた瞬間、うう、なんかいやに華やかさに欠けるなあと思ってしまいました。
おかしい、そんなはずはないよね?って感じだったのですが、踊り始めてもその印象は変わらず。
これは大変困ります。何故ってパキータのタイトル・ロールは光り輝いてこそ、だとわたしは思っているから。
(東バのコール・ドについてはあまり触れたくない、どうしてあんなにきれいじゃないんだろ、あんまりだぞ)
パリオペのエトワールのオレリーが、あの美人のオレリーが輝いてないなんて悲しいよう。
踊りはそつなくこなしてるけれど(ピルエットのバランスなんかすごいけれど)でも表情は硬いし、嬉しそうじゃないし、全体のステップが重い。エトワールのそつのない踊り、なんてものはわたしはみたくないのよ。素晴らしい踊りがみたいの。突き抜けた踊りがみたいのよ。
調子悪かったのかな。
しかしねえ、エトワールのバレリーナがこれぐらいしか踊れないってのは、調子以前の問題じゃないのかなあとふと思うのでした。
いや、わたしは決してオレリーが嫌いじゃありません。女性エトワールの中ではむしろ好きなのですよ。
なので頑張って欲しいです。
そして座長のルグリですが、えー、彼こそはこの演目に関しては調子が悪かったのかなと思います。来日前に怪我もしていたしね。
ルグリをみる時にいつも思う、本当に音楽になって踊ることができるダンサーなんだなあという感慨が、この演目では沸いてこなかったのよね。
というわけでなんとなく不完全燃焼な「パキータ」でした。
振付:バランシン 音楽:スーザ
ミュリエル・ズスペルギー エルヴェ・クルタン
バランシンのこの手の作品は、苦手です。どこがいいのやらよくわからないんだよね。
なのですみません。あまり感想がありません。クルタンは元気が良くてよかったと思います。
振付:ダンツィヒ 音楽:ショパン
エレオノーラ・アバニャート
ステファヌ・ピュリヨン
アバニャートの持つ雰囲気にぴったりな作品でした。ダンツィヒの作品を多くは知りませんが、だいたいこんな感じなのかな。
突出してみるべきところはないけれど、美しくまとまっていたと思います。
振付:バランシン 音楽:チャイコフスキー
ドロテ・ジルベール オドリック・ベザール
この演目は、バレエ好きだったらみんな自分のベスト・カップルとかベスト・パフォーマンスとか、譲れない持論とかあるでしょうね。
自分のそれをここで書くのはやめておきますが、ドロテちゃんは、評判通り素晴らしかったです。
すでに彼女独自の解釈を持って踊っていましたね。それが大変すぐれていました。みていて嬉しくなるダンス。
しかしべザールとのダンスと合っていたかというと、あまり合ってはいませんでしたね。
というかべザールの方がまだまだ、踊りなれていないという雰囲気。
どうなのかな、即席ペアなのかな。
べザールはモローがこれなくなったからメンバーに加わったのですよね。まだまだこれからのダンサーだと思うのでいっそうの精進を期待。
振付:ベジャール 音楽:マーラー
ローラン・イレール マニュエル・ルグリ
これが観たくてでかけた演目その1です。
もう二度とみられないであろうイレールとルグリが二人舞台に上がってのダンス。
それだけですごい、観られてよかったと思って感動していたのですが、どこか頭の片隅でほんのすこーし醒めてる自分がいる。
何故だろう、うん、多分、この作品自体にものすごーーく期待していたからなのよね。でそれがほんの少しばかり裏切られたのよね。
舞台の上の二人は確かに素晴らしい、素晴らしいのだけれど、圧倒的にどかーんとくるものがなかったと言いますか。
もっともっとと思ってしまったのでした。ごめんなさいね、貪欲で。
でも、間違いなく素晴らしかったです。
観られてよかったです。
そして二人肩をくんだカーテンコールにはじわり目頭が熱くなりました。
振付:フォーサイス 音楽:シューベルト
エレオノーラ・アバニャート メラニー・ユレル ドロテ・ジルベール
ヤン・サイズ マロリー・ゴディオン
かっこよくキレてるフォーサイスを想像していたので、想像をこれまた裏切られてしまった。
しかしこれは楽しかったです。衣装もヘンでよかったし。
うん、これも多分ルグリの公演じゃないと観られない演目でしょうね。
振付:ヌレエフ 音楽:チャイコフスキー
ミリアム・ウルド・ブラーム マチュー・ガニオ
うーん、難しいよね。ヌレエフ振付といってもこのPDDはほとんどプティパの振付のままだし。
この演目で本当に素晴らしい!!と言う風に踊れるのは(PDDだけ取り出した場合は特に)ごく一握りのダンサーだけだと思います。
ガラで踊られたもので素晴らしいと思ったのは、そうだな、「美神」公演のヴィシニョーワ、それからニーナの「眠り」抜粋公演の時のニーナとウヴァーロフのPDD。
たくさんみたけれど今のところこの二つだけのような気がしますね。
ミリアムちゃん悪くはないけれどね。って結局この程度の感想しか持てないわけよ、この演目は。
マチューは、ううむ、一つ一つのパがあまりにも決まっていませんでした。これほどきちんと踊らなきゃいけないバレエで、あんなに不安定でいいのだろうか。
きっと疲れが出たのでしょうね。でもエトワールなんだからそんなこと理由にならないと思うのよ。
確かにスタイルや容姿はすぐれていて、それは本当に素晴らしいと思います。
しかしオーラはあまり感じられませんでした。これからの経験が全てかと思います。
次にみる機会があったら、おおっさすがエトワールだわ、と思わせて欲しいです。
振付:プレルジョカージュ 音楽:モーツァルト
オレリー・デュポン ローラン・イレール
これが観たくてでかけた演目その2です。
(わたしは「ル・パルク」大好きなの、ビデオも何度も見ています。お宝だね、このビデオは)
いやー、これはもう文句無く素晴らしかった!!
オレリーもパキータとは別人のように艶やかに美しかった。(うー、何故パキータはあんなに単なる普通の美人だったのか)
オレリーの特徴であるどこか生硬い感じがこの作品で良いほうに出たといいますか。未成熟(実際がそうであると言っているわけではないです)な雰囲気がこの作品にみずみずしいさを与えていました。
そして上品なエロスの香。
イレールももちろん素晴らしかった。ほんっと観られて良かった〜。
ああ、でも全幕みたいですー。じたばたしちゃう。
前回のパリオペ来日公演が「ル・パルク」だったら、そしてイレールが踊っていたらわたしは、東京まで観に行ったよ、ほんとに。
次回の来日公演でもし実現したとしても、イレールは踊ってくれないよね…。
でもこの演目がパリオペのレパートリーから消えるということはよもやないとは思うので、イレールに続く人を育てて欲しいです。
でもオレリー&ニコラなんかもちょっといいかもと今思いました。
振付:ツァネラ 音楽:ヨハン・シュトラウス
マチュー・ガニオ オドリック・ベザール ヤン・サイズ
エルヴェ・クルタン マロリー・ゴディオン
楽しかったです。パリオペはイイ男がいっぱいだなあ(しみじみ)。
マチューくんもこっちの方が楽しそうに踊れていてよかった。
振付:ノイマイヤー 音楽:ショパン
モニク・ルディエール マニュエル・ルグリ
これが観たくてでかけた演目その3です。(あ、ちなみに1.2.3とその通りのランキングです)
圧倒的でした。そう、こういう圧倒的なものが観たかったのよ、わたしは。
モニク、素晴らしかった。現役じゃないなんてウソみたい。ルグリもこちらは流れるような美しいダンスで、この悲劇を十二分に表現していました。
パートナーシップも相変わらず素晴らしいです。もっとずーっと観ていたかったのに、あっという間に終わってしまった印象があります。
素晴らしい時は短いのよね。うう、この二人で全幕観てみたいです。
さて全体の感想ですが、この公演ではないと観られないというものがたくさん観られたのは大変よかったです。
しかし、この公演じゃなくても観られるもの(純クラシックだね)に関してはいまひとつ不満が残るのでした。
純クラシックであっても、さすがパリオペだ、と思わせて欲しいのよ。昔はそう思ったものだったのになあ。
でも、ドロテちゃんは気に入ったので、彼女の純クラシックが観たいですね。マチューと「ドン・キ」のGPDDとか踊って欲しかったです(なーんてこんなこと思ってるのはわたしだけか)。
また2年後にこの公演はあるのかな。その時もぜひ観たい!と思わせてくれることを期待しています。
2004/08/16 Mon カオル