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バレエ「ドラゴン・クエスト」
スターダンサーズ・バレエ団夏休み公演
2001年8月12日(日) こどもの城青山劇場
13:00/17:30

音楽/すぎやまこういち
演出・振付/鈴木稔
神奈川フィルハーモニー管弦楽団
指揮/小松一彦

白の勇者…西島千博  黒の勇者…長瀬伸也
王女…須永リエ(13:00)・福島昌美(17:30)
魔王…横山忠滋  賢者…本多実男
戦士…厚木三杏
武器商人…高谷大一  伝説の勇者…李波


バレエ「ドラゴン・クエスト」(以下「ドラクエ」といたします)の初演は95年です。噂には聞いていて、「ドラクエ」ゲーマー&バレエ好きとしては、いつかは絶対に見たい! と思っていたのが、今年実現しました。
今春、おりしもドラマ「池袋ウエストゲートパーク」(リアルタイムで見ていないのですが)がわたし個人的にブームで、うちでは西島さんのことを『キョンちゃん』と呼んで勝手に親しんでいました。ドラマ内だけのバレエじゃ物足りない〜、ハンサムな西島さんが踊っている生舞台が見たい〜〜、と思っていたら東京に出かける日にちに、ちょうど「ドラクエ」公演があって、これは絶対見なければ! となったのでした。チケットは事前にマチネの分だけ購入していましたが、見終わった後、ソワレを見ても十分名古屋に帰れるじゃん、と思い速攻ソワレの券も買いました(笑)。
ゲーマーのたわ言感想は、掲示板にも書いたので、以下はちょっと冷静になった(笑)感想です。


○簡単なストーリー○

白の勇者は伝説の勇者に育てられている。ある時伝説の勇者に連れられて、白の勇者はお城を訪問する。しかしそこで不吉な前兆を感じた伝説の勇者は、城の守りを白の勇者に託し、魔王を征伐しに旅立つ。しかし、残された白の勇者の目の前で、王女は魔王にさらわれる。王女を助けるべく旅立つ白の勇者。途中不思議な老人から、一緒に悪に立ち向かう三人の仲間を探すように予言される。無事仲間を見つけて、魔宮に乗り込む白の勇者達。しかし白の勇者は仲間からひとり引き離され、魔王の従者である黒の勇者と一騎打ちをした末、痛手を受ける。だが黒の勇者は何故かとどめを刺さずに去って行く。
倒れた白の勇者は妖精によって夢の世界へ導かれる。そこで、自分と黒の勇者は双子であったことを知る。夢から覚め、再び仲間とともに魔宮に向う。黒の勇者も自身の秘密を知り、魔王に刃向かうがあえない最期をとげる。伝説の武器と防具を身につけた白の勇者は、無事魔王を退治し、王女を助けお城に戻るのだった。


 西島さんが見たい! というのが、まず大前提(笑)であったわけですが、それと同じぐらい音楽が生で聴ける楽しみで、見る前からうきうきしていました。金管楽器が素晴らしく鳴っていて、大満足だったことをまず書いておきます。音楽ってほんと不思議ですよね〜。聴いているとその当時のことを思い出して。(ま、この場合はゲーム内で苦労したダンジョンのこととか、なんかゲーム内ですら金欠で悲しかったこととか、ですが、笑)

 さて、一幕は、王女さまがさわられたあと、3人の仲間を見つけて旅立つまで、だったのですが全体の構成とかが、安易な感じで見所もいま一つなく、実は見終わった直後はやっぱり子供向けだから、こんなものなのかなあ…的な感想をもってしまいました。まあ、西島さんはとてもチャーミングで、ほんとにステキで、王女さまの須永さん(たおやか〜)、福島さん(初々しい〜)ともにそれぞれ非常に役に合っていたから、そのちょっと…という感じを補って余りあるものはあったわけですが。多分、知らず知らずのうちに、立派な舞台装置で、たっくさんのダンサーが出てきて、様式にのっとったダンスをガンガンみせてくれる、某ロシアのバレエ団とかの舞台と比べちゃったからいけないんですね〜。それと、ストーリーと状況を説明していかなきゃいけないからその分、ちょっと退屈になったのかもしれません。

 とまあ、少し苦言を呈してみましたが、実際舞台を見てたわたしの顔は、きっとにやけていたでしょう(笑)。だって、西島さんの笑顔光線にやられてたから(笑)。なんかさ、お城にやってきて、王女さまを一目見るなり、この人は、ぼくの探していた人だ、ぼくは恋に落ちたぞ〜、ってな感じでウキウキ演技なんだもん。ちょっと待て、自分の身分を考えてみろよ〜、ってわたしはついツッコミを入れたくなりました(笑)。だってさあ、王子さまなわけじゃないし、勇者かもしれないけど、勇者らしいところはまだ全然見せてないしさあ。なのにそんなこといっさいかえりみず、さっさと恋に落ちてるんだもんな。でもま、かわいいから全て許す!ってな感じなんでした。

 で、案の定、目の前で王女さまさらわれるんですね(笑)。黒の勇者の長瀬さん、シャープな踊りで、踊り的には白の勇者より全然目立ってました。全体の雰囲気も役にばっちりあってました。(今回の「ドラクエ」のキャストは全員そうなんですけどね)
で、二幕。二幕は魔王側が主の舞台になっていて、夢の場面などもあり、一幕とはうってかわってドラマチックで、舞台自体もとても楽しめました。まあ、このニ幕のための一幕は布石という感じで、少しぐらいつまらないのもしょうがないのかな、というところではあります。

 さて、ニ幕では王女さまが捕われの魔宮で、黒の勇者のことを他の悪者とはなんとなく違う、と感じて、パ・ド・ドウを踊る場面があるのですが、ここがちょっとせつなくて、きれいでよかったです。王女さま、実は黒の勇者にも少しひかれてるんじゃないのかなと感じさせる場面です。ここあたりが、この「ドラクエ」のちょっとニクいところではあります。(余談ですが、この公演後一緒に見たお仲間と話していて、出たことを書いちゃいますね。――白の勇者って脳天気だよねえ、でさ、影があって孤独な黒の勇者に王女さまが、ひかれていって、白の勇者が助けに来ても「私はこの人とここにいます、あなたにはたくさんの仲間がいる、でもこの人は私がいないと駄目なんです」てなことを言って、二人で去ってっちゃうってのも面白いかもね〜――ということなんでした。西島さんが黒の勇者をやったら、マジなりそ〜、笑)

 夢の場面はいわゆるちょっとした「白いバレエ」シーンでして、ロマンチックチュチュ姿もきれいなダンサーの皆様、健闘されておりました。
 魔王を倒し王女さまを無事助け出した場面は、王女さまと白の勇者との喜び一杯のパ・ド・ドウです。白の勇者そんなに屈託がなくていいの? 自分の育ての親、伝説の勇者も死んだし、双子の片割れ黒の勇者も死んじゃったのにさ、とここでもついツッコミをいれたくなったのですが、西島さんの素晴らしく高いリフトに免じて許しちゃう(なんじゃそりゃ)。王女さまを自分の頭の上にビユーンとリフトするのですが、そのリフトとともに暗かった舞台が明るく輝くという、ツボを押さえた演出でここは、ほんっとわくわくしました。西島さんのリフトが、もうそれはそれは立派なのです。日本の男性ダンサーであんなリフトを見たのは、もしかしたら初めてかもしれません。

 大団円は結婚式でみんなの祝福をうけ、そして一緒に戦った仲間は去っていき(ここが泣ける〜)末永く幸せに暮らしましたっという感じでおしまい。いやあ、場面を思い出しながら書いていたら、また見たくなったです(笑)。
 最後ちょっと不満をいうなら、白の勇者と王女さま、もうちょっと踊って欲しい〜、てことなんでした。
 アンコールで舞台にあがったすぎやまこういちさん、とても嬉しそうだったので、わたしも嬉しくなりました。わたしの大好きなゲーム「ドラクエ」を他の舞台、ミュージカルとかではなく、バレエにしてくださったことに感謝をしてこの文はおしまいにします。

カオル

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