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2001年2月 BS2放送
パリ・オペラ座バレエ
「眠れる森の美女」
オーロラ姫…オーレリー・デュポン
デジレ王子…マニュエル・ルグリ
カラボス……ナタリー・オーバン
フロリナ王女…デルフィーヌ・ムッサン
青い鳥……バンジャマン・ペシュ
TV放送を楽しみに楽しみに待っていた、パリ・オペラ座ヌレエフ版「眠れる森の美女」でした。 しかし、なんですね、最近、オペラ座の映像化はほとんどが、バスチーユ・オペラの方で、ガルニエが好きな私(ってみんなそうですよね)はちょっと寂しい。バスチーユの方がやっぱりそう いう機材とかいろいろ持ち込みやすいんだろうなあ、ってことはわかるのだがしかし…って感じですね。
さて、ヌレエフ版「眠り」です。

プロローグ 相変わらず、セット、衣装とも素晴らしい〜。お妃さま、王さま、そして妖精さん 達の登場というわけで、ヌレエフ版はリラの精は全く踊らないのですね。踊る妖精の一番エライ人がマリ・アニエス・ジローで、長身そして華やかな雰囲気がいかにもオペラ座ダンサーという 感じではあります。ヌレエフの難しいステップやバランスをよくこなしてました。が、わたし的には腕の振りが今一つ雑なような気もしました。オーレリに比べるとなんか気になっちゃうって 感じです。しかし、実力のあるのは確かなところで、他の妖精ともども、みんな本当によく踊っています。

1幕 幕開きのお針子さん(でいいのかしら?)のところのマイムもきちんと入っていて、こう いう場面は原典に近く作ってるのだなあと思う。
待ってましたのオーロラの登場。ヌレエフ版は群舞の間から入ってくる。なんとなくオーロラは 階段を降りてきて欲しいな、と思うのはわたしがキーロフ好きだからかな。高いところにある、オーロラ全身の姿が見たいのよ〜、って感じかなあ、それとお姫さまには民のものを下に見るの が必要っていうかそういう図が見たいようです、わたしは。 オーレリのオーロラは全くもって非の打ち所がないってほど、綺麗でしたね。あまりに完璧に綺麗なので、少々冷たく感じてしまうってところが、好き嫌いが別れるところかもしれません。周 りの人達をホンワカさせる雰囲気、ってのはオーレリには出せないだろうからな。でも、無理に出さなくてもいいけど。毅然としたお姫さま、わたしは好きです。ローズアダージョももちろん 完璧、美しい〜。

2幕 ルグリの王子さま、これまた完璧、理想型。ルグリの踊りはいつも、特別なにかすごいことをやっているってわけではないけれども、何気なく踊られる美しいステップは、誰にでも踊れ るものじゃなく、やっぱりルグリだけのものなのだなあ、と見る度しみじみしてしまいます。
しかし、あの貴婦人のマイムはやっぱり気になる。目から人差し指で下に線を引いていく、あれ はやはり、涙の意味なのでしょうか? 楽しげな鬼ごっこのシーンなのに、あの貴婦人にはどんな理由があって悲しそうなのだろうか?…うーん……。 幻想の森のシーン、群舞の数と踊りが素晴らしい。そしてまた、オーロラも王子も半端じゃなく踊っている。圧巻です。

3幕 ここはわたしのニ大好き好きシーンが、ヌレエフ版ではないので、さびしーです。最初の 行進シーン、無いんだもんな〜。ポロネーズで童話のキャラクターとか全員出てきて、最後に裳裾を引いた長いドレスを着たオーロラが王子と出てくるのが、好きなのに。オーレリのドレス姿 が見たかったよ。 そして、ヌレエフ版はお祝いの童話キャラクターが少なくて、わたし的には寂しいですね。まあ、この辺は好みが別れるところだとは思いますが。わたしは「眠れる森の美女」という御伽話をこ よなく愛しているので、御伽話性が薄れてしまうのが、悲しいのであります。
ヌレエフの振付に関しては、わたしはあまり好きになれないものがあったりするのですが、これ は好き! というのは、宮廷舞踊なのでした。「ロミジュリ」の宮廷舞踊もいいし、この「眠り」のもいいですね〜。大仰でエラそ〜な感じが、独特な色っぽさとなっていると思うのです。うー ん、パ・ド・ドウとかでも、そういう色気が感じられるといいのになあ。
でも、グラン・パ・ド・ドウはほとんど見なれたものではありました。でも、やっぱり王子さま の踊り多いですね〜。オーレリ、ルグリの完璧なサポートで、光り輝いておりました。

どこかで読んだインタビューで、オーレリはルグリのことを「わたしにとっては偉大過ぎる人」、 と言っていたけど、そうには違いないのでしょうが、オーレリがルグリに与える影響ってのも全くないわけじゃないと思う。そういうものが、ちゃんと見えてくるともっともっと素晴らしい パ・ド・ドウになるでありましょう。 そして、もう一つ、なくて寂しかったのは、掲示板にも書いたのですが、アポテオーズがないことなのでした。 全体の印象としては、やっぱりオペラ座の「眠り」だ〜。ってこれにつきますね。あくまでも踊 り重視。見応えは十分。うーん、さすがパリ・オペラ座。

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