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VTRデバレエ2002

ボリショイ・バレエ『スパルタクス』
1990年3月ボリショイ劇場収録のDVDです。キャストはムハメドフ(スパルタクス)、セメニャカ(フリーギア)、ヴェートロフ(クラッスス)、ブィローワ(エギナ)です。
「スパルタクス」は生舞台はもちろん、映像でも全編通して見たことがなかったので、今年来日公演もあることだし(今のところ見に行く予定はないけれど)お勉強してみることにしました。
全体を通した感想。男性ダンサーがすごく踊るバレエだわ〜、となんかこれにつきますね(笑)。スパルタクス、クラッススの男性主役二人がこれでもか!というぐらい踊る踊る。ほぼ出ずっぱりで、振付もジャンプの連続だったりともう相当ハード。男性コールドもお互いが軍隊を引き連れているので、かなりの人数で迫力あります。これは、ボリショイしかできない演目だよな〜、と思うわけですが、確か最近韓国国立バレエもレパートリーに入ってましたよね。ううむ、韓国サッカー選手もすんごい体力だったから、きっとダンサーも体力あるんだろうな、などとヘンなところで納得してみたり。と横道それましたが、男性ダンサーに比べて、フリーギアは思ったほど踊らないのね。エギナの方がダンスシーンは多いように思いました(しかも超絶技巧的振付、難しそうなピルエット連続技多し)。 
お話は、ローマ帝国軍司令官クラッススに、捕虜になったスパルタクスが反乱軍を結成して戦いをいどみ、一度はクラッススを敗北へと追いやったが、クラッススの愛妾エギナの策略に反乱軍がはまり、最後はスパルタクス本人もローマ軍に殺されてしまう、というもの。もちろん全編通して暗いですし、華やかな場面は全くありません。舞台セットや衣装も重厚です。スパルタクスの奥さんフリーギアはもちろんのこと、エギナの衣装も全然きれいじゃありません。うーん、いっくら愛妾という立場だからといってエギナの衣装は、もうちょっとなんとかならないものなのか。乳房が片方出ているように見えるデザインのあの衣装は、いっくらローマ時代でもどうかと…。エギナは全編通して誘惑するひと、として出てるから仕方ないのかもしれないけれどわたしは嫌いだわ。もちろん貞節なフリーギアとの対比もあるのかもしれないとは思いますが。 
こちらは全編深い哀しみをたたえたフリーギア@セメニャカの表現は素晴らしいと思います。一番有名なパドドウはやっぱりきれいです。でもちょっと短い。わたしはもうちょっとこういうシーンが見たいです。ま、グリゴロヴィッチはこういう叙情的な場面はこれだけで十分と思ったんだとは思いますが。 
もともと全幕バレエはチュチュやおとぎ話が好きなわたしには、やはりどちらかというと苦手なバレエかもしれない。でも、見応えがあるのは間違いがないので、生舞台を見たらもっと感動するかもという気はします。 
☆カオル
… 2002/07/08 …


パリ・オペラ座バレエ『クラヴィーゴ』(ミーハーっす、笑)
ローラン・プティが99年にパリ・オペラ座に振付けた作品。音楽はガブリエル・ヤレド、というわけでそれを知った時、ああ「恋する悪魔」と一緒ね、と思ったわけですが、なんか中身も微妙に似ているのだな〜。悪魔は出ませんが、クラヴィーゴ(ニコラ・ル・リッシュ)の友人カルロス(ヤン・ブリダール)というのが、ちょっと悪魔的ではありました。ゲーテの原作は全く知りませんが、ゲーテといえば、「ファウスト」、「ファウスト」といえば、悪魔メフェストフェレスつーわけで、そういう流れなんだろうか(ってめちゃくちゃ勝手なこと言ってる気がする、笑)。
で、中身ですが、クラヴィーゴはマリー(クレール・マリ・オスタ)という女性(多分ちょっと深窓のお嬢さま)と出会ってお互い恋に落ちるが、もともと放埓的なクラヴィーゴは、友人カルロスにそそのかされるままに放蕩三昧を続ける。そうこうするうちにマリーは死んで、怒ったマリーの兄(ヤン・サイズ)に殺されちゃうというもの。
衣装は「ル・パルク」みたいな感じで、ああいう衣装はほんとにオペラ座のダンサーは良く似合いますね。ニコラの素晴らしく伸びやかなダンスにおお、すごいと感心しつつ、しかしわたしはブリダールのかっこ良さにちょっとびっくりしました。ほんとかっこよかった。で、ニコラと二人で踊るシーンが多いのだが(笑)、こうゆうのはプティの独壇場ですね。けんかしてるような、それを楽しんでるような、キケン(笑)なダンスです。というわけで、わたしはすっかりこの二人のシーンが楽しみになったので、オスタがどうしても影薄くなっちゃいました。いや、悪くはないんだけど。マリーというのは深窓のお嬢さま風なんだけど、非常にセクシャルな役でして、そのへんのギャップが面白くはあるのですが、その反面死んでしまっても、あんまり憐れな感じがしないというのはしょうがないところか(笑)。サイズはちょっと情けない感じのお兄さん役が良く合ってました。しかし、最後までカルロスの考えていることはよくわからなかったな(笑)。マリーにクラヴィーゴが取られるのがいやで、他の女を紹介したりしたんじゃなかったのか。そのわりには、最後の決闘もけしかけるしさ。カルロスの望みは、クラヴィーゴの破滅ってこと?やっぱり悪魔かしら?…原作読めよ、と自己突っ込みいれたところでおしまい。
☆カオル
… 2002/06/17 …