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VTRデカブキ
『音菊天竺徳兵衛』
おとにきくてんじくとくべえ
平成11年10月国立劇場公演
2月20日教育テレビで放送
  • 竺徳兵衛
    実ハ木曽官の一子大日丸──――七代目尾上菊五郎
  • 佐々木桂之助─────────中村信二郎
  • 佐々木家家老・吉岡宗観
    実ハ朝鮮国の臣下・木曽官────市村羽左衛門
珍しく通し狂言ですが、さすがに全部放送すると3時間を越えるらしく、テレビでは最初の方をはしょってました。 その部分に菊之助ちゃんが桂之助を慕うお姫様で沢山出てたのに…。残念だー。

始まりは将軍家より預かった、家宝の刀「浪切丸」を紛失した咎により、家老家預かりの身になっている 佐々木桂之助の元に、天竺から帰ってきた徳兵衛が珍しい異国の話を話して聞かせるというところから始まります。 しかし、歌舞伎ではお決まりですね、「家宝の刀紛失事件」ていうのは。
徳兵衛と会った家老の宗観は徳兵衛こそ、昔、訳あって人出に渡した自分の息子の大日丸だと言う。喜ぶもつかの間、 切腹をした宗観は自分はミン(?)国の臣下の木曽官で日本国に復讐する為に来た、ということを徳兵衛に告げ、蝦蟇の妖術 を徳兵衛に教え息絶える。父の遺志を継いだ徳兵衛は捕吏が取り囲む中妖術を使って逃れる。
所変わって、梅津掃部(うめづかもん)の館。現在桂之助はこの館にかくまわれている。そこに詮議の上使細川政元 がくる。そのうちに座頭徳一(もちろん徳兵衛の変装)が館に現れるが、本性を見破られ庭の池に逃れる。
館にまた「上使のお入り」の声がかかり、上使の斯波義照がやってくる。義照は桂之助の首か浪切丸かどちらかを渡せ とせまる。二人も上使がやってくるのは妖しいと思いつつも、掃部は猶予を願う。
奥殿では掃部の奥方の松ケ枝が義照への恋文を書いている。証拠にと小指を切り血判を押す。その血を見て義照は 松ケ枝を切ってしまう。
刀の詮議をしていると捕吏がやって来て義照を取り囲む。義照は徳兵衛だったのである。妖術を使おうとする徳兵衛 だが、先の松ケ枝の血の為に術が効かなくなってしまっている。今にも捕まろうかという徳兵衛。─という所で幕

と、あらすじ説明が長くなってしまいましたが、概ねこんなところです。しかし、前半はともかく梅津館の段になっ てからの展開はちょっと解りずらいかなぁといった感じです。掃部の奥方の松ケ枝がいきなり義照(徳兵衛)に恋文を 書いていたりするあたりは、見ていてもよく判らなかったです。松ケ枝は巳年の生まれで、その血のせいで徳兵衛の 術が効かなくなるというところも、それを知らないと解らないと思いました。私も後で本を読んで解った次第です。
でも、ただの異国帰りの男が、実は日本国の転覆を企む朝鮮国の大臣の息子で蝦蟇の妖術を使うだなんて、とっても 荒唐無稽な予測のつかない展開で面白かったです。
始めの内の桂之助に徳兵衛が異国の話しを聞かせる所は、徳兵衛に扮した役者が話術の面白さを聞かせる見所だそうで、 今回の菊五郎は、琉球から香港、タイ、ベトナムの食べ物尽くしの話しとなってました。他の役者さんで見たことが ないので比べられないのですが、話しの内容もそれぞれ違うのでしょうね。
蝦蟇の妖術を使うので、大きい蝦蟇のはりぼてや、蛙のかぶりものが出てきて楽しいです。欲を言うなら、お姫様とか 華やかな人物の出が少ないのが寂しかった…。余計に前段が見たかったと思ってしまいました。
完全ではないにしてもほぼ通し狂言で見られるのはいいですね。これからも通し狂言をどんどんやって欲しいものです。

当代菊五郎さんって、目が大きいですねー。ぎょろっとしてて視線が良く判る。素顔は男前なんだけど、舞台だと ちょっと変わった顔に見えてしまうのは私だけ? そして、15代仁左衛門襲名披露公演の口上以来、菊五郎丈とい えば「夜の宣伝活動」の一言が頭に浮かんでしまいます(笑)。

『本朝廿四考』
十種香・奥座敷
平成11年3月歌舞伎座公演
  • 八重垣姫──――中村雀衛門
他に尾上菊五郎、市村羽左衛門(多分謙信役)
またBS9チャンネルで歌舞伎放送をやってくれました。放送してくれるのはありがたいのですが、 録画できないんだよぉぉ! 一瞬を目に焼き付けるように見てはいるのですが、時間が経つとともに 脳みそから記憶が流れ出していく…。

「廿四考」の「十種香」の場面は、御園座の公演で、八重垣姫…福助、腰元濡衣…玉三郎、勝頼…勘九郎の 配役で見たことがあります。義太夫狂言なので、動きが少なくてちょっと眠くなってしまいましたが、 玉三郎、福助の二大女形の美しさは良く覚えてます。
お話は、許婚の勝頼が死んでしまったものと思って、十種香を焚いて回向をしていた所に、勝頼にそっくりの 蓑作が現れる。驚いていると、腰元濡衣に「実は彼は勝頼本人である」と告げられる。喜ぶのもつかの間、八重垣の父 謙信が現れ、蓑作(実ハ勝頼)に使いを命じる。
というものなのですが、テレビの放送ではその後の場面の「奥座敷」というところもありました。

「廿四考」というお芝居は、人物設定とお話が入り組んでいるらしく、なかなか通し狂言で演じられる ことがないですね。それに全部やると長そうだし。でも、八重垣姫は許婚のために親を裏切るお姫様。 恋に生きる情熱的なお姫さまだったのですね。「十種香」ではただ綺麗なだけのお姫さまにしか見えない から物足りないです。

雀右衛門クラスの女形になると、もう生身の人間って感じがしてこないですね。「奥座敷」の場面で 狐火に守られながら追っ手を逃れるあたりは、守られているというよりは操っているイメージでした。 しかし、お姫さまが立ち回りをするなんて、思ってもみませんでした。追手二人を投げてしまうんですから 驚きです。
何にしてもこの「本朝廿四考」、一度通し狂言で見たいものです。


2000年1月12日
BS9チャンネル
歌舞伎座舞台録画放送
『天守物語』
泉鏡花/戯曲
  • 富姫───坂東玉三郎  
  • 姫川図書之助──市川新之助      
  • 亀姫───尾上菊之助     
 
BS9chってのはハイビジョン放送で、我家のテレビはハイビジョン対応ではないけれど一応 見ることが出来るのです。それで、番組表に「歌舞伎中継」ってかいてあるもんだから何の気なしに見てみれば…。 何!? これ! 天守物語じゃない! しかも、図書之助が私の御贔屓の新之助!! 亀姫に菊之助?! なにそれ、玉さまってば、やりたい放題じゃないー。左團次さんも出てるし。ビデオに撮れないのが悔しいよぅ。 (興奮気味) 衛生放送か、地上波で再放送を強く希望します。!

「天守物語」は正式に歌舞伎となった様ですね(本当のところは良く知らないけど)。以前は亀姫は宮沢りえちゃんが 演じていたし、図書之助も宍戸開や他の役者さんが演じていて、歌舞伎とは一線を隔していた感じがあったけど。 でも、題材はいかにも歌舞伎的だし見ていて何の違和感もないですね。
いやいやそんなことより、新之助の図書様です。とてもお綺麗でありました。もう、台詞の中の「涼しいお顔」という形容が ぴったり! そりゃまぁ、まだ図書之助にはちょっとばかり若いかなーという気もしないでもないですが、 綺麗だから大丈夫。華があるというのは正にこのことで、新之助丈が舞台に居ると、ついつい目が行って しまうのですね、これが。99年の御園座の顔見世では、昼も夜も地味な脇役だったけど、目が追って しまいました。
菊之助の亀姫は、これもまた見事に役にはまってました。富姫と亀姫が二人で言い合っている様は、本当に 妖気が漂う程に「怖い美しい」でした。なんかすごく淫靡だったです。菊之助の女形は気品があって、しかも 悪というか、妖気があると思うのです。声も良く通るし。玉さまの後に続く型の女形だと、私は勝手に思っております。 今後が楽しみなり。

2000年1月2日
NHKでの邦楽番組
歌舞伎中継〜新橋演舞場
『助六縁江戸桜』
『弁天娘女男白波』
配役というより番組内容ですが、「狂言」「邦楽器の紹介」「花組芝居」「舞踊」等など色々盛沢山 でした。その時々に演舞場からの生中継が挟まれていました。
  • 狂言─和泉三姉弟
  • 舞踊・藤娘─坂東玉三郎 
  • 歌舞伎─市川新之助,中村雀右衛門,尾上菊五郎,尾上菊之助
お正月の楽しみは何と言っても、NHKの新春舞台中継ですね。
本当はその場に居て生舞台を見たいー! なんて思って見ています。
このテレビ中継は完全なものではなくて、邦楽特集番組の中で時々挿入されるものでした。 新橋演舞場でのお正月公演は34年ぶりだそうで、最近の歌舞伎人気を物語ってますな。
歌舞伎の場面はほんの少しづつで、全くこんなのならやって欲しくないやい、と思ってしまいます。 よけいに欲求不満になるようっ。昼の部では『弁天小僧女男白波(べんてんこぞうめおのしらなみ)』が あります。菊之助の弁天小僧ですよ、皆様。放送でもほんの少しだけ流してましたけど。本とに少し だけで泣けます。
昼の部は菊之助メインの「弁天小僧」、夜の部は新之助メインの「助六」と、新橋の舞台は若手 (というか、三之助)中心に作っているようです。昨年の浅草公会堂のよう。 なんか、最近三之助に頼ってませんか? 
だがしかし! 新之助の「花川戸助六」観たいよー!! テレビで放送してくれないかな。 御園座に来てくれるのが、一番良いけど…。

お正月公演は観客の方もお正月仕様で、着物を着ている人が沢山で良いです。 観劇の楽しみのひとつは、見に来ている観客の装いを見るということもあります。 せっかく劇場でのしかもお芝居という異空間、その場を盛り上げるにはドレスアップした 方々が不可欠です。皆様大いに着飾りましょう。(自分のことはさておいて)

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