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南座特別公演
平成十二年六月四日(日)〜十八日(日) 京都四条南座
〜もちろんオオバカミーハーレポ〜
6月13日。いよいよ京都南座に玉さま&新ちゃんを観に行く日。
歌舞伎友達と名古屋駅で待ち合わせて、新幹線で一路京都へ。京都は学生時代に住んでいた街なので、結構分かっているつもり。だけど、新しい京都駅はさすがにどこがどうなっているのやら…。なんとか長距離バスの切符売場をみつけて、帰りのバスのチケットを購入。今回も帰りはバス。ケチケチ観劇旅行なのです。

錦市場や河原町付近をふらふら。お昼ご飯は先斗町歌舞練場近くの蕎麦屋「有喜屋」。ここのオリジナル有喜屋蕎麦(納豆と卵のふわふわがかかっている蕎麦)と、関西に行ったらこれ、出汁巻卵を食べる。思ったとおり出汁巻卵はとっても美味しかった♪ 名古屋じゃこれは食べられないのよ。蕎麦も美味。でも生卵が苦手な人はだめかも。
まだ時間があったので、高瀬川の近くの喫茶店「ソワレ」へ。昔ながらの喫茶店で、店内の照明があお〜い色。不思議空間です。
そして、いよいよ南座へ!
*南座*
一度入ってみたかった四条南座。入ってみた印象はこじんまりしてて、お芝居を観るには調度良い感じ、でした。今回の席はB席で3階正面中央付近。花道はかろうじて見える位置。でも、席がせり出しているのか、舞台は割と近い感じがしました。その辺りは歌舞伎座と同じかな。(歌舞伎座は花道は全然見えなかったけど。)音の響きも良く、台詞も良く聞こえました。
難点を言えばロビーが狭いこと。売店も小さくて、南座ならではのお土産という物を、密かに買おうと思っていた私としては少し残念でした。
*雨の五郎 長唄囃子連中

*曽我五郎時致・・・新之助
*廓の若い者・・・玉雪
*同・・・・・・・新七
*同・・・・・・・功一
*同・・・・・・・升一

舞台中央からせり上がっての登場。新ちゃんはむきみ隈が本当に良く似合う。下駄をはいての踊りは、滑って転びやしないかと、ひやひやしてしまいました。そんな事はあるはずないのでしょうけど。
「若いよね〜。凄くきっちり踊ってる」とは友達の言葉。私よりもずっと前から歌舞伎観劇をしている友人の鋭い感想。確かに端から端まできっちり踊っている印象。足をダンッと踏むところも、少しの躊躇もなく思いきり踏み鳴らして、観ていて踵を悪くしないかと心配してしまうくらい。曽我五郎だから容赦のない力一杯の踊りなのかな。
*藤娘 長唄囃子連中

*藤の精・・・玉三郎

真っ暗な舞台。照明がパッとつくと舞台真ん中に大きな松の木に絡みつく藤の花、そして藤娘の玉さま。もう五十だなんて信じられない。本当にこの人は人間? 今出ている「FROU」の二十歳の写真とほとんど変わることない美しさだもの〜。藤娘は舞踊なのでなかなか感想を書くのも難しいです。玉さまはとても美しく、時にものすごく可愛らしく、藤娘をみせてくれました。着物も三回程変わって、見た目も楽しい舞踊です。
次回見る時までには、長唄の内容が分かるくらいには修行をしておこうと思います。
*色彩間苅豆 かさね
    清元連中


*腰元かさね・・・玉三郎
*与右衛門・・・・・新之助
*捕手沢田・・・・・玉雪
*同 飯沼・・・・・・新七
一度は捨てた腰元のかさねと、木下川堤で再び巡りあった与右衛門は、かさねに一緒に死んでくれとかき口説かれる。いざ死のうとすると、川上から卒塔婆と髑髏が流れてくる。その髑髏は与右衛門が殺したかさねの父の髑髏だった。驚いた与右衛門が髑髏を割ると、かさねが苦しみ出し、その顔が醜く変貌してしまう。与右衛門は取りすがるかさねを殺して逃げようとするが…。

まってました! 色悪の新ちゃん。初役の与右衛門、色悪〜、楽しみにしてました。しかも、この与右衛門はとんでもない男です。かさねに子供を身ごもらせてしまうほどの仲で、でも以前にはかさねの母の菊とも通じていて、挙句のはてに菊の夫(かさねの父ね)助を殺してしまっているという無茶苦茶な男。そんな男を新ちゃんがどう演じるのか? と期待大でした。まず、その姿でもう決まりです。あの色男ぶりなら、母と娘の両方に通じてしまうようなモラルゼロの男でも、女性の方が入れ揚げてしまうわね〜、と納得させられてしまいます。かさねに口説かれて心中しようとしてしまったり、どこか悪に成りきれないような、というか自分では悪い事をしてるって意識がないような与右衛門に見えてしまいました。
玉さまのかさねは美しく、可愛く、大胆な女性で、与右衛門を口説くところなんが見ているほうが照れてしまいました。いやはや。しかし後半、姿が醜く変わってからが凄かった。
自分を殺そうとする与右衛門に必死に抵抗する様は、辛く悲惨な場面で、しかも、二人とも全力芝居で劇場が飲まれてしまう迫力でした。更に、ラストの連理引き。かさねの手から、与右衛門の首に巻きつく怨念が実際に目に見えるかのような、新ちゃん@与右衛門の苦しみ様…。こんなに大変なお芝居だったとは…。舞踊劇だからと侮ってました。友達としばし放心状態。これでは1日1回公演なのも納得しました。観る方もこれだけ魂を抜かれるのだから、演じている方はもっと大変だろうな。

六月梅雨の時期に合わせたのか、雨が関わる演目が2つでした。普段の歌舞伎公演より短い時間ながら、とても満足の公演でした。

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