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御園座・陽春花形歌舞伎
通し狂言 小笠原騒動

平成十三年四月一日初日・二十四日千穐楽
小笠原諸礼忠孝
おがさわらしょれいのおくのて

通し狂言 小笠原騒動
おがさわらそうどう
★主な配役★
 中村翫雀・・・小笠原隼人&奴菊平ジツハ明神ヶ嶽の狐
 中村扇雀・・・お大の方&小平次女房お早
 中村橋之助・・岡田良助&小笠原遠江守
 市川染五郎・・犬神兵部&飛脚小平次
 市川高麗蔵・・良助女房おかの&林数馬
 中村獅童・・・小笠原豊前守
 平成11年に京都南座で復活上演された「小笠原騒動」。昨年は新橋演舞場で公演。そして今年の春、御園座にやってきました。御園座も今回は宣伝に力を入れていたようで、名古屋市の地下鉄で全車両広告をうってましたね。私は残念ながら乗る機会がなかったのですけど。見てみたかったなぁ、小笠原電車。
 宣伝の効あってか、普段歌舞伎を観ない人も興味を持たれたようですね。通し狂言というのも良かったのかも。いつもみたいな一場面を集めた公演の仕方だと、歌舞伎好きは良いけど、初めて観るには結構とっつきにくいですよね。ストーリーが解らないし。これからももっと通しで上演してくれるといいなぁ。
 「小笠原」のストーリーは、文章で読むとなんだかややこしくて解りずらいのですが、実際に見ると全然そんなことはなくて、はじめて歌舞伎を見る人でも大丈夫ではないのかな〜と思います。

ストーリーは
九州・豊前国小倉藩小笠原家の執権犬神兵部と、お大の方がお家乗っ取りを企む。それを諌める家臣の小笠原隼人。隼人の召使の飛脚夫婦や小笠原家足軽の岡田良助とその一家をお家の騒動に巻き込んでお話はすすみます。最後には江戸家老の小笠原遠江守が出てきて一件落着ってな感じ。(ものすごくはしょってます)

中心の四名がそれぞれ対照的な二役を演じているので、早代わりの面白さと演じ分けが楽しいかったです。3度目の公演のせいか、お芝居のテンポも早くて、『歌舞伎』というよりは『時代劇のお芝居』みたいでした。(←歌舞伎も時代劇なんだけど、この違い、解ってください…)
 話題の水車小屋の場面は、名古屋のローカルニュース番組で紹介されていたのですが、水の中で動くという事はとても体力を消耗するので、水の温度の管理が重要だそうです。確か19℃だと言っていたような(ちょっと記憶が定かではないです)。熱くもなく冷たくもない温度という事でしょうね。そして、橋之助丈が水車に張り付いて回るところも、1歩間違うと命に関わる仕掛なので、裏方さんとの呼吸がとても大切と言っていました。
 実際に水車の場面を観てみて、こんなことを一日二回約1ヶ月間も続けるなんて、役者さんはつくづく体力あってのものだな〜、と思いました。水の中で暴れまわってましたもんね、お二人。橋之助さんが、息子さん達が水遊びをしているところを見て思いついた場面だそうですけど、ほんとに子供みたいに暴れてましたよね。あれでよく次の台詞が出てくるもんだと感心しました。流石に橋之助さん、ちょっと息が切れてましたけどね。

 あとはやっぱり子役の永田晃子ちゃんですね。けなげで可愛くって、借金取りのおじさん達が借金を帳消しにしてくれて、尚且つ着物まで置いていってしまうのも納得ですわ〜。死んでしまう場面なんて、客席のそこここから「ぐずっ」と泣きをこらえる音が聞こえておりました。全く子供が死んじゃう場面なんて反則!

 やっぱり通し狂言は面白いです。地方じゃ難しいとはおもうのですけど、これからも色々上演されるといいいな

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