ある日の集い〜恋に効くおまじない編〜 サイト4周年記念



こうして女の子ばかりが集まれば必然的に始まるのが恋愛話、俗にいう恋バナ。
1度ぐらいは経験したことはないだろうか。
ともあれ、テーブルに置かれた手製のお茶菓子と香り良い紅茶を中心にして
エアリス、ユフィ、カイリ、そしてが集まった。

「おまじないかあ、何だか懐かしいな。」

ふわりと微笑んだエアリスはカップをもち紅茶を飲んだ。
(どうやら本日のテーマは「恋にきくおまじない」のようだ。)

「そういうのって沢山あるけど実際に効果はあんの?」

マフィンに手を伸ばし、ユフィはそれを頬張る。
これはとカイリが一緒に作ったもので、ほのかにマーマレードの味がした。
ちなみにレオンやシド、ソラたちといった男共は出払っている。ていうか追い出した。

「どうだろう・・・
 でも私が知っているのは条件が厳しくて大体の子が失敗しちゃってた・・・。」
「例えば?」

の呟きにカイリが興味津々に尋ねる。
少しうなり、は指折りで言い出した。

「おまじないをしたことを絶対誰にもばれちゃいけないとか、
 おまじないで作ったのを絶対誰にも触られちゃいけなかったり、
 どんなときも肌身離さずもっているとか・・・。」

「初っ端から厳しい!」

片方の手が埋まり始めた頃にユフィが声を上げた。
「絶対」なんて、無茶にも程がある。

「あと消しゴムに好きな人の名前かいて、それを使い切らなきゃならないとか。」
「うわあ、学生ならでは。」

その多さと細かさに思わず引き攣るユフィ。
エアリスは想像したのか可愛いね、とまた微笑む。
カイリはにやりと笑うといった。

「好きな人の靴をこっそり借りて10歩歩くとかなかった?」
「うんうんあった!」

カイリの方にもあったんだね、は嬉しそうに声を上げて頷く。

「でもおまじないの手順を終える前に見つかっちゃうんだよね。」
「うん。それがきっかけで告白したり両思いになれたりしてるパターンだったけど。」

とカイリは互いに学校にいた頃を思い出す。

「なにそれ、おまじないの意味ないんじゃないの?」
「そんなことないよ。ユフィ、きっかけは大事よ?」
「そうそう、恋愛に関しては女の子は臆病になっちゃうんだから。」

きっかけさえあればなんとかなるのよ!

テーブルに突っ伏して口を尖らせるユフィに エアリスとカイリは恋とは何たるかを語る。
それとは別には自分のいた世界を思いだし、
懐かしくなってか苦笑いを浮かべたままでいた。
そういえば、

「カイリの島にあった・・・
 何だっけ、ナントカの実のおまじないは?」

不意に言い出したの問い掛けに、カイリもエアリスも顔を上げた。
恋について迫られながら説明されていたユフィは解放されたことに心底ほっとして溜息をつく。

「パオプの実のおまじないのこと?」
「多分、」
「なあに、ソレ?」

興味津々と目を輝かせながらエアリスは身を乗り出してくる。

「私の島にはパオプの実っていう星の形をしたフルーツがなるの。
 ・・・ああちょうどこういう形の。」

カイリは星型のクッキーを見つけると手にとり3人に見せる。

「へえ、不思議な形・・・」
「でしょ?
 で、これを大切な人と食べさせあうと、
 二人がどんなに離れていても必ず結ばれるんだって。ハイ、。」
「むぐっ」

いいながらその星型のクッキーを半分に割ると
その片方をぽかんとあけていたの口にほうり込んだ。
もクッキーが入った途端とっさに口を閉じ、 結局食べる羽目になってしまった。
同時に、何とも間抜けな声を出して。
余談だがバターの風味が香ばしいエアリス手製のこのクッキーは
の好物の一つだ。
そんな様子にいつものように優しく微笑みながら
カイリの方をむいたエアリスはどこか楽しそうにみえた。

「ロマンチックだね〜、成功はするの?」
「五分五分かな、
 そもそも私の島の皆がそのおまじない知ってるから
 やった時点で結ばれてるし
 パオプの実自体そんなに沢山あるわけじゃないし。」
「へえ、」

カイリの言葉に3人は相槌をうって頷く。

「カイリはやったことあるの?」
「ないよ〜、誘われたことはあるけど。」

あの時は苦労した、とでも言うように深く溜息をつく様子に
やはり彼女はモテていたのだということが伺えた。

「大変だもんね、四六時中追い掛け回されることもあるし・・・」

エアリスが労る様に頷く。
どこか含みのある言い方にが首を傾げると
ユフイが耳打ちで教えてくれた。

「エアリスもモテモテだったんだよ。」
「ああ、成る程!」

は深く頷いた。
9年前のエアリス・・・さぞかし美少女だったに違いない。
そして数多の男子を魅了していたのだろう。

「皆なんの競争だったのかなあ。」
「え、今更・・・」

エアリスのため息にカイリが驚いた顔をした。
その反応を見る限り、二人の違いは
いくらかカイリの方が自分がモテていることに自覚があったところだと思われる。

「ま、それはおいておいて、
 まだまだ若い2人共に私からも恋のおまじないを伝授しようかな。」

ぱん、と手をあわせ仕切りなすようにいったエアリスに
とカイリはお互いに顔を見合わせた。

「エアリス、アタシも一応まだ若いんだけど。」
「うーん、それはそれ、これはこれ、ね?」

ユフィの疑問にエアリスは答えになってない答えをした。
ちなみに、そういうエアリスもまだまだ若いと思う。

「何ですか?」
「気になるなぁ」

二人は瞳を丸くさせてエアリスに尋ねた。
その反応に満足そうに微笑んだエアリスは
どこからともなく小瓶を取り出して二人に渡した。

「はい、コレどうぞ。」

受け取った二人は訝しげにそれを見る。
手に収まるガラスのビンは青い。
精密にカットが入っていてまるで宝石のようだ。
中にはどうやら何かの液体が入っている。

「コレは・・・?」
「なんでしょうか?」

困った様子でもう一度エアリスに訊ねる。
すると彼女は嬉しそうにうふふと微笑んだ。

「ほれ薬、ねv」



もはや まじないに あらず






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王国心女の子キャラ+ヒロインの対談夢でした。はいオチ無し。
ちなみに最後のほれ薬はFF12で話題になった例のポーションがモデルで。
男同士の対談(男夢主人公)もやってみたかったカナ (2007/2/3)

写真素材提供 NOIONさま