妄想ウルトラマン80■
■第2話■先生の秘密

頭から怪獣ギコギラーの出現。夜の町を破壊する。人間の憎しみが、ねたみが怪獣を生む。そういったマイナスエネルギーがなくならない限り、怪獣は生まれつづける… ゆえに、怪獣出現の理由は、暗黙の了解。ウルトラマンレオを語る際に使われる、「通り魔的」怪獣・宇宙人では“ない”のだ。

 で、ストーリーの本筋はというと、矢的猛と不登校児との交流。
 矢的は、UGMに入隊し、隊員ともそれなりに溶け込み、戦闘機も一人で乗りこなせるようになっている。ということは、ある程度第1話から日数は経っているのだろう。しかし、いまだ学校では、生徒の信頼を得られていないよう。また、遅刻してるし…
 そんな中、矢的は生徒と約束する。不登校児・塚本を連れて登校する、そして、それが出来なかった場合は、教師を辞めると。

 生徒に信頼される先生とは…悩む矢的センセイと、なかなか心を開かない不登校児・塚本。どうすれば、彼の心を開かせることができるのか… しかし、これは『中学生日記』ではないのだ! 怪獣が出現、家が、ビルが破壊される。降り注ぐ瓦礫から、矢的は塚本を体を張って守る。そう、そんな非日常的出来事によって、ひねくれ少年の問題は解決! まあ、そういう世界なんだから、百歩譲ってOKでしょう。

 変身した矢的、だが、塚本に自分がエイティだということを伝えてしまう。なぜ? ナレーションは、今回もいっていたはずだ。変身するところを誰かに見られたら、地球を去らなければならない、と。なのに! どうしちゃったの?矢的センセイ!! “原則的に”であって、例外も認められるの? それから、エイティ=センセイという衝撃的事実を、すんなり受け入れて「センセー!」と応援の叫びをあげる塚本にもオイオイ。

 「センセイはいい人だ!」 登校した塚本は、クラスメートを前に熱弁を振るう。ここに、生徒に信頼され、慕われる矢的センセイの物語が始まったのだ…

 どうして、あなたはウルトラファンなのですか。根源的な質問を問い掛けてくるような作品である。学園ドラマと特撮は、水と油のように遊離し、双方がそこそこのレベルで手を取り合って、これくらいでいいだろう、といっているような仕上がり。万歳といいながら、万歳をせずにガッツポーズをとっている塚本少年、のような収まりの悪さを感じるのは、私だけではないはずだ…。ん?(2000/10/28)

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 二足歩行恐竜型の第1話怪獣クレッセントにつづき、今回は、翼竜型の空とぶ怪獣ギコギラー。『決定版ウルトラマン80超百科』(講談社)によると、「じぶんのすむ星をもとめて地球にあらわれた」というから、マイナスエネルギーが生んだというより、マイナスエネルギーが呼んだというとしっくりくるか。切れ長(?)の目は、ただ真っ赤で、何を考えているのか読み取ることが出来ない。横に裂けた大きな口には、うっすらと赤い唇もあって、グロテスクな印象強。あごひげも生えていて、なんか偉そう。頭はツルッと丸くて木魚みたい。

 実は、このギコギラー、バンダイのソフトビニール人形「ウルトラ怪獣シリーズ」に、2000年の7月末までラインナップされていた。エイティ怪獣では、ほかにサラマンドラ、ギマイラがあったが、7月末のシリーズ総リニューアルによって、残ったのはギマイラのみとなってしまった。近年のソフビ造形の進化には目を見張るものがあり、平成ウルトラの怪獣ソフビと10年以上前に造形された怪獣ソフビのレベル格差には驚愕するものがあったのは確か。
 その中でも、ギコギラーは、エイティ放映当時発売されていた型を流用したものだったこともあって、いい意味で、子供の遊び心を充足するアイテムではあったが、けしてリアルではなかった。そんなギコギラーを…入手しました。これはこれで趣きがあるんですが…。実物写真はこちら(2000/11/18)

※追記/ソフトビニール人形・ウルトラ怪獣シリーズ「ギコギラー」について、ポピー商品の流用ではなく、完全な新造形品であったことが「ウルトラソフビ超図鑑」(ワールドフォトプレス、2010年7月15日発行)で明記された。

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