妄想ウルトラマン80■
■第4話■大空より愛をこめて

と勇気を教えてくれる教育番組「ウルトラマン80」 今回は「親子愛」がテーマ。

 矢的のクラスの生徒、スーパーことススムは、始業のチャイムが鳴っても登校せず、ヘッドホンで音楽を聴きながらローラースケートにふける。「世の中なんかブッ壊れちゃえばいいんだ!」
 姉の結婚と父親の再婚話にイラダチをかくせないスーパー。しかし、父親の再婚話は、娘を安心させて嫁がせるための親心。息子の気持ちを思えば、再婚など考えられないという。この親心がスーパーに伝わって…ハッピーエンド。

 …といった話でした。おわり

 んなぁわけにはいかないわね。これにどう怪獣が絡んできたか。ススムのイラダチがマイナスエネルギーとなって、怪獣を呼んだのか。そのように解釈してもいいのかもしれない、しなくてもいいのかもしれない。

 番組冒頭、未確認飛行物体が宇宙から落下した。不明な音波を残して。
 地球防衛軍アメリカ支部からは飛行怪獣の接近が伝えられる。その怪獣の発する音波と未確認飛行物体の音波が一致。二大怪獣ザンドリアスの出現に攻撃を開始するUGMだったが、音波の解読で、その二匹が親子だと判明し、攻撃は中止される。
 子怪獣が、ちょうど人間でいう中学生くらいで、反抗期。勝手に地球に向かった子供を親が連れ戻しにきたという。怪獣側の事情がそこまでわかってしまうとは、さすがです…。ウルトラマンティガ第6話で活躍するサウンドトランスレーターと同機能の音声分析装置がUGMにもあった、ということで納得しておきましょう。

 親子怪獣を宇宙に返すためにエイティがとった行動とは…。親怪獣だけを攻撃して、それを子供に助けさせ、そして仲直りさせるというもの。悪役を演じるということだが、子怪獣が強すぎて、本当にやられそうになるとか、UGMがエイティの真意をつかめず混乱するとかいったアクシデントもなく(作劇上は、あったほうがよかったと思うが)、怪獣は宇宙に去っていった。

 人間であれ怪獣であれ、子を思う親の気持ちは変わらない。こういったテーマでストレートに話をつくれてしまうのは、エイティだからこそではないか。
 いやぁしかし、怪獣の接近が、中学校の校内放送で伝えられるなんてシーンは、結構趣きがあります。また、マンションの中で泣いている赤ちゃんを見て、破壊の手を止める子怪獣のシーンもいいですね。ほのぼのしてしまいます。
 夕日をバックに飛行するシルバーガルも美しい。日が暮れて、明かりのともる家々を、小高い岡から見下ろす矢的とオオヤマの会話も、ベタではあるがいい。「あの明かりひとつひとつに、いろんな人間の、いろんな喜びや悲しみがあるんですね」「ひとつひとつの生活を守ることが、UGMの使命なんだよ」 2人の信頼関係が垣間見える、好シーンだ。…って、持ち上げすぎか。(2000/11/11)

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 ススムの姉を演じた島本須美は、「風の谷のナウシカ」のナウシカ役等で知られる声優。…というよりも、前作「ザ☆ウルトラマン」で科学警備隊の女性隊員・星川ムツミに声をあてていた人物というべきか。アニメ声で熱演しているが、どうしても…ね。

 怪獣ザンドリアスは、第2話につづいて、また翼竜型。デザイン的な新鮮味は感じないが、ただただまっすぐな脚は、着ぐるみらしさ出まくりで、逆に目を引く。
 初期数話において、怪獣の様々なバリエーションを提供することは、結構大切なことだと思うのだが、これではモノ足りない。それゆえ次回のメカギラスのインパクトが強い、と好意的に解釈することもできるが… エイティ全話を通して、純粋に四足怪獣と呼べるものが、最終回のマーゴドンだけというのは、考えてみれば驚きである。(2000/11/18)

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