妄想ウルトラマン80■
■第6話■星から来た少年

実逃避、自分は地球人ではなく、どこか別の星から来た人間なんだ、と思い込んでいるアキオ少年(例によって、矢的の生徒)の物語。優秀な家族の中で、自分だけが劣等生であることから、そう思い込むアキオは、自分を迎えに来るUFOを待っていた。
 そこに現れたUFOは、けしてそんなものではなく、次々に世界の大都市を攻撃する侵略者だったのだが、アキオは喜ぶ。

 東京・緑公園の池に着水したUFO。現れた怪獣アブドラールス。出撃するUGM。自分を迎えに来たと走り寄るアキオ。矢的はそれをとめようとするが、アブドラールスの光線が、アキオの脚を焼く。

 UFOに接近するアキオのシーンは、SF映画『未知との遭遇』(1978年)そっくり。
 また、アキオは口笛を吹くと、風を起こすことができるという超能力を持っているのだが、それについて矢的は、ナマズの地震予知と同種のもの、とクラス全員の前でキメウチ。教師として、人間として、超人として、それでいいのか矢的…

 変身して応戦する矢的。全身に触手の“ような”ものがあり、ホカホカサクサクのパイのような胸板、笹かまぼこに目がついたような顔のアブドラールスは、不気味で素敵なデザイン。せっかくだから、冒頭から登場させて、もっと大暴れしてほしかった。それから、出撃したはずのUGMは、どこにいたのか。活躍してよUGM。

 で、負傷したアキオだが、クラスメイトの輸血とエイティの特殊能力(!!!)で奇跡の回復。アキオは、輸血で助かったんだから、自分は地球人なんだ、もう一度やり直そう、と決心。…って、そんな理由で改心できてしまうものなのか。そのうえ、今回、矢的センセイは、役に立っていない。

 最後に、エイティの特殊能力・メディカルパワーは、反則ではないか。「動植物の生命力を活性化させて、病気やけがをなおす」(『決定版ウルトラマン80超百科』より)というのなら、宇宙Gメン・ザッカル(21話)を助けてやれよ! 城野エミ隊員(43話)を助けてやれよ!!(2000/12/2)

前絶後の「80」検証本『君はウルトラマン80を愛しているか』を読む
◆(監督・湯浅憲明が語った『ウルトラマン80』より)「メディカル光線もケガこそ治し得ますが、これによって足の短い人が長くなった、というのはドラマとして出来えないこと」
■「子供達に軽笑されない根源」として、作り手の良識と配慮を重視したメーン監督・湯浅氏の演出姿勢に花束を! ま、反則は反則だと思いますが…。
(2006/7/17)

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