妄想ウルトラマン80■
■第7話■東京サイレント作戦

音をテーマに、今回は音を食べる怪獣ノイズラーが出現する。怪獣は旅客機や新幹線を襲った。

 一方、矢的猛は、何をやらせても続かないダメ生徒に、集中力と持続力をつけさせようと、バンドを結成。自分も参加して練習をするが、その騒音に近所から注意を受ける。仕方なく練習できる場所を探すが…

 怪獣は音に反応する。矢的の提案で、東京エリアの音を消す「東京サイレント作戦」が、急遽開始される。音が消えた東京、動きを止めた怪獣… しかし、東京中の機能を停止させるには限界があり、作戦は、気球で怪獣に接近し、一気にたたくというものに変更される。
 が、目を覚ましてしまう怪獣。バンドの練習場所が見つからない矢的の生徒が、野原の真中で、ギターをかき鳴らしてしまったのだ。作戦は失敗し、エレキサウンドを気に入った怪獣は踊りだす…

 エイティが登場し、格闘を繰り広げるが、怪獣はカラータイマーの音に反応し、急におとなしくなってしまった。もっとも嫌いな音だったらしい。エイティが怪獣を宇宙に連れて帰って、この騒動は幕を閉じる。

 翌日(?)、バンドの練習に張り切る矢的の前に現れたダメ生徒は、「学生の本分は勉強」と改心し、去っていった。あっけに取られた矢的がひと言

 「ちょっとできすぎだな」

 …このひと言が、この回を総括している。
 東京に怪獣が出現してから、宇宙に帰っていくまでは、一日の出来事。いや、半日?、数時間?の出来事だ。「東京サイレント作戦」は何時間で実行に移されたのか。バンドの器材は、どうやって野原の真中まで運ばれたのか。音が出ないからといって、気球に乗って攻撃するってどういうこと…

 しかし、そんなことばかり考えているようじゃ、ウルトラシリーズファンとはいえないだろう。
 この回の脚本は、「帰ってきたウルトラマン」以降、第2期ウルトラシリーズを支えた田口成光氏! メインライターを務めた「ウルトラマンタロウ」で掲げたテーマ「現代のおとぎ話」という枠にあてはめたとするならば、この回はまさに、第2期ウルトラテイストにあふれている。大きなお友達のツッコミを振り払う、イノセントな面白さなのだ。「エイティ」において、田口氏の登板がこの一本のみというのが残念である。(2000/12/17)

前絶後の「80」検証本『君はウルトラマン80を愛しているか』を読む
◆(脚本/田口成光インタビューより)「先生が教室で子どもたちの目の前で変身するくらい割り切ったほうが、先生編の次元としては面白かったんじゃないかと思うんです」
■あの『タロウ』を作り上げた田口氏の言葉だけに重みがある。確かに『80』は真面目過ぎた。しかし、それがまた魅力なんだから、困っちゃうね。
(2006/7/17)

<<Top (C) Toshihiko Watanabe