妄想ウルトラマン80■
■第8話■よみがえった伝説

ある休日。矢的は、生徒と京子センセイを連れて石倉山鍾乳洞の見学に向かう。が、その山には、三千年前、地上を暴れまわり、人間を食らった怪獣・タブラが封じ込められていた。
 ただひとり、タブラの存在を信じる考古学者・ヒビノは、連日の地震で、光を浴びたタブラがよみがえると話す。

 ヒビノの話したとおり、タブラはよみがえり、その際の地響きで岩盤が崩れ、京子センセイや落語(あだ名)、矢的らが閉じ込められてしまった。どうすることもできない生徒たちにヒビノは叫ぶ。

 「友達が助からなくてもいいのか。みんなで力を合わせれば、何でもできるんだ!」

 みんなの力が、大きな岩を動かす。救出は成功…するが、矢的だけが間に合わなかった。変身して脱出する矢的。かつて、タブラを封じた「光の巨人」が、時を越えて再び現れ、見事怪獣を倒したのだった。

☆ウルトラマンから脚本を担当し、第3期ウルトラを支えた平野靖司氏の作品。太古の昔、ウルトラマンの祖先が、地球に来て怪獣を封じ込めていたといえば、初代ウルトラマン「バラージの青い石」を思わずにはいられない。が、相手が悪すぎる。中近東のまぼろしの町バラージが、怪獣の出現で衰退していく…。初代ウルトラマンの中でも、もっともミステリアスな印象を残すこの作品と比べてしまうと、非常にツラい。ウルトラマンの神秘性を語りながら、一方で学園モノを繰りひろげるなんて、無謀である。どっちつかずで、双方の印象を掻き消し、結局なんだったの? という思いしか残らない。(2000/12/31)

証本『君はウルトラマン80を愛しているか』収録の平野靖士(脚本)インタビューによると、「光の巨人」は満田プロデューサーのアイデアだという。同じく大岡新一(撮影)は、自身のアイデアでスコッチライトスクリーンを使って光り輝かせた「光の巨人」を、DVD化する際には全部直したいほどの「悪夢」だと笑っている。
■1980年代の原点回帰とチャレンジ精神を、とりあえずは評価しようではないか。
(2006/7/23)

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