妄想ウルトラマン80■
■第12話■美しい転校生

サダ山に隕石らしきものが落下した。しかし、調査しても発見できず、火口に落ちて燃え尽きたのでは…という結論しか導き出せなかった。

 矢的の学級に、ミリーという転校生が入ってきた。クラス1の秀才・ハカセと仲良しになるが、実は…

 ミリーは、全宇宙支配の第一歩として、地球侵略のためビブロス星から派遣された宇宙人だった。しかし、地球人を愛してしまったため、侵略計画の中止を懇願する。計画中止は自らの死を意味するにもかかわらず。
 そこへ、ミリーの正体に気づいた矢的が登場するが、時すでに遅く、隕石と思われていた怪獣の卵から、マグマ怪獣ゴラが誕生する。エイティとの激ファイトの末、敗れるゴラ。ミリーは…

 ハカセに別れの言葉を残して、旅立っていったミリー。ハカセは矢的に励まされながら、涙するのだった。

身から炎をたぎらせているかのようなデザインのゴラ。そのくせ顔はイヌ系。動きは結構軽やか。
 テーマは学園ドラマの定番・転校生モノ。しかし、いまいち垢抜けていないのは、ハカセのせいか? どうも画にならない。それから、正直なところ、ミリーはどうなったの? 星に帰れたのか、死んだのか、はたまたウルトラの星で保護したのか。地球人として生きる道はなかったのか。…ちゃんと決着をつけてほしいものだ。
 ああ、それにしても、桜ヶ岡中学編はこれでおしまい。路線変更するにも、まとめ方ってものがあると思うのだが、その配慮は見えない、残念…。もしこの設定が続いたとしたら、どんな結末を迎えただろうか。どんな作品として評価されることとなったであろうか。可能性としてのウルトラマン80を思い描くことは、結局は妄想なのだが、楽しいことでもある。なにはともあれ、桜ヶ岡中学編全12作については、別枠で総括してみたい。(2001/2/12)

前絶後の「80」検証本『君はウルトラマン80を愛しているか』を読む
◆(監督/深沢清澄インタビューより)「TBSの昼間のメロドラマに呼ばれていって、帰ってきたらもう2クール目、3クール目の監督のローテーションが決まっていて、僕の名前はなかった」
■深沢監督は、結果的にこの12話で降板することになった。現場と会社のズレに居心地の悪さを感じたまま去った深沢監督が、もし続投していたとしたら、どんな作品を生み出しただろうか。
(2006/7/17)

いにこの時が来た。不遇のエイティ怪獣がガシャポンHGシリーズに初ラインナップ。選ばれしもの、それはマグマ怪獣ゴラだ。
■ついでに作品を再鑑賞。純情な優等生「ハカセ」への偽ラブレターという、女子生徒グループのいたずらが事件の発端で、美少女転校生「ミリー」の登場により、ハカセ、女子生徒、ミリーそれぞれの心が揺れ動く物語。テストをさぼってミリーとデートしたハカセを「少年の成長」と肯定する矢的猛先生の姿に、学園ドラマの王道を見た。侵略者でありながら地球人を愛し、正体を知られても矢的を「先生」と呼んだミリーの結末については、カセットテープでハカセに別れの言葉を伝えただけで明確にしていない。これはこれで、余韻を残す演出として評価してもいい、とも思えてきた。
(2007/5/3)

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