妄想ウルトラマン80■
■第21話■永遠に輝け!!宇宙Gメン85

球のあちこちで一夜のうちにマチが破壊され、住民のほとんどが殺されるといった事件が相次いだ。UGMは、事件直後に目撃された宇宙人の仕業ではないかと、捜索を急いだ。

 美ヶ谷に着陸したL85星人ザッカルと矢的は遭遇し、銃口を向ける。
 「打つなウルトラマンエイティ」

 矢的の正体を知るこのエイリアンは、アンドロメダ系の星人が中心となって組織された怪獣退治の専門集団「宇宙Gメン」の隊員だった。地球で破壊活動を始めた残酷怪獣ガモスを追って地球に来たのだが、タジマ隊員の銃に撃たれ、深い傷を負ってしまう。

 ガモスがマチに出現した。代わりに戦おうとする矢的を制止するザッカル。
 「妻と息子に誓ったんだ。この手で必ず敵をとると」 ザッカルは20年前、ガモスに妻と息子を殺されていたのだった。
 最後の手段・巨大化して戦うザッカルだったが、ガモスの猛攻に倒れてしまう。ガモス唯一の弱点「高周波の音」で勝利を収めるエイティ。「ありがとう、ウルトラマンエイティ」 ザッカルはゆっくりと息を引き取るのだった。

壊されつくした瓦礫のマチ並み。親を探して泣き叫びながら歩く子供。けしてウルトラらしくないショッキングな映像から始まる本話。ザッカル母子が殺されるシーンも含めインパクトの強い映像で、ガモスの極悪非道さを表現している。なぜこんな破壊殺戮を繰り返すのか、まったく説明されていないのだが、“ある宇宙人の仇討ち話”を盛り上げる「悪」として、十分な説得力を持って画面に登場する。■正統派怪獣型のガモスに対して、チンかマルチーズ犬か?星人ザッカルの異種格闘技戦も、体毛フサフサのザッカルが、見るからに弱そうで、その通りの結果に救われない気持ちになる。巨大化ザッカルがカッコ悪いのが何より残念で、感情移入しづらいのです。■ガモスに破壊されるL85星、着陸するUGM戦闘機、瓦屋根の家々が並ぶ特撮セットでのザッカルの絶命など、特撮がいい味出してます。■しかし、宇宙の極悪怪獣、宇宙Gメンなど、スケールの大きいストーリーにしては、広がりが感じられない。ザッカル20年間の苦闘、宇宙Gメンの活躍などの描写が観たかったように思う。矢的とザッカルの対決や対話は短くてもよかったのではないか。「お互い、子供や母親のために戦う仲間でしょう」という矢的の取って付けたようなセリフが、逆に印象に残るばかりだ。矢的(エイティ)を完全に脇役にする演出もアリだったのでは。■エイティにおける傑作であることは間違いない。が、ウルトラシリーズを代表する傑作にもなり得た作品だと思うのだが、どうか。(2001/12/30)

前絶後の「80」検証本『君はウルトラマン80を愛しているか』を読む
◆(脚本/山浦弘靖インタビューより)「これは1つの目的をもった者同士が、大きな敵に向かってぶつかっていくという、西部劇なんかでよく見る典型的なパターンですよ」
■SFでありながらドラマの古典的王道を意図的に狙った職人の技、だだだ!
(2006/7/17)

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