妄想ウルトラマン80■
■第22話■惑星が並ぶ日なにかが起こる

部山岳地方の王ヶ岳が突如噴火した。その直後球状の人工衛星が上昇し、太陽を覆い隠してしまった。現地に急行したUGMは、そこで不審な集団の後を追い洞窟に潜入するが、罠にはまり捕らえられてしまう。

 不審な集団は、かつて氷河期に地下へ逃れた地球人の子孫であった。地底王国は、地上に住む人々が石油や金銀を掘り出し、地下水を汲み上げたことで地形がゆがみ、2年後に迫った太陽系惑星が直列する日に起こる天変地異によって崩壊の危機にあった。そこで、地上に移り住むために、苦手な太陽光をさえぎろうと人工衛星を打ち上げたのだった。

 地上の人々との話し合いを訴える矢的猛に地底王国の女王イーナスは応じるが、国家最高会議は人工衛星爆破ミサイルの発射を決定していた。オオヤマは、最高会議長に地上人と地底人の共存を訴え、発射中止の結論を得るのだが、地底人の侵略を恐れたイイジマ副官がミサイル発射を強行、地底王国への攻撃命令を下してしまう。

 地球防衛軍の攻撃により、古代怪獣ゴモラUが目覚めてしまった。崩壊する地底王国、地下深くに逃げざるを得ない王女イーナスたち。登場したエイティは、ゴモラUのミサイル攻撃やツノから発射する怪光線に苦しめられつつも勝利を収める。

 ゴモラUの亡骸は王国を押し潰しながら地底へと消えるのだった。

底王国に惑星直列、国家最高会議にミサイルを発射する古代怪獣…。あえて言葉を選ぶとすれば「ロマンの世界」か? とんでもない話なのだが、あのウルトラセブン第42話「ノンマルトの使者」にも通じるテーマではある。■傑作か珍作か、これはドラマの描き方で分かれるのだろう。別に惑星が並ぼうが並ぶまいが、このドラマにはあまり関係なかったし、逆に取ってつけたようで収まりが悪い。理科教師であるはずの矢的が惑星直列の説明をイーナスからされているシーンは眩暈しそうな迷場面だ。国家最高会議もアレで大丈夫なのか心配だ。■人気怪獣ゴモラが登場する娯楽編だから…で納得してしまえばいいのだろうが、そうはいかない。ああ4本角のゴモラよ、腕から発射するミサイルは、どういう仕組みになっているのだ。■イイジマ副官の乱心はとても人間的で、魅力にあふれている。それに対して、地下深く逃れるイーナスが最後に発した言葉「さようならぁ」の気の抜けたようなノー天気な言い回しは何だ。彼女の知性すら疑いそうになる。信じていた矢的と地上の人々に裏切られた彼女は、最後に何を思い去っていったのか、これではまったく分からないのだ。よって、ドラマ自体にオチがついていない感じがしてならない。まあこれは、演技者の問題ではなく演出の問題なのだろうが…。■序盤の球状人工衛星が上昇するシーン(UGM基地のモニター越しだけなのが残念)と、白目を剥いたゴモラUの亡骸が地底に沈んでいくシーンが特撮的に印象深いが、とにかく本作品の助演男優賞はイイジマ副官に決定。これ以降二度と登場することのない彼は、どんな処分を受けたのだろうか。(2002/4/6)

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