妄想ウルトラマン80■
■第23話■SOS!!宇宙アメーバの大侵略

球防衛軍の宇宙探査船「スペース7号」は、アメーザ星のエネルギー資源探査を終えて帰路にあった。しかし、大気圏目前で宇宙アメーバに襲われてしまう。

 このままでは宇宙アメーバの地球進入を許してしまう! 大型戦闘宇宙艇スペースマミーでイトウ、ハラダ、矢的の各隊員が出動、スペース7号に乗り込んで操縦し、地球から離れるという危険な作戦を決行する。イトウ、ハラダの制止を振り切ってその任務に就いた矢的。「僕には親も兄弟もいません。こういう仕事には僕のような人間がいちばん向いているんです」

 増殖したアメーバを背後に感じつつスペース7号の進路を変えた矢的だったが、アメーバに襲われ脱出不能となってしまう。接近する巨大隕石に着陸し矢的を救出する方法がとられるが、それまで50分。アメーバの攻勢に弱音を吐く矢的。UGM基地のオオヤマは叫んだ。「れっきとした家族がいることを忘れてもらっては困る。UGMのみんながお前の家族なんだ!」

 隕石への不時着と同時に矢的は変身し、怪獣化したアメーバ「アメーザ」を葬り去った。イトウ、ハラダに救出された矢的は無事、家族の待つ地球へと帰還するのだった。

浦弘靖氏3度目の登板。あらためて考えてみると、ウルトラマンダイナ第41話「ぼくたちの地球が見たい」と状況が似ているか? 宇宙空間、スペースシップという密室で、扉一枚向こうまで迫る脅威! そして、異星人・矢的猛も一人ぼっちではないんだ、というスリル&ハートフル・ストーリー。しかし、この作品でややツラいのは、なぜ早くエイティに変身しないの? という点だ。誰かに変身を見られることもない。矢的とエイティは同一人物・同一人格なのだから、人間としてギリギリまで頑張らないとウルトラの意志がはたらかない−という帰マン的状況もないはずなのに。■そこで、うがった見方をひとつ。山浦氏が脚本を担当した最終話目前の第49話「80最大のピンチ!変身!女ウルトラマン」でウルトラの星の王女・ユリアンは「私も地球人に生まれたかった…」と涙するのである。それは矢的の心の代弁でもあったはず。この美しい地球で人間として生きたい−そんな思いが彼の中にもあったのだろう。それが安易な変身を拒ませたのではないか。ブライトスティックを振りかざすたびに、彼は涙していたのかもしれない。(2002/5/26)

前絶後の「80」検証本『君はウルトラマン80を愛しているか』を読む
◆(脚本/山浦弘靖インタビューより)「ノリとしてはもう『エイリアン』ですね。宇宙船の中という密室状態で、未知の生命体の脅威と戦うというのを円谷プロの予算の中でやっちゃうという」
■ハリウッドのSF映画大作に触発されたスタッフたちの奮闘と、当時の空気感が詰まった作品であることを、改めて実感する。だって、宇宙アメーバは当時流行した液状玩具「スライム」。いまならCGで、チョメチョメだろうに。
(2006/7/17)

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