妄想ウルトラマン80■
■第25話■美しきチャレンジャー

球防衛軍の隊員2000人の約3割が女性隊員である。新人女性隊員はいま、明日の城野エミを目指して激しい訓練を受けていた。そのうちのひとり、見習い隊員のジュンは、怪獣に殺された兄の敵討ちのために志願し、20日後に迫った兄の一周忌までに正隊員になれなければ、故郷に帰るという約束を母親としていたのだった。

 突如、UGM基地に謎の飛行物体が襲来し、攻撃を受ける。「手柄をたてなければ」とはやる気持ちを抑えきれないジュンは、撃墜された飛行物体のそばで倒れていた青年を見つけ、ひそかにUGM基地内に連れ込み手当てをする。
 「なぜ攻撃をするの? 今度はいつどこを…」ジュンの質問に操縦者は答える「午後8時に香港を…」と。

 UGMの主力が香港へ着いた頃。青年はジュンの目の前でその正体を現した−地球破壊をたくらむ宇宙怪獣アルゴン。ジュンは制止を押し切り、ひとりスカイハイヤーで立ち向かう。

 登場したエイティによってアルゴンは倒された。田舎へ帰ることを告げるジュン。城野エミはやさしく諭すのだった。

球防衛軍の組織体系を垣間見せた一作。隊員をだまして基地内に進入し、地球侵略を遂行する宇宙人…。ウルトラマンダイナでも類似した作品が見られるが、見習い隊員ジュンのキャラクター描写がやや足りないため、感情移入しづらい。ジュンが女性隊員に志願したわけを同僚隊員にセリフで語らせるのではなくて、ビジュアルで丁寧に見せて欲しかったものだ−。兄が怪獣に殺されるシーンや、それを目撃して絶叫するジュン、隊員志願に猛反対する母親などなど。■体中からクリスタルが生えているようなデザインが素敵な怪獣アルゴン。知的な侵略者も、正体を現すとただの暴れまわる怪獣…というのが残念ではある。(2002/8/16)

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