妄想ウルトラマン80■
■第27話■白い悪魔の恐怖

道を千鳥足で歩く酔っ払いのサラリーマンが、マンホールから突如噴出した「泡」に襲われ姿を消した。残された衣服から検出される地球人以外の体液…。

宇宙生物学の権威・青山博士がUGMに招かれ、アルゴ星人の地球進入の可能性を示した。そして、宇宙高級生命体への進化の途上にあるアルゴ星人は、戦いを好まない平和な宇宙人だが、人間がどんなに背伸びしても勝てる相手ではないと告げる…。
しかし矢的は、アルゴ星人が生物の知能を吸い取って高級な生命体になろうとするエゴな宇宙人であることを知っていた。青山博士に不信感を抱く矢的。それは、セラが撮影した写真に写った青山の影が怪物の姿をしていたことで確信となった。

青山博士の研究室に向かった矢的は、青山の体を借りて地球に侵入したアルゴ星人と対峙するが、バリアに閉じ込められ変身不能に陥ってしまう。
人々を襲った「白い泡」は、アルゴ星人の宇宙服だった。巨大化してUGMを襲うアルゴ星人。決死の覚悟で特攻するイトウチーフを間一髪エイティが救う。

口から「泡」を、背中からミサイルを放ちエイティを苦しめるアルゴ星人であったが、「強い光」に弱いところをつかれ、その野望は水泡と消えた。

ラダ、タジマに代わり、フジモリ、イケダが新隊員として登場。初登場からして「隊員A」「隊員B」程度の扱いしかない。矢的猛中心の作劇は、「ウルトラマンレオ」の踏襲であったといえるのだろうが、各隊員に光が当たらないために、作品的な広がりには限界があったのではないか。■本作の脚本は、南川竜(野長瀬三摩地監督のペンネーム)。氏の徹底したエンターテイメント性は、本作にも表れており、「こんな宇宙人が、こんな目的を持って、こんな方法で侵略してきましたが、ヒーローの活躍でその野望は砕かれました」という単純明快なストーリー構成は、表立って評価される機会こそ少ないが、いぶし銀の輝きで我々に「面白かった」という満足を与えてくれる。■「泡」が人を襲うというホラー・テイストは、初期ウルトラの感触。「ヒーロー番組」という枠ではなくて「空想特撮番組」の味わいを強く残した至極の逸品…と、せっかくだから断言してしまおう。(2002/11/3)

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